川渕 麻衣さん
インタビュー公開日:2018.02.06

医療系の国家資格を目指し、
資料請求した中でピンと来ました。
眼科に勤務する川渕さんは、視能訓練士という国家資格を持つ、いわば『目の専門家』です。専門機器を用いた視力や眼圧、視野の検査など、症状に合わせて様々な検査を行うのが視能訓練士の仕事。また、斜視や弱視のお子さまに対し、視能回復に導くための訓練なども行います。最近になって少しずつ知られるようになった職業ですが、川渕さんはどのようなきっかけで?
「母が歯科衛生士だったこともあり、ずっと歯科衛生士を目指していました。でも母の指導のお陰で私は虫歯もなく、歯で悩んだことがなかったんです。半分悩みつつ、歯科衛生士の学校の資料を色々と取り寄せたところ、その中に視能訓練士学科がありました」
自身の視力は0.1以下と良くなかったこともあり、眼科にはお世話になっていた川渕さん。
「あの時検査してくれた人は視能訓練士だったのか!って。興味が沸きましたね」
「目」に関わる専門知識は深い!
人生で一番勉強しました(笑)
北海道ハイテクノロジー専門学校 視能訓練士学科に進んだ川渕さんは、国家試験の合格に向けて3年間、専門的な知識を学びます。
「試験勉強の内容は、目やレンズの構造を知るうえで欠かせない『屈折率』や『反射角』などといった光学的な内容のほか、細かな計算問題が多いのも特徴。苦手な分野だったので、とにかく必死でした」
取材中は、乱視の仕組みなど、こちらの興味で何気なく質問したことに対しても、専門的なことをかみ砕いてとてもわかりやすく説明してくれる川渕さん。苦手な分野だったとは、到底想像もつかないほど!
「会いに来たよ」って言ってくれることや
お子さまの視力が回復した時は心底うれしい。
眼科に来る患者さんの大半は近所にお住まいの方。お子さまや年配の方が多く、「会いに来たよ~!」「前回いなかったから寂しかったよ!」などと親しみを持って声をかけてくれるのがやりがいになっているそう。
近年は技術革新も進み、12歳頃までの斜視や弱視の場合、訓練によって手術を回避できる可能性があるとか。「たとえば左右の視力に差があるお子さまには、片方を隠して、視力の弱い方の目で物を見る訓練をします。日常生活の中でも実践してもらうことで視力回復につながり、私のアドバイスが役に立てたのかもと感じられる時や、その保護者の方に『ここに来て本当に良かった』と言ってもらえた時は、心底嬉しいですね」
相手に合わせて、伝え方に工夫。
強制ではなく、納得してもらうこと。
1日に40人~60人の患者さんと接するという川渕さん。どんな点に注意されているのでしょう?
「年齢など、相手に合わせた話し方で、きちんと伝わっているかどうか表情を見ながら伝えるようにしています。たとえば通院を嫌がる患者さんには、なぜ通院が必要なのかという理由をしっかり説明します。大切なのは強制するのではなく、納得してもらうこと。わかってもらうためにはどうしたら良いか、常に意識していますね。時には、他の院でも構わないので、必ず経過を見てもらって下さいと伝えることもあります」
病院があれば働ける。
女性も安心して働ける仕事です。
視能訓練士の仕事は、最近は男性も少しずつ増えてきましたが、特に女性にとっては働きやすい仕事だと川渕さんは話します。
「事情があって仕事を辞めた後でも、資格を持っているので復帰しやすいという点が、女性にとってありがたいですね。同期の中には、旦那さんの転勤で引っ越してからも、新しい地で視能訓練士として働いている方もいます。病院があればほぼ必ず働き口があるのは、魅力ですよね」
そのほかにも、目の構造がわかったり、どうして自分の目が悪くなったのかがわかるのも、この仕事の面白いところだと川渕さん。「視能訓練士として働いている方は、自身が目で悩んだことがある方が多いんです。もちろん、人と関わるのが好きな人にはオススメな仕事です!」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

目のことで悩んでいる方や、相談に来られる方に、専門知識を持ってお役に立てるお仕事です。目って奥が深くて面白いですよ!

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
PDメジャー
PDは、ピューピルディスタンス(左右瞳孔間距離)の略。メガネを作るにあたって、目と目の間隔を測るアイテム。視能訓練士にとっては必需品です。

なかお眼科

平成10年に開設し、地域に根付く眼科。お子さまの視力、角膜疾患、緑内障などを含む眼科一般検査に対応しています。

住所
北海道札幌市西区西町北20丁目3-10 
SR宮の沢メディカルビル3階
TEL
011-669-3111

お仕事データ

『目』にまつわる専門家
視能訓練士
視能訓練士とは
目の健康を守る、
眼科領域のスペシャリスト。

眼科医の指示にもとづき、目の検査や機能回復の訓練などを行うスペシャリスト。仕事は大きく四つの分野に。一つは視力や眼圧、視野、色覚、光覚などを検査する眼科一般検査。二つ目は斜視や弱視の患者さんに両眼視機能を回復させるための訓練・指導を行う視能矯正。三つ目が地域で行われている乳幼児健診や学校健診などの健診業務。最後は加齢や生活習慣病により視力が低下してしまった人のリハビリ指導です。視能訓練士は乳幼児からお年寄りまで、幅広い世代の目の健康を守るお手伝いをしています。

視能訓練士に向いてる人って?
几帳面に仕事をこなし、
相手と上手く意思疎通をはかれる人。

視能訓練士は眼科医の診療に直結する検査を行う仕事。一つのミスが重大な事故につながりかねないため、何度も確認を行い、きっちりと確実に仕事を行える几帳面さが求められます。また、斜視や弱視については乳幼児のころに発症することが多く、早期治療が改善のカギ。子どもが何を感じているのか、何を伝えたいのかを読み取らなければなりません。このように患者さんと上手く意思疎通を図るコミュニケーション能力も大切な素養です。

視能訓練士になるためには

視能訓練士として働くためには視能訓練士国家資格への合格が必須。高校卒業後、国が指定する視能訓練士養成施設(大学・専門学校)に進んで受験資格を得るのが一般的なルートです。短大などで指定科目を履修した後、視能訓練士養成施設で必要な知識や技術を1年~2年かけて修得するルートもあります。あまりメジャーではありませんが、外国の視能訓練士の学校を卒業する道も。国家試験合格後は、眼科医院や病院に就職します。

ワンポイントアドバイス
高齢者が増えていることも後押しし、
視能訓練士のニーズも拡大!

高齢者が増えていることから、目に問題を抱える人も多くなっています。この傾向が後押しして、眼科分野のスペシャリストである視能訓練士のニーズは拡大中。最近は有資格者数も増えていますが、まだまだ人数が足りていないのが現状です。今後、しばらくはチャンスが広がっている職業といえるでしょう。