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松倉 美波さん
インタビュー公開日:2018.07.30

短大で図書館司書の資格を取得。
狭き枠に合格し、現在の職場へ。
図書館にある膨大な蔵書を管理している図書館司書。受付カウンターの奥は私たちには見えませんが、どのような仕事をしているのでしょうか?
松倉美波さんは、札幌市の市立図書館である中央図書館で、司書として働いています。高校卒業前、進学先を選択する時に、就職率が高く図書館司書の資格も取れる短大を選択。
入学して、図書館司書の資格を取りました。図書館司書の採用枠は少なく、卒業後は大学の図書館で臨時職員として働いていました。
「実際に図書館で働いてみると、来館者が探している本を見つけて渡せるカウンター業務が楽しく、新しく購入する本の選書などもできる司書職にもさらに興味が湧きました」
その後、札幌市で欠員補充の募集があり、見事合格。中央図書館で働くことになりました。
図書館の蔵書の管理、新規購入、
修繕など仕事は多岐にわたります。
図書館の棚に数字が書いてあるのを見たことがある人も多いのでは。
図書館司書は、この分類に従って本を保存・管理します。
また、新しく購入する本を業者から来るリストから選んで発注したり、購入した本や雑誌、寄贈本を登録してカバーをかけて閲覧できる状態にしていきます。
季節や行事に合わせた特設コーナーの飾りつけも行っています。
その他にも、壊れた本の修繕も司書の役割です。
「カビが生えてしまった本は破棄するしかないことも。でも、国内でここにしかない貴重な本などもあるため、できるだけ残しておきたいですよね。
市民みんなの本なので、大切に読んでいただきたいなと思います」
重い本を持って階段を移動。
図書館司書は意外と体力勝負!
中央図書館には、約87万冊もの本があります。
一般的な小説や趣味の本、雑誌などの他にも、郷土資料も充実。
アイヌに関する本や、古地図など北海道の歴史に関する資料も多数蔵書しています。
図書館の職員は、本に囲まれてゆったりと仕事をしているようにも見えますが、実際のところは?
「実は、意外と体力勝負なんです。皆さんが見られる書架の他にも、裏の書庫にもたくさんの本があり、棚を移動させるために重い本を持って階段で移動することも多く、働き始めてから5キロ痩せました!」
先輩職員は長く働いている人が多く、話しやすく頼りになり、居心地の良い環境だと松倉さん。
来館者が求める本や情報を探し、
提供できることが大きな喜びです。
娯楽の本だけでなく、市民の課題解決に役立つ情報提供をするのも、市立図書館の大きな特徴です。
購入する本も、情報として信ぴょう性のあるものを選ばなければなりません。
また、「◯◯時代の戦に関わった武将の名前が知りたい」など、カウンターで聞かれた質問に答えるための蔵書を探すといった対応もしています。
「来館者の方が探していたものを見つけて、喜ばれた時はうれしいですね。
以前、家計簿の本を探していた方がいましたが、書き込み式になっている本はあまり置かないので、書架にはありませんでした。そこで蔵書から探し出して古い本を見つけた時は、『あんたすごいな!』と言ってもらえました」
人のために本を選ぶ仕事。
新しい情報の収集も欠かさず!
本に関わる仕事も多様にある中、図書館司書に向いている人は?
「図書館司書は、来館者のための本を選ぶ仕事。カウンターでの接客もあるので、人と接することが好きな人に向くと思います。また、常に調べ物をするので、探究心がある人がいいですね」
自身も子どものころから本が好きだったという松倉さんは、司書になってからさらによく読むようになったといいます。
選書の仕事のため、ニュースなどからも幅広い知識を仕入れています。仕事帰りに、書店で担当する分野の本をリサーチして回ることも習慣になっているとか。
市民に新しい良い本を提供するために、影の努力も欠かしません。
シゴトのフカボリ
図書館司書の一日
10:45
出勤
雑誌新刊のデータ登録、装備
11:30
市外の図書館との相互貸借の書類作成、発送
12:30
昼休み
13:15
選書、新着本の登録、装備
15:30
カウンター支援をしながら選書
寄贈本受付、本の修繕
市内の図書室からの貸借申し込み受付
17:15
退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

本は、どんなに読んでも人生の無駄にはなりません。学生時代から活字を読む習慣をつけておくと、就職してから必要になった時に、苦にならずに読むことができますよ。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
日本十進分類法
日本図書館協会で発行している「日本十進分類法」は、本の分類とその番号が細かく書かれています。蔵書の管理には欠かせない資料で、業務の中でよく開いています。

札幌市中央図書館

札幌市立図書館の中心的な役割として、約87万冊の図書、視聴覚資料などを所蔵しています。さまざまな情報提供やイベントなども行っています。

住所
北海道札幌市中央区南22条西13丁目1番1号
TEL
011-512-7320
URL
http://www.city.sapporo.jp/toshokan/sisetu/chuo/chuo.html

お仕事データ

人と本とを結ぶ仕事!
司書
司書とは
カウンター業務だけでなく、
書架整理やイベント企画なども担当!

公立図書館や大学図書館、小中高校の図書室、企業の専門図書館などで本の管理や資料集め、書架(書棚)整理などにあたるのが司書。本の貸し出しや返却の対応、新規利用者登録、求められている本を探すレファレンスサービス、予約やリクエストの受け付けといったカウンター業務がよく知られています。他にも、限られた予算から新しい本を購入する選書、蔵書の点検、返却された本を元に戻す配架、書架をチェックして並べ直す書架整理など、司書の仕事は多種多彩。図書館によっては絵本の読み聞かせや講演会をはじめとするイベントを企画することもあります。司書は人と本とを結びつける、図書整理・紹介のエキスパートです。

司書に向いてる人って?
本と人が好きなことに加え、
整理や分類、検索が得意な人。

本と関わる業務が大半を占めることから、特定ジャンルに偏ることなく「本が好き」であることが大前提。加えて、貸し出しや返却はもちろん、利用する方の求める情報をヒアリングした上で本を探すこともあるため、コミュニケーション能力も必要です。データベースを駆使して資料を見つけるには、適切なキーワードを選び出す検索力も重要。また、整理や分類が得意な人も、司書に向いているでしょう。

司書になるためには

司書として働くために国家資格の「司書」が必ずしも求められるわけではありません。とはいえ、多くの図書館では応募の条件にしていることから、取得しておいたほうがベターといえます。「司書」の取得には三つのルートがあり、一つは大学や短期大学在学中に「司書養成科目」の単位を修得する方法。二つ目は大学や短大、高等専門学校を卒業した後、「司書講習」を修了して資格を取得するコース。「司書補講習」を受け、3年以上司書補(司書を補佐する仕事)として勤務し、「司書講習」を修了した上で資格を得る道のりもあります。その後、希望する図書館の司書採用試験や地方公務員試験(司書の専門職もしくは一般行政職)に合格し、初めて司書として働くことができるようになります。公立図書館の場合、各自治体の試験に合格したからといって、確実に図書館で働けるとは限らないのでご注意を。

※司書の資格については、詳しくは文部科学省のホームページをご確認ください。http://www.mext.go.jp/

ワンポイントアドバイス
図書館の司書だけでなく、
学校司書や司書教諭も視野に。

公共図書館や企業の専門図書館で司書が募集される機会は多いとはいえず、倍率も高い人気職業でもあることから狭き門といわれています。可能性を少しでも広げたいという方にオススメなのが「学校司書」や「司書教諭」も視野に入れること。学校司書は学校内にある図書館で司書業務を行う仕事で、各学校単位で募集されています。制度上は資格が必要とされませんが、「司書」「司書教諭」が必要とされるケースが大半です。司書教諭は教員であると同時に学校図書館で図書の選択や購入、読書相談、読書指導などにあたる仕事です。「司書教諭」になるには小学校、中学校、高校または特別支援学校の教諭の免許状を取得し、「司書教諭講習」を受講して司書教諭の資格を取得する必要があります。