山上 駿一さん
インタビュー公開日:2019.09.17

新千歳空港の保安検査場を守る。
どんな仕事なのか興味がわいて。
毎日たくさんの飛行機が離着陸する空港。快適な空の旅をサポートするために、さまざまな人が働いています。山上駿一さんもその一人。空港保安検査員となって6年が経ちました。新千歳空港の保安検査場で手荷物検査やボディチェックを行い、機内持ち込み禁止品に目を光らせています。
「空港保安検査員になったきっかけは、知り合いの紹介です。飛行機に乗ったことはあるので、仕事内容はすぐにイメージできました。実際はどんなふうに検査しているのか。興味がわいて挑戦してみようと思いました」
最後の砦を任された責任感。
気がかりをとことん検査する。
飛行機に乗るとき、誰もが避けて通れない保安検査場。どんな検査が待ち受けているかというと、「搭乗券やパスポートの確認」「セキュリティゲートでのボディチェック」「手荷物の検査」です。これは国内線でも国際線でも変わりません。空港保安検査員たちは、これらの検査を分担して行っています。
保安検査場は、安全な空の旅を守る最後の砦なのです。「われわれのミッションに責任を持って、危険物ではないという確証が得られるまで、粘り強く検査しています」と、山上さんは頼もしく語ってくれました。
威厳だけでは務まらない。
警戒心をやわらげる会話も。
人があふれて華やかな空港の中にあって、保安検査場には独特の緊張感があります。「検査にはどうしてもマイナスのイメージがつきまといます。アラームが鳴ると荷物を没収されるかもしれない…と、身構えているお客さまも少なくありません」と山上さん。
空港保安検査員の責任感と搭乗者の警戒心が、ピンと張り詰めた空気をつくり出しているのでしょう。その緊張を破り、荷物を開いて見せてほしいというお願いをしなければならないこともあります。「理由を説明しながら会話を重ねていくと、最後には、ブスッと不機嫌そうだったお客さまが笑顔になります。コミュニケーションが大切な仕事なのだとつくづく思います」
お客様の国の言葉で話す。
一期一会の笑顔がうれしい。
山上さんの所属する会社がメインで担当しているのは、国際線の保安検査場。日々の業務では、日本語のほかに英語、韓国語、中国語、ロシア語、タイ語を話します。
「もともと語学は苦手。入社してから先輩に教わり、少しずつ話せるようになりました。保安検査に必要な言葉はマニュアル化されているので、なんとかなるものです。覚えたての単語が相手に伝わると楽しくて。ほとんどのお客様は一期一会。話しかけて笑顔が返ってくると、うれしいですね」
保安検査という厳しい仕事をこなしながら、お客様とのコミュニケーションを楽しみ、親善大使さながらの山上さんです。
積極的に学ぶ気持ちがあれば、
きっとこの仕事に向いている。
「この仕事を紹介されたとき、警備業だということすら知りませんでした」と、山上さんは笑います。空港保安検査は、航空会社から委託された警備会社が担っている仕事。ミッションは、地上の砦・保安検査場で、危険物の持ち込みを阻止して、安全な空の旅を守ること。まさにガードマンです。
「入社前に必要な資格はありません。仕分け担当からスタートして、知識と実務を積み、会社のサポートを受けながら、国家資格である空港保安警備業務検定の取得を目指します」
保安検査の要ともいえる手荷物の検査は、この資格と豊富な経験を持つベテランが受け持つことが多いそうです。山上さんも一つひとつの業務を覚えて、いまや副統括責任者として、現場の取りまとめと会社の運営を担っています。
「誰もが未経験から始められる仕事です。積極的に学ぶ気持ちがあれば大丈夫。興味のある人は、ぜひ飛び込んできてくださいね」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

空港保安検査員に興味のある人はもちろん、空港の仕事に憧れている人、僕のように語学がむしろ苦手な人に向いている仕事だと思います。安全な飛行機の旅を一緒に守っていきましょう!

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
金属探知機
セキュリティゲートでアラートが鳴ると、この金属探知機を使ってボディチェックします。それでも安全の確証を得られないときは別室での検査へ。「原因を発見できると達成感があり、お客様と喜び合います」

お仕事データ

空の旅の安全を守る!
空港保安検査員
空港保安検査員とは
手荷物の検査や、
ボディチェックで空港の保安を!

空港の検査場で搭乗券やパスポートのチェック(国際線のみ)、手荷物の検査、ボディチェックなどを行うのが空港保安検査員。具体的には身の回りに金属製品をつけていないか、荷物の中に持ち込み禁止品が入っていないか確認し、お客様にゲート型の金属探知機を通ってもらいます。その後、反応があれば金属類を取り外してもらって再度ゲートをくぐってもらったり、場合によっては小型の金属探知機でボディチェックをすることも。また、手荷物はX線透視装置に通し、花火や刃物など持ち込み禁止品がある際はカバンの中を確認。このように空の旅の安全を守るのが空港保安検査員の役割です。

空港保安検査員に向いてる人って?
飛行機内に危険物を持ち込ませない、
という強い責任感が必要。

空港保安検査員には、飛行機内に危険物を持ち込ませないという強い責任感が必要。中にはボディチェックや手荷物検査を不快に思うお客様もいるため、持ち込み禁止品や空港の保安についてきちんと説明できる毅然とした態度も求められるでしょう。また、多くの場合、検査場では各業務を役割分担してスムーズな検査を目指すことから、チームワークを重視する人も空港保安検査員に向いています。

空港保安検査員なるためには

空港保安検査員として働くための特別な資格はありません。一般的には高校や専門学校、短大、大学を卒業後、空港保安検査業務を請け負う警備会社に就職するのが王道ルートです。未経験から募集している会社も少なくないため、間口が広くチャレンジしやすい仕事といえるでしょう。

ワンポイントアドバイス
キャリアアップには外国語スキルや
「空港保安警備業務検定」の取得を。

空港保安検査員は外国人と接することも少なくないため、英語や中国語といった外国語を話せるスキルは重宝されるはずです。また、法令では、X線透視装置が設置されている現場には、国家資格の「空港保安警備業務検定」の1級もしくは2級を持っている警備員を一人以上配置することが義務づけられています。キャリアアップを目指す場合、この資格を取得するのが有利でしょう。

※空港保安警備業務検定については、詳しくは有限会社航空保安警備教育システムのホームページをご確認ください。http://www.e-ast.jp/