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高松 伸吾さん
インタビュー公開日:2024.02.05

北海道(行政)が運営する企業に
電気エンジニアとして就職。
北海道企業局という組織をご存知でしょうか。北海道が経営する公営企業で、北海道の暮らしや産業の発展に貢献する「電気事業」と「工業用水道事業」という、2つの事業を運営しています。
出身地の高校を卒業後、道職員に憧れてこの組織に入職したのが高松伸吾さん。勤務9年目を迎える電気エンジニアです。
では、高松さんに最初の質問。北海道企業局って、行政なの? それとも会社なの?
「確かに紛らわしいですよね。(笑)その質問に答えるなら、『行政であり会社でもある公営企業』となります。ただ一般的な企業は、自社の利益の追求が重要なのに対し、北海道企業局は公共サービスの提供が大前提。自局の利益より地域住民の公益が優先されるんです」
なるほど。行政が運営する住民のための企業というわけですね。
「ユニークなのは、独立採算制と呼ばれる経営スタイルを導入していること。北海道企業局の場合、電気事業と工業用水道事業で得られた収益で、職員の給与や事業の経費など全てのコストをまかなっているんです。そのあたりも、企業っぽいでしょう?」
安定した電力を供給するために
点検や修理に汗を流す日々。
高松さんは現在、夕張川発電管理事務所の電気第二係として勤務しています。
「北海道企業局は、道民生活や企業活動に欠かせない電力の安定供給のために、道央・道北エリア9つの発電所を稼働させています。このうち夕張川発電管理事務所は、シューパロ発電所、清水沢発電所、滝下発電所等の管理を担当しているんです」
高校で電気システムを学んだ高松さんは、電気職として入職。発電所の改修や新規電気設備の設置工事、水車発電機のメンテナンスや修理のほか、国の関係機関との協議などにも携わってきました。
「工事現場での実作業や修理などの手作業は、外部の専門企業に委託しています。自分は業務の予算を組んだり、設計書を作成したり、現場監督として指示を出したり…いわゆるディレクター的な立場です」
お話を伺った事務所の窓からは、剛健さ漂う「沼の沢取水堰(しゅすいせき)」の姿が。ここで蓄えた水を滝下発電所に送り、水力発電設備を使って発電しているのだそう。
「滝下の最大出力は16,600kW。その電力を安定的に供給できるよう、不測の事態を想定しながら、日々の点検や修繕に取り組むのが自分たちの使命なんです」
少人数で自在性が高い組織。
脱炭素社会の実現も支えて。
高松さんの担当業務の中でもひときわ規模が大きいのが、滝下発電所の水力発電設備の分解点検。
「北海道企業局が取り組む発電は全て水力。その要となる水車発電機の基本的な原理や仕組みは、昔からほぼ変わりません。なので、今回の分解点検業務も、巨大なプラモデルのモーターを分解し組み立てるようなもの。自分のような機械好きにはたまらない仕事なんです」
水力発電は二酸化炭素を排出しないクリーンな技術。脱炭素社会やSDGsを推し進める上でも注目されています。
「水力発電は化石燃料を利用しない純国産エネルギー。火力発電に換算すると企業局の水力発電で年間約32万トンものCO2の排出を抑制していることになります」
北海道企業局でも、水力を使った再生可能エネルギーに関する相談に乗るなど、時代に歩調を合わせた取り組みもスタートさせているよう。
「行政の仕事はとかく堅い…と思われがちですが、企業局は少人数で自在性が高いのが特長です。最近はYouTubeをアップしたり、発電所カードを発行したり、地元の子どもたちを招いたイベントを開催するなど若手が活躍する場面も増えているんですよ」
大都市から近い恵まれた勤務地。
引越サポート、広い公宅も魅力。
国や道の公務員には転勤がつきもの。高松さんも18歳で入職以来、深川や札幌、夕張といくつかの勤務地を経験しています。
「他の道職員は全道各地に転勤しますが、当局の勤務地は全て札幌や旭川などの大都市の近く。週末は買い物や友だちに会いに出かけることも多く、『遠隔地で勤務している感』は全く感じません。夕張から札幌へも高速を使えば、1時間ちょっとですからね」
これまで経験した業務も、発電所での点検整備から、札幌の本局での俯瞰的な管理業務まで実に多彩。今後は工業用水関連の仕事も経験していく予定だとか。
「同じ仕事ばかりだとマンネリになりますし、視野も広がりません。様々な勤務地や業務を経験できるからこそ、電気や工業用水といった社会インフラに関する幅広い知識が身に付くんです」
ちなみに転勤先での住まいは、職場が提供してくれる公宅。現在高松さんは、事務所からクルマで数分程度の一戸建てで生活しているとか。
「転勤の際の引っ越し費用は全て職場が負担してくれますし、家賃も格安。広いリビングで音楽や映画を見たり、同僚と庭でバーベキューを楽しんだり… そうそう、夕張勤務が始まった冬から、スノボも始めました」
オフがとことん充実してるから
仕事に打ち込める…が共通認識。
では最後に究極の質問。高松さん、北海道企業局の職員になってよかった!…と思うことって何?
「先の胆振の大地震の際、地域の電源確保に尽力したのが水力発電。裏方仕事だけれど大きなやりがいを感じられるのがこの仕事の魅力です。それと…」
ここで高松さんはニッコリ。どうやらそれ以上の「魅力」があるような。
「最大の魅力は、オンとオフの切り替えが徹底されていること。始業も終業も時間通りで、時間差出勤も認められていますしね。さらに有休も取得しやすく、先輩や上司が率先して取得するので、言いづらいと感じたことなど、一度もありません」
高松さんはつい先日も連休を申請。気ままなバイクツーリングを楽しんだと笑います。
「さらに職員は毎年、勤務地や働き方の希望をキャリアシートで提出し、それをもとに面談が実施されます。全ての希望が叶うわけではありませんが、在宅勤務や時差出勤など多様な働き方が認められています」
オフが充実しているからこそ、全力で仕事に取り組める。そんな超イマドキの仕事観は、行政であり企業である、というユニークな風土が生み出したものなのかもしれません。
シゴトのフカボリ
北海道企業局職員の一日
8:45
出勤、メールチェック
9:00
電気工事の施工図面づくり
10:00
事務所内ミーティング
12:00
ランチタイム(時々お弁当…)
13:30
工事現場の監督へ
16:00
見積書類作成
17:30
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
デジタルマルチメーター
電圧、電流、抵抗などを測定する計器。「電気系統が正常に稼働しているかを計測するものです」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

安定的な電力は
暮らしや産業に不可欠。
SDGsを達成するためにも
ゼロカーボンを推し進める上でも
クリーンエネルギーの象徴である
水力発電を今一度、注目してほしいですね。

北海道企業局

環境にやさしいクリーンエネルギーと良質な工業用水を供給。電気事業では、鷹泊、ポンテシオ、岩尾内、シューパロ、清水沢、沼の沢取水堰、滝の上、滝下、川端の9発電所を運営。工業用水道事業では、室蘭地区、苫小牧地区(第一施設、第二施設)、石狩湾新港地域への給水のために4施設を運営。

住所
北海道札幌市中央区北3条西7丁目 道庁別館10階
TEL
011-251-6213
URL
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kg/sum/index.html

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