赤澤 美香さん
インタビュー公開日:2019.09.18

趣味の編み物から発展し、
お店の顧客から社員に。
たくさんの種類の布や糸、毛糸やビーズなど、手芸に関するものなら何でもそろうカナリヤ。赤澤美香さんは、カナリヤのフロアーマネージャーとして、接客から売場の管理、そして商品の仕入れまで、さまざまな仕事をしています。
高校生のころから編み物を習っており、一時は講師を目指すほどで、もともとはお店のお客だったという赤澤さん。社会人になってから、編み物の先生の紹介でカナリヤが求人を出していることを知り、最初は支店でパートとして働くことに。その後正社員として採用され、本店に異動し、徐々に売場の管理や仕入れなども任されるようになりました。
この商品をどう売るか?を考え、
楽しい売場作りに注力。
カナリヤではたくさんの商品を扱っていますが、ただ仕入れて並べているだけでは興味を持ってもらえません。「例えば布だったら、どのくらいの大きさや量の単位で売るか、どこのコーナーに置くか、買いやすい価格など、一つ一つ考えていきます。そして、使い方のイメージが伝わるように、見本の作品を作って展示します。他のフロアで販売するものも組み合わせて、楽しい売場作りをいつも考えているんですよ」
お客様との会話も大事にしています。はじめての方には噛み砕いてわかりやすくアドバイスしますし、作品作りや商品について詳しく話したい熟練の方にも親身に対応しています。
フロアのリーダーとして、
職場の雰囲気作りにも配慮。
赤澤さんが担当する4階は、社員2人とパートさん8人が働いています。「人数の多いパートさんに支えられていますね。皆さん、手芸が好きで来ているので、入ったら長く働いてくれています」
マネージャーに昇格したのは1年前。その前にマネージャー代理として積んだ経験が、今につながっているといいます。「まず自分が辛い表情を出さずに笑顔でいることが大事。そこに気づいたら、フロアの雰囲気がいつも安定するようになりました。メンバーと情報共有してコミュニケーションをしっかりとり、うまく売場が回ると気持ちがいいです。『みんなが楽しく働けること』をいつも大切にしています」
海外での仕入れも経験。
次に売れる商品を見極めます。
商品の仕入れでは、中国での買い付けも経験しました。中国の問屋は、世界でもいち早くトレンドの商品が手に入る場所で、ヨーロッパの会社なども買い付けに来ています。そこでこれから売れる商品、他社にないものを見極めます。
普段は、メーカーの人がお店に商談に来てくれることも多く、全国の情報を聞いたりしながら仕入れていきます。北海道は冬物の商品への入れ替えが他の地域より早く、まだ暑い8月からが出始めるとか。北海道で売れた冬物は全国でも売れると言われており、メーカーは北海道で売れ行きを試すそうです。
仕事のコツは楽しむこと。
手芸業界を盛り上げたい!
さまざまな役割を持ち忙しい毎日ですが、「好きなものに囲まれ、いろいろなことが経験でき、楽しいです」と赤澤さん。「自分自身も前向きに楽しむことが、仕事を続けるコツだと思います。一つの仕事を覚えるまで根気よく繰り返しやっていくこと、接客でも細かいことを気にしすぎないこと。悩むよりも明るくやっていくことが大切だと思います」
現在は、ハンドメイドブームでイベントなども盛り上がっています。「札幌の作家さんとつながっていきたいと考え、社外のイベントにも出向いて声を掛けています。店内で作家さんのコーナーを展開するなど、メーカーとも協力しながら手芸業界を一緒に盛り上げていきたいですね」
シゴトのフカボリ
服飾バイヤーの一日
9:45
出勤、点呼
10:00
開店、お客様のお出迎え、接客応対
12:00
昼休み
13:00
店内でお客様に手作りの講習会
15:00
商談
17:00
パソコンで売上の確認、行事の計画など
18:45
点呼、退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

同じ仕事をしていると飽きることもあると思いますが、そこでめげずに継続し、突き詰めていくことで、レベルの高い知識や応用力が身についていきます。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
もう何代目!?20センチの竹尺
常にポケットに入れ、毛糸のゲージ(段数、目数)を測ったり、お客様が持ち込んだ物を測ったり。この長さが一番使い勝手が良く、竹製は目盛が消えづらく使いやすいんです。

株式会社カナリヤ

昭和5年に創業し、現在は道内7店舗で手芸・クラフト用品を展開、講座なども随時開催。趣味の手作りから本格的な洋裁までニーズに応えています。

住所
北海道札幌市中央区南1条西2丁目
TEL
011-261-1281
URL
http://www.kanariya.co.jp/index.html

お仕事データ

売れる商品を見極めるプロ!
バイヤー
バイヤーとは
生産元を訪ねて品物を買い付け、
売り出すところまでを担当。

洋服や靴、宝飾品、家電、家具、食品など、身近なショッピングの裏舞台で活躍しているのがバイヤー。都市部で開催される展示会や地方の工場、生産者のもとなどに足を運び、品物を見た上で買い付けするのが仕事です。性別や年齢といったターゲットに向け、どれくらいの数量を仕入れられるのかリサーチしながら、店舗で売れそうなものを見極めます。さらに、店頭価格を決め、販売員や広報担当者にコンセプトを伝えるなど、商品を売り出すまでの役割も担います。

バイヤーに向いてる人って?
最新情報を日頃からチェックし、
良い品物を選ぶセンスを磨ける人。

バイヤーは「この商品は売れる」ということを見極める目が大切。そのため、ファッションやグルメ、電化製品など買い付けを担当する分野の最新情報を日頃からチェック&勉強する姿勢が求められます。また、良い品物を見抜くセンスも必要なため、「プレゼントを選ぶのが得意」「料理の味がよくわかる」など、自らの感覚に自信がある人も向いているでしょう。また、買い付けた商品がいくらの利益を生み出すか考えなければならないことから、数字に強いタイプにも素質があります。

バイヤーになるためには

バイヤーとして働くために必要な資格はありません。ファッション業界で働く場合は服飾系の専門学校に進み、アパレル企業に就職するのが王道ルートです。また、百貨店のバイヤーは複数の売場を担当するため、大学でさまざまな知識を学んだ後に就職するケースが多いようです。いずれの分野のバイヤーも企業に所属するのが一般的。最初は販売員として経験を積み、バイヤーにステップアップするケースが大半です。

ワンポイントアドバイス
変わりつつある消費者の動向。
今は「モノ」より「コト」の時代!?

現在の日本ではかつてのようにブランド力が高く、優れた商品だけが売れるとは限らないようです。高級な腕時計よりも「オールハンドメイドの希少品」が好まれたり、農家が苦労を重ねて加工した食品に惹かれたり、モノそのものよりも「コト」を重視した消費が増えているといわれています。バイヤーは、こうした消費者の動向をいち早くキャッチし、商品の背景に広がるストーリーにも目を向けなければなりません。