増原 妙子さん
インタビュー公開日:2018.11.27

祖母のご葬儀の担当者が、
本当に心強い存在でした。
お葬式とは亡くなった方のご冥福を祈り、丁寧に弔う儀式。一般的にはご遺族や親戚とともに生前親しかった人が最後の夜を過ごす「お通夜」、故人様とのお別れを惜しむ「ご葬儀」に分かれています(※宗教やご遺族の考え方、地域によって形式はさまざま)。
このお葬式を形づくるのがセレモニープランナー。あいプラングループの増原妙子さんも、その一人です。もともとはペット用品を扱う会社で働いていました。
「昨年祖母を亡くした時、そばに寄り添ってくれたのが葬儀会社の担当者。ご葬儀の経験が少ない私たちを親身にサポートしながら、やさしい言葉で気づかってくれたんです。気持ちが沈んだり、不安だったりする中、本当に心強い存在でした」
折しも、増原さんは転職を考えていたタイミング。昨年12月にあいプラングループ「やわらぎ斎場」の求人を見つけ、葬祭業界にチャレンジすることを決めました。
研修やテキストで知識を身につけ、
先輩から振る舞い方を学ぶ日々。
「以前の職場は倉庫作業がメインで人と接する機会は少なかったんです。しかも、ご葬儀については分からないことばかり。もう、未経験中の未経験でした(笑)」
増原さんは不安を抱えながら勤務をスタート。けれど、研修と勉強会がしっかりと整っている上、4~5カ月は「先生役」の先輩と一緒にお葬式の流れを学べました。
「ご葬儀は宗教や宗派によって準備するものも違えば、祭壇の配置も異なります。すべての知識を身につけるのは難しいので、今はまだテキストやマニュアルでカバーすることも多いんです」
一方、ご遺族との接し方や言葉のかけ方にはセオリーがありません。悲しみの深さや故人様との関係を読み取りながら、どう声をかけて何を聞くべきかは同行の先輩の振る舞い方から身につけていきました。
分業制で一人ひとりの
負担を減らしてくれています。
あいプラングループでは、先輩とのマンツーマン研修を終えた後に知識と実技の試験が待っています。増原さんは約半年後に合格して一人立ちしました。
「当グループでは分業制を採用しています。例えば、お花を飾り付ける担当がいたり、湯灌(ゆかん/故人様の体や髪を洗い清める仕事)は外部スタッフにお願いしたり、一人ひとりの負担が少なくなるように配慮してくれているんです」
お葬式の依頼が入ると、まずは受注スタッフが祭壇の大きさや棺の種類といった大まかなプランをヒアリング。その内容に添って、セレモニープランナーがご遺族と打ち合わせします。お通夜の朝に遺影の準備やお礼状の内容、食事関係について話し合い、故人様を斎場へと搬送するのがスタートラインです。
「受注スタッフがご遺族の様子を教えてくれるので、どうお言葉をかけるべきか自分なりに考えられるんです。おかげでかなり助かっています」
アイデアでご遺族の思いを
実らせるのも私たちの役割。
セレモニープランナーはお通夜とご葬儀を2日間通して担当。ご遺族の意向を汲み取りながら、お通夜の日は祭壇や弔問客の椅子の準備、裏方スタッフの手配に加え、時には自ら司会を務めることもあります。
「お通夜が終わると、ご遺族も少しずつ気持ちの整理がつき始めます。ただ、あまりの悲しみに棺のそばから離れられない方も少なくありません。私はできる限り気持ちに寄り添いつつ、体を休めていただくようにもすすめています」
翌日はご葬儀の準備。火葬場への出棺をお見送りした後、忌中引き法要(初七日や四十九日の繰り上げ法要)や会食の会場を整えます。そして、法要が終了後、ご遺族のお見送りとなります。
「中には故人様の思い出の品として時計を火葬したいという方も。ただ、電池が爆発するのでNGなんです。困っていた時、先輩がその時計を写真に撮って棺に入れようとご提案しました。こんなアイデアでご遺族の思いを実らせるのも私たちの役割だと気づかされた一幕です」
「増原さんで良かった」の
言葉がうれしいです!
お葬式がない日のセレモニープランナーは何をしているのでしょう。ふと思いついた質問を投げかけてみました。
「集金に出かけたり、四十九日法要までに使う中陰祭壇を引き取ったり、ジッとしているワケではありません(笑)。私は『やわらぎ斎場 篠路』の所属ですが、大きな斎場のヘルプをすることもあります」
シフトは月9日休で希望休も通るので、連休も可能なのだとか。けれど、ご遺族の生の感情にふれたり、心遣いに神経を張り巡らせたり、決してラクな仕事ではないはずです。一体、モチベーションの源はどこに?
「ご遺族が私に担当してもらえて良かったと言ってくださるのもうれしいです。何より、人生でただ一度きりの最期のお見送りを、いわば他人の私がお手伝いできることに達成感を覚えます」
そう言って微笑む増原さん。お葬式の仕事は悲しみに包まれるのではなく、人のために働ける場なのだということを教わった気がしました。
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
知識のすべてが詰まったバッグ。
ご遺族のご自宅にお伺いする時も、お客様にご対応する時も、常に持ち歩いているのがこの「アプローチバッグ」。中にはセレモニープランの価格表やマニュアル、書類関係など、私たちに必要な知識のすべてが入っています。

お仕事データ

要望に添ってご葬儀をサポート。
セレモニープランナー
セレモニープランナーとは
故人様を無事にお見送りできるよう、
葬儀全般をコーディネート。

セレモニープランナーはご葬儀全般のプランを組み立て、式場の準備や弔いの儀礼を支えるのが主な仕事。(故人様のご遺族や病院、警察からの訃報を受け、まずは故人様の安置や納棺の儀式を行います。その後は喪主と打ち合わせた上で、要望に添って祭壇の設営や火葬場・車両・料理・返礼品の手配、お通夜とご葬儀の司会進行、弔問客の誘導などをサポート。ご臨終直後から喪の儀礼をコーディネートし、故人様を無事にお見送りできるようにお手伝いします。

セレモニープランナーに向いてる人って?
細やかな心遣いができ、
冷静な判断力とチームワークに長けた人。

ご遺族は悲しみや動揺に包まれているため、細やかな心遣いと思いやりを持ちながらも、冷静に対応できる人が向いているでしょう。病院や火葬場との連携が必要とされることから、調整力やスケジュール管理なども重要なスキルです。進行役や会場準備係、司会とチームワークを密にとれるコミュニケーション能力も求められます。

セレモニープランナーになるためには

セレモニープランナーになるために特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、葬祭業界を目指すための専門学校(学科)もあるため、就業前に宗教の知識や実習経験を積んでおくのもおすすめですが、未経験でも大丈夫。ご遺族の自宅への訪問や斎場への送迎といった業務もあることから、普通自動車免許の取得が必要です。

ワンポイントアドバイス
「葬祭ディレクター技能審査」は、
ご葬儀をプランニングできる証。

セレモニープランナーとして実務経験を積むことで、厚生労働省認定の「葬祭ディレクター技能審査」の資格にチャレンジできます。2級は実務経験2年以上(または葬祭ディレクター技能審査協会が認定した教育機関のカリキュラムを修了)、1級は実務経験5年以上で受験資格を得られます。いずれも学科試験と実技の両方が問われる試験です。2級は「個人葬」、1級は「社葬」までプランニングできる証となります。

※「葬祭ディレクター技能審査」については、詳しくは葬祭ディレクター技能審査協会のホームページをご確認ください。http://www.sousai-director.jp/