藤井 達也さん
インタビュー公開日:2017.09.15

人として大切なことも教えてくれた
サッカー部の先生への憧れが原点。
小学校の教員として、6年生のクラスを担任する藤井逹也さん。教員になる原点は、中学校時代のサッカー部顧問の先生だったと振り返ります。
「当時の学校はちょっと荒れていて、その先生によく怒られたものです。でも、サッカーだけでなく、人間として大切なことを教えてくれていたので、やんちゃな生徒もみんな慕っていました。今となっては社会に出た時のことを見据えた教育にあたってくれていたんだって思いますね」
その先生への憧れから、大学ではスポーツ教育課程を専攻。難関といわれる札幌市の教員採用試験に、みごと1年目で合格しました。
小学校教員は仕事がたくさん!
他の先生とチームでのぞみます。
「最初の年に担当するクラスの児童と出会った時、本当にかわいくて。愛らしい笑顔を見ているだけでも、この仕事に就いて良かったと感じました」と表情を緩める藤井さん。
小学校教員は基本的にはクラスの担任となり、全教科の授業を受け持ちます。とりわけ、北海道の学校は冬にスキーを教えたり、吹雪の日には児童の安全のために集団下校をさせることも。さらに、授業だけではなく、学級経営や保護者の対応、クラブ活動の指導、学校行事の企画など幅広い業務に取り組みます。
「他の先生方とチームを組んで一丸となってたくさんの仕事に取り組みます。新人時代は先輩の先生が授業を見に来てアドバイスをしてくれるなど、手厚くサポートしてもらえて本当にありがたかったです」
学級経営は試行錯誤。
先輩を見てやり方がつかめてきた!
先輩がフォローしてくれたといっても、もちろん最初からすべてがうまくいったわけではありません。学級経営には頭を悩ませたこともあったと苦笑します。
「最初のうちは、問題が起きたらその都度、モグラ叩き方式で対処していました。でも、先輩の先生を見ていて、あらかじめクラスの雰囲気やルールを作るように指導していくことが大事だとわかってきたんです」
今のクラスを担任するにあたって設けたテーマは「自分のことよりみんなのこと」。集団生活のルールについて年度の初めから口を酸っぱく指導してきたおかげで、少しずつ協調性が生まれてきたそうです。
クラスの子どもとコミュニケーションを取る上で大切なのが家庭学習ノート。全員に毎日提出させて、藤井さんは一言ずつこまめにコメントを書いています。
「大変なんですが、子どもは喜ぶし、やる気にもつながるので毎日続けています」
日々の授業の陰には地道な努力が。
研究授業で指導力をレベルアップ!
学校が一丸となって取り組んでいるのが指導力のレベルアップ。そのため、年に一度は他クラスの教員が授業を見に来て、内容について検討する「研究授業」も行っています。
「研究授業の担当になったら、綿密な準備が欠かせません。放課後の誰もいない教室で、一言一句のニュアンスにまでこだわって、実際に声に出して練習をします」
研究授業は他の先生からのアドバイスもたくさん受けられる上、学校全体でより質の高い授業や指導方法を見つけていくことにつながるのだとか。日ごろの授業の陰にはこんな努力が隠されているのです。
子どもの成長に感動!
自ら学ぶ姿勢が大切な仕事です。
藤井さんの仕事のやりがいは、子どもの成長を感じられること。特に1年、2年と続けて担任を受け持つ時は、振り返ってみると体も心もグンと育まれていたことをしみじみと感じるのだとうれしそうに話します。
「子どもは僕にすごくなついてくれて一緒に過ごすのが楽しいですし、卒業式で送り出す時には、自分も感動して泣いてしまいます」
児童との関わりを通して、自分の成長も実感しているという藤井さん。「教員としてさらにステップアップするには、他の学校の取組や講演会、本を読むことなど、自分から学んでそれを実践していく探究心が大切だと思います」と熱い口調で語ってくれました。
シゴトのフカボリ
小学校教員の一日
7:30
出勤
職員室で授業の準備、事務処理、
テスト採点
毎日全員が提出する「家庭学習ノート」のコメント記入
8:15
児童が登校
8:45
午前の授業開始
12:20
給食
13:05
昼休み(清掃)
13:30
午後の授業
15:05
児童が下校
教室でテスト採点、
「家庭学習ノート」のコメント記入
15:30
職員会議
行事や企画の打ち合わせ、各部門の進捗等
16:30
職員室のデスクPCで学級通信の作成、
事務処理
翌日の授業準備
19:30
退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

子どもたちとの触れあいや、先輩の先生方からのサポートで、自分自身も成長できる仕事です。さらに技術を高めるために、職員がチームになって取り組んでいます。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
画像にスライドに、iPadを活用
自前のiPadを、授業にフル活用しています。インターネットから画像をダウンロードして使ったり、写真を撮ってスライドショーにして授業で見せたりしています。また、学級通信に載せる写真もこれで撮れます。

札幌市立新琴似緑小学校

2017年で開校38年。学校経営方針「心の居心地となる学校を目指して」~学校が楽しい!!勉強が面白い!!先生、大好き!!友達、大好き!!~を重点とし、児童約440名が教職員24名のもと学んでいます。

住所
北海道札幌市北区新琴似10条11丁目5-1
TEL
011-764-4452
URL
http://www.shinkotonimidori-e.sapporo-c.ed.jp/

お仕事データ

授業や学校行事の運営を。
学校教師
学校教師とは
児童や生徒一人ひとりと向き合い、
学習や生活を指導する仕事。

公立・私立の学校で、生徒に学習や生活を指導するのが学校教師。満6~12歳の児童を対象にした「小学校教師」と国語や数学、英語など単一教科を専門に生徒に教える「中学校教師」「高校教師」に分けられます。学校教師の仕事は多岐にわたり、授業はもちろん、担当クラスの受け持ちや、部活動の顧問として活動することも。また学校行事の運営や地域社会との協力活動なども仕事のひとつ。子どもたち一人ひとりと向き合うことは大変な反面、やりがいも多く感じられます。

学校教師に向いてる人って?
面倒見の良い性格で、
指導力を発揮できる人。

学校教師は、児童や生徒に対し責任感を持って向き合える面倒見の良い人に向いているでしょう。さまざまな仕事を抱えながらも、日常生活の小さな問題解決から、進路についてのアドバイスなど、その都度一人ひとりに対して根気強く向き合う辛抱強さも求められます。また児童や生徒を引っ張っていくための指導力も必要です。

学校教師になるためには

学校教師になるためには「教員免許」が必要です。具体的には、小学校教師は「小学校教諭免許」、中学校教師は「中学校教諭普通免許」、高校教師として働くためには「高校教諭普通免許」と、それぞれの教員普通免許を取る必要があります。資格取得後は、公立・私立で採用方法は異なりますが、各施設が実施する教員採用試験に合格すると晴れて学校教師として働けるようになるでしょう。

※教員免許の取得については、詳しくは文部科学省のホームページをご確認ください。http://www.mext.go.jp/

ワンポイントアドバイス
ところで副担任の仕事って?

副担任は、担任をサポートしながら学級運営に携わっていく教員。担任が休みの日は代わりにホームルームを開いて生徒の生活指導を行い、出欠の確認をすることもあります。担任と比べて副担任には自由な時間が多く、一人ひとりの生徒と密に関わりやすいというメリットも。そうしてより良い関係を作り、スムーズな学級運営を進められるように担任をフォローするのが副担任の役割です。