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萩 和朗さん
インタビュー公開日:2020.10.27

美しい景色も、おいしいものも、
「当たり前」ではなかったんです。
自分が暮らすまちの「政治」に興味はありますか?市町村区民の意見や要望に耳を傾けながら、役場で組んだ予算を判断したり、条例を定めたり、行政をより良く変えていくのが市町村区議会議員です。
「私は長沼町生まれの長沼町育ち。このまちにずっと暮らしていると、息を呑むような美しい風景も、おいしい食べ物も身近すぎて当たり前のものにしか思えませんでした。けれど、町外からの移住者とお話しすると、『長沼はいいところ』『土地柄や人柄が好き』といった声が続々と聞こえてきたんです」
こうお話しするのは長沼町議会議員の萩和朗さん。自分が生まれ育ったまちを改めて見渡したところ、移住者の言葉通り魅力の宝庫だったことに気づかされたと言います。
「文学台地区から望む夕焼け色の石狩平野、長沼町産の食材をふんだんに使うおいしいお店の数々、芸術家が多く暮らすアーティスティックな一面…こうした魅力をもっとたくさんの人に発信したいと思うようになりました」
長沼町を思う各団体の
パイプ役になろうと考えました。
3年ほど前、萩さんは長沼町の魅力を広めるという同じ志を持つ仲間とともに、「一般社団法人ながぬま」を設立しました。メンバーはコワーキングスペースの運営者や牧場経営者など多種多彩。一人ひとりの得意分野を生かし、道の駅のイベント開催や動物とのふれ合い体験、食のコーディネートといった活動に取り組んでいます。
「私は町内に工務店を構える経営者でもあります。不動産や移住についての発信はもちろん、食育や少年少女キャンプといった子どもたちへの取り組みに力を入れたいと考えたんです」
こうした活動を続ける中で、萩さんは町内には同じような思いを持つ団体が少なくないことを知りました。一方、それぞれの連携が希薄なことにジレンマを抱えるようになったそうです。
「そこで浮かんだのが町議会議員への出馬。まちの情報がスピーディーに届き、さまざまな人と綿密につながることができる立場として、自分がパイプ役になろうと考えたんです」
まずは町議会で
声をあげることが大切です。
萩さんは、2019年2月に行われた長沼町議会議員の選挙に出馬。「長沼町の子どもが町外に進学・就職しても、いずれ帰ってきたくなるようなまちづくり」を政策の柱として打ち出しました。
「同級生が後援会を立ち上げてくれたり、一般社団法人の仲間たちも選挙活動をサポートしてくれたおかげで、何とか当選できました。私と同年代の30~40代の初当選者も少なくなかったので、町民の皆さんも若い力や新しい風に期待してくれていたのだと思います」
長沼町議会議員は年4回の定例会に加え、常任委員会や特別委員会、臨時会などでまちをより良くする意見を出し合っています。町の予算や行政の調査・監視を中心に、住民の意見を議会の議題に挙げて形にするのも役割です。
「まずは、町議会で声をあげることがすべてのスタートライン。要望や提案を形にするには町議会の過半数の賛成が必要なので、いかに共感をしてもらうかということも大切です」
町議会議員の発言は、
「多くの町民の声」。
萩さんは「萩工務店」の経営者として働きながら、ビジネスの合間を縫って町民の困りごとをヒアリングしたり、関係者の集いに顔を出したり、日頃から情報収集に力を入れています。
「選挙の時にも掲げていたように、議会では子どもの教育や安全について発言をすることが多いです。例えば、子どもたちの登下校に不安を抱く方々の声を聞き、警察や他の自治体の事例を調査しながら長沼町の教育委員会に防犯の強化を掛け合いました。その結果、防犯カメラの増加につなげることができたんです」
住民やまちづくり団体の陳情はあくまで一つの意見ですが、町議会議員の発言は「多くの町民が考えていること」の総意。町役場の動きもスピーディになるのだそうです。
「信号を隠す危険な木の伐採も、みなさんの声を聴き、いち議員として要望を出したのですが実行に移すことができました。もちろん難しい部分も多々ありますが、スピード感を持ってまちを動かす手応えを感じているところです」
たくさんの仲間と一緒なら、
まちの未来は変えられます。
萩さんが長沼町議会議員に当選してから約1年半。任期4年の半分も過ぎていないため、「まだまだ議員として満足のいく仕事はできていません」と正直に語ります。それでも、議員としての立場と仲間と運営している一般社団法人を上手に使い分けながら相乗効果を生み出せたらと萩さんは考えています。
「最近では仲間と、小学生を対象にしたリアルな職業体験プログラムを考えました。町内のお祭りの中で子どもたちが架空の会社を作り、仕入れから販売、そして稼いだお金で好きなものを買うところまでの流れを組み込んだ内容です。ただ、新型コロナウイルスの影響から頓挫してしまい…。小さなうちから自分で生きるマインドを育み、いつか長沼町に戻ってきた時に起業も視野に入れてほしいという狙いがあったのですが(苦笑)」
萩さんは常に前を向き、長沼町の情報を素早くキャッチしたり、関係団体との連携を深めるために東奔西走。「多くの仲間と一緒ならまちの明日を変えられ、素敵な未来を想像できます。議員としても、早く町民の皆さんに『選んで良かった』と言われるような功績を残したいですね」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

自分のやりたいこと、自分が変えたいことを頭の中で想像するだけでは何も始まりません。その思いを言葉にして発信することで、同じ考えを持つ仲間が必ず集まります。皆さんも、ぜひ、自分の意見は声に出してください!

長沼町議会

1902年6月27日に開催された第1回村議会(定数12名)以降、現在の町議会(定数14名)にいたるまで、町民を代表する町の意思決定機関として長沼町の生活に深く関与。町の仕事が常に民主的で効率的、公正に行われているかを調査・監視するとともに、町行政の円滑な運営を確保。

住所
北海道夕張郡長沼町中央北1丁目1番1号
TEL
0123-88-0889(直通)
URL
https://www.maoi-net.jp/

お仕事データ

国や自治体を動かすリーダー。
政治家
政治家とは
暮らしを豊かに導くために、
さまざまな議論を重ねる仕事。

政治家は選挙によって選ばれ、国民や市民の代表として政治を行う人。国会議員や都道府県知事、都道府県議会議員、市町村長、市町村議会議員などを指します。国会で重要な議案を決めたり、道議会や市町村区議会などでさまざまな議論をしたりすることで、人々の暮らしを豊かなものに導くことが政治家の大切な役割。そのために必要な法律や条例、政治を進めるために必要な予算、教育や子育ての方向性などについて審議をして決定するのが重要な仕事です。

政治家に向いてる人って?
強いリーダーシップを持ち、
調整能力にも長けている人。

政治家は国や自治体の進む方向を決める舵取りを行わなければならないため、強いリーダシップが求められる仕事。さらに、「人のために働く」ということが好きでないと務まりません。政治家の仕事は一人で完結できないケースが多く、たくさんの人や関係団体と関わりながら一つの議案を進めていきます。賛成・反対意見を整理しながら、関係者と事前にコンセンサスを取るような調整能力も必要。国民や市民の期待に応えるというプレッシャーに打ち勝つ精神力も大切です。

政治家になるためには

政治家になるためには選挙に立候補し、当選しなければなりません。被選挙権が与えられるのは、衆議院と地方議員、地方自治体首長が満25歳以上、参議院議員と都道府県知事は満30歳以上です。学歴は必要ありませんが、政治家の仕事は法律や条例、行政に大きく関わるため、大学の法学部や経済学部、政治学部などに進学しておくと役に立つでしょう。また、議員秘書として政治に携わったり、政治塾に所属したり、政治経験や人脈を積み上げてから立候補する人も多いよう。当選するためには、自分が目指す社会像や政策を掲げるだけでなく、強い意志や覚悟も必要です。

ワンポイントアドバイス
政治家は、
自己マネジメントが大切!

政治家は審議に向けて知識や見識を深めるために関係者と意見交換をしたり、勉強会に参加したりする他、地域が抱える問題を把握するために地域で行われるイベントなどにも参加しています。国会議員、地方議員ともに特別職の公務員であり、勤務時間の定めはありません。国会の会期日数は年間150日間、地方議会の会期日数は平均85日ですが、議会閉会中の政策勉強会や資料集め、街頭演説などは早朝から活動することもあれば、夜から活動することもあります。活動時間も本人の裁量で決められる一方で、自己マネジメントが大切です。