熱海 亘さん
インタビュー公開日:2018.04.17

大きな重機を自在に扱える、
そこに魅力を感じUターン。
森林で働く重機オペレータと聞くと屈強な方をイメージしますが、お話をうかがった熱海亘さんは笑顔が優しい好青年。話しぶりもやわらかです。
「熱海産業は大正時代に創業した老舗企業です。自分は4代目。代表取締役の父やスタッフとともに、造林や木材の生産などの仕事に取り組んでいます」
今は同社の要として活躍する熱海さんですが、子どものころは林業の道に進むとは考えていなかったとか。
「学校を卒業してしばらく派遣の仕事やアルバイトを経験し、22歳の時に置戸にUターンしました。父から『継いでほしい』と言われたことはありませんでしたが、もともと機械いじりが好きだったので、大きな重機を自由に扱える森の仕事もいいかなと(笑)」
苗植えから伐採までその間何十年
健やかな森を守り育てていく仕事。
町有林や民有林などの人工の森林を舞台に、苗木の植え付けから伐採(木を切り倒すこと)さらに木材の運び出しまで幅広く取り組むのが林業という仕事。雪が積もったらその年の業務は終了…と思いきや、一年を通じて仕事があるそう。
「春は地ごしらえや苗木の植え付けし、夏は苗木の成長を助けるために雑草などを刈り取ったりします。秋は健康な森にするために間伐(不要な木を取り払う)に取り組んだり、再び苗木を植えたり。冬は充分に成長した木を伐採し、造材所などへと運び出します」
これらの仕事には、刈払い機やチェーンソー、さまざまな重機、トラックなどの機械や専用車両が活躍。
「機械や車両を扱うには専門の資格が必要です。最近は多くの会社が、スタッフの資格取得をバックアップしてくれていますよ」
指先一本で大きな木が倒れ
あっという間に木材が完成!
ここで実際に林業で活躍する「ハーベスタ」という重機を見せていただくことに。
「木を切ったり、皮をむいたりという作業はもちろん、今日の木材の量などのデータまですべて、操縦席に備えつけられたタッチパネルのパソコンで管理しています。それではちょっと実演してみますね」
ハーベスタは一本の針葉樹の前へ。大きなモーター音がしたと思うと、前方のチェーンソーが回転し、立木があっという間に倒れます。その後も先端のローラーなどが素早く作動し、見る見る間に5本の丸太が切り上がりました。スゴイ!そしてカッコイイ!
「これまでチェーンソーや人力で行っていた作業も、今はこうして指先ひとつで簡単にできるようになっています。大木を瞬く間に丸太にできるわけですからね、操作しててもスカッとしますよ」
北海道の自然の中で働きたい
そんな思いを抱える若者たちも。
熱海産業で林業に取り組む仲間はおよそ15名。ベテランスタッフもいますが、10~20代の若者も働いているとか。
「釣りや田舎暮らしが好きで転職してきた人、林業体験で仕事の面白さを知り入社してきた地元の若者、体を使った仕事をしたくて兵庫県から移住してきた人などもいます。特に若い人たちは、北海道の自然の中で働きたいという思いがあるようですね」
昔は体力的にハードで、休みも少なかった森の仕事。しかし今は、法令に従い労働環境が整った会社も増えています。もちろん熱海産業もそういった企業のひとつ。
「週休のほか一般企業と同様の長期休みもありますし、年度末の3月には2~3週間の休暇も設けています。資格の取得もすべてバックアップしますし、賞与も年に3回あるんですよ」
昔も今も変わらないのは
健やかな森を育てる気持ち。
熱海さんのお父さんにもインタビュー。昔と今、林業の仕事の内容はかなり変わったでしょう?
「昔は機械などなかったですからね。大きなのこぎりを使い二人で力を合わせて木を倒したり、馬ソリに材木を積んで一日がかりで運び出すなど、苦労が多かったですね。今は、機械も進化していますし、働く環境も段違いによくなりました」
ただ昔と変わらないこともありますとお父さん。
「それは森を育てるという気持ち。若い時分に自分が植えた苗が、大きな木に成長していくのを見るのは本当に気持ちのいいもの。この仕事一途のベテランが大勢いるのも、この気分を一日でも長く味わいたいからだと思いますよ」
シゴトのフカボリ
林業重機オペレーターの一日
6:00
出勤
7:00
森林の現場へ、間伐作業
12:00
昼休憩
13:00
間伐、除草
16:00
退勤

熱海産業株式会社

置戸町やその近郊の市町村に広がる森林を舞台に、造林・素材(木材)生産などを幅広く請け負っている企業。創業は大正時代。

住所
北海道常呂郡置戸町字置戸261番地の5
TEL
0157-52-3504

お仕事データ

さまざまな現場で重機を操縦!
重機オペレーター
重機オペレーターとは
重機を運転・操作して作業する、
ダイナミックなスケール感が醍醐味!

ビルの建設や道路工事、林業の木材の積み込み、工場内の資材運搬など、さまざまな現場で活躍する重機オペレーター。油圧ショベルを使いこなして土砂を掘り起こしたり、ブルドーザーで地面をならしたり、フォークリフトに乗って荷物を運ぶなど、重機を運転・操作して幅広い作業を進めるのが主な仕事です。人の力ではできないダイナミックなスケールの業務が多く、その分達成感も大きいでしょう。

重機オペレーターに向いてる人って?
集中力を持続させるのが得意で、
慎重に作業が進められる人。

重機オペレーターは一日の大半を重機に乗って過ごします。力仕事はそれほど多くありませんが、機械を運転・操作するには繊細な動作も必要。そのため、集中力を持続させるのが得意な人は向いているでしょう。また、重機は運転・操作を一歩間違えると大きな事故につながりかねません。常に安全確認を行って作業するような慎重さも求められる仕事です。

重機オペレーターになるためには

重機オペレーターとして働くために特別な学歴は必要ありません。ただし、重機を扱うためには資格が必要。運転・操作する種類によって異なりますが、「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」を受けることでブルドーザーやホイールローダ、パワーショベルといった数多くの重機を運転・操作できるようになります。この資格を取得した上で、「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」を受ければ、解体現場や林業などで「モノをつかめる」アタッチメントを付ける操作も可能になります。

※資格取得については、各運転技能講習のホームページをチェックしてください。

ワンポイントアドバイス
体力がそれほど必要ではないため、
女性の重機オペレーターも活躍!

重機オペレーターというと、一昔前は「男性の仕事」のイメージ。けれど、重機の運転・操作にはそれほど体力が必要とされるわけではないため、最近は女性の重機オペレーターも徐々に増えているといわれています。また、男性に比べると重機を優しく繊細に扱うケースが多いことから、「故障や部品交換が少なく重機を長く使える」と評価する人も。今後も女性の重機オペレーターはますます活躍すると見込まれています。