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川口 洋史さん
インタビュー公開日:2017.11.01

漁師の家に生まれるも東京で就職、
父親の跡を継ぐためにUターン。
川口さんは祖父が初代となった常呂町の漁師の家に育ちます。
「幼い時分から家業を継ぐ気はありませんでした。大学で上京しそのまま東京の広告系の企業に就職しました」実家とは畑違いの仕事。しかし故郷の漁業を応援したいという熱意は消えることはありませんでした。
「漁獲量が驚くほど減っている最中、プロモーションやブランディングの観点から常呂の漁業の底上げを図ることはできないかと考えたんです」
しかしこの後まもなく、川口さんは父親の体調の悪化をきっかけに常呂町にUターンせざるを得ない状況に。「長男でしたし、自分の代で漁業権を失うのは…。後ろ髪を引かれる思いでしたが故郷に帰って漁業を継ぐ決意をしました」
自分で漁業を営むためには
漁業権が必要になります。
ここで気になるのは「漁業権」というキーワード。
「漁業権とは、その地域での漁業を営むための権利のことです。この権利がなければ自分の船で漁をすることも、それらを販売することもできません」
この漁業権を得るためには、まず漁業協同組合の組合員になることが必須。さらに組合員になるためには、一定期間の漁業経験や地域への定住、定められた資金などいくつかの要件が必要です。
「父がそういういくつものハードルをクリアしてきて得た漁業権ですから、やはり自分が継いでいくべきと考えたんです」
ちなみに組合員ではなくても、企業や漁師のもとで乗務員になるなど、漁師になることはできるのだそう。
漁業界が抱える大きな課題の
一つが人材不足です。
故郷に戻った川口さんは、まず鮭定置網漁に取り組む中型船の乗務員になります。
「漁業を覚え、家業を継ぐための修行期間です。最初の一年間は番屋(合宿所)に泊まりこみ、その後の三年間は実家から通いました」
Uターン4年目には、家業を継ぐために川口家へ。両親や従業員とともにホタテの稚貝を育てたりニシンやホッケ、カラフトマス漁など手がけます。
「修行時代も家業に入ってからも、痛感したのは人材の大切さ。人手が足りなければ、できる漁も手がけられる仕事量もすぐに限界になってしまいますから」
前向きで若々しい人材の確保は、川口家だけではなく、漁業界全般が抱える課題の一つ。「でもそのために待遇競争をし、パイを奪い合うだけでは意味がない。自分は漁業の世界に違った魅力を創出することが大切だと思っているんです」
漁師を若い人たちが魅力的と
考える職業にしたい。
若い人に漁業を注目してもらいたい。故郷の常呂の魚をアピールしたい。そう考えた川口さんは、本業の傍らさまざまな取り組みをスタートさせます。
「例えばイベント。漁師がつくるスープカレー、病院食メニューづくり、子どもたちに向けた食育講座、食と音楽の集いを手がけたこともありました」
さらに東京農大とのコラボのもと、ピンクサーモンのパテや船上活シメ春ニシンといったユニークな商品も開発。首都圏のミシュランレストランへの直販も実現しました。
「漁師になったからといって、田舎に引っ込んでいる気はありません。札幌にも東京にも足を運び、さまざまな人脈をつくり、新しい可能性を探る。その活動を通じて漁業を盛り上げていきたいと思っています」
時には命をかけることも。
だから魚を安く売りたくない。
漁師には、特別な資格も学歴も必要ありません。では誰でも簡単に漁師になれるのか…と尋ねられると、答えは「NO」です。
その最大の理由が、海洋に浮かぶ船の上という特別な職場にあります。急に悪天候になったり、重要な設備が故障したり…そんな小さなトラブルが身の危険に繋がりかねない船の上。ここで仕事をするためには、互いを信頼する気持ちやチームワークが不可欠です。川口さんもこう話します。
「仲間が海に投げ出されたり、自分自身が生命の危険を感じたことも何度かあります。チームワークの大切さを痛感する一方、命がけで捕った魚を安売りしたくないという思いも抱いています」
加えてそれ相応の体力や精神力も必要。素人や未経験者をいきなり船に乗せない背景には、そういった理由があります。
「最初は確かに辛いこともありますが、やはり海の上の仕事は刺激的ですし、思い通りに運んだ漁は楽しい。もっと仲間が増えて欲しいです」
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
青パン
漁業協同組合の名前が刻まれたプラスチックケース。捕った魚を入れ積み重ねます。

常呂漁業協同組合

昭和50年代にホタテやサケの増殖を主体とした「育てる漁業」へと転換を図り、現在は全組合員による共同経営のもと、安定的漁業を展開しています。

住所
北海道北見市常呂町字常呂691
TEL
0152-54-2130
URL
http://www.n43.or.jp/tokoro/

お仕事データ

広大な海原が職場です
漁師
漁師とは
日本の食卓に欠かせない、
魚介類を獲る仕事。

船で海へ出て魚介類を獲ることが漁師の主な仕事。漁場(魚を獲る場所)は陸地に近い海で日帰りする「沿岸漁業」、日本の周辺の海(200海里水域内)で行う「沖合漁業」、外国の海で漁をする「遠洋漁業」に大きく分けられます。獲り方も、はえ縄漁やまき網漁、定置網漁などさまざま。船の掃除や漁具の手入れなど、陸での作業も漁師の仕事です。また、生簀で魚を育てて獲る「養殖業」も漁業の一つ。いずれも、日本の食卓に欠かせない魚介を届けるというやりがいに満ちています。

漁師に向いてる人って?
体力や根気に加え、
知識を進んで吸収できる人。

海が舞台なので天候や季節によっては厳しい環境の中で働かなければなりません。下積み時代は力仕事も多く、体力や根気は不可欠です。ベテランの漁師ともなると勘だけではなく、潮の流れや海水温度の変化など、さまざまな情報を分析することで魚が多く獲れる場所を見つけ出すもの。気象学や魚介類の生態学などの知識を進んで取り入れる積極性も求められます。

漁師になるには

学歴や年齢に制限があるわけではありません。沖合・遠洋漁業といった大型船の乗組員として働く場合は、未経験者でも漁師になれます。その際は漁業者になるための相談会(就業支援フェア)などを活用しましょう。ただし、沿岸漁業の漁師として個人で仕事をしていくためには、「小型船舶操縦士免許」や「海上特殊無線技士免許」の資格が必要です。さらに、漁に出るための「漁業権」も取得しなければなりません。漁協によって取得方法は異なるので、まずは問い合わせて情報収集するのがオススメです。

※詳しくは一般社団法人全国漁業就業者確保育成センターのホームページをご覧ください。http://www.ryoushi.jp/

ワンポイントアドバイス
漁師の休みは沿岸漁業、
沖合漁業、遠洋漁業でマチマチ。

漁師の休日は漁業種類や狙う魚、時期によって異なります。沿岸漁業の場合は1週間に1日定期的に休むケースが多く、海が荒れていれば陸で漁具の修理や網の手入れなどを行います。大きな船に乗って長期間操業する船では帰港や船の点検の時にまとまった休みが取れるようです。遠洋漁業では燃料の補給や休憩のために異国の港に立ち寄る機会もあり、海外の風景や刺激的な経験と出会えます。