菊地 孝樹さん
インタビュー公開日:2017.10.19

成果が目に見える塗装に関心。
幅広い経験を求めて今の会社へ!
家屋やビルの建設・リフォームに欠かせない塗装の仕事。菊地孝樹さんは、塗装工として伊藤塗工部に入社して13年目になります。
就職活動をする中で、建築関係の仕事に興味を持ったという菊地さん。関連する仕事をいろいろと調べていくうちに、建物が完成した後も自分の仕事の成果が残り続ける塗装に絞られていったといいます。
そんな時に現在の職場の求人に出会いました。
「伊藤塗工部は、マンションやビルのほかにも橋の管理など幅広い建築物に携わっています。ここに入れば、いろいろな場所に行って、幅広い経験ができると思いました」
塗装の技術は日進月歩。
営業、管理の資質を高める道も。
建築の塗装とは、外壁や内壁、屋根などに塗料を塗る、建設現場の最終的な行程です。外見を美しくするだけでなく、建物の補強をする役割もあるのです。
「一口に塗装といっても塗料の種類や塗り方は幅広く、色や質感、また塗る時の方法、道具によっても、仕上がりのイメージは全く違ってきます。新しい塗料が開発されると、それに伴う技術も必要になっていきますし」
塗装工としてのキャリアアップの道は、大きく分けると技術を磨いて高めエキスパートになる道、顧客とのつながりを強めて営業の役割を担う道、現場を仕切る管理者になる道の3つがあります。
菊地さんは、現場では管理者としての資質を高めると同時に、社外の研修にも積極的に参加して、より高い技術を身に付けています。
現場を仕切るリーダー役、
次世代の後輩の育成も積極的に!
建設現場は常にチームプレーです。同じ会社の社員や、外注先の塗装の職人をまとめる「職長」、さらに左官や建築金物など、同時に現場に入っている他の業種も統括する「現場代理人」が現場をまとめていきます。ちなみに菊地さんは「職長」と「現場代理人」のどちらも経験済み。管理者の役割を担う人は、人をまとめる力や、現場の状況を踏まえて全体の方向性を決めていく判断力が求められます。
ところで、建築関係の職人の世界は、上下関係が厳しそうですが実際はどうなのでしょうか?
「私が入社した時の先輩は、自分から聞きに行くと丁寧に教えてくれました。教えられるのを待っているだけでは、仕事は覚えられませんからね。逆に今は、後輩が聞きやすいように、声を掛けてあげるようにしています」
職場ではベテランの社員が活躍する一方、次世代を担う若い職人の育成が必要なため、菊地さんも後輩の指導に力を注いでいます。
現場はとにかく安全を重視!
冬は塗料の凍結との戦いです。
ビルの高層階に登るなど、塗装の仕事には危険が伴うイメージがあるけれど…
「安全には現場ごとに細心の注意を払って工夫しています。足場は専門の業者によって隙間なく頑丈に組まれているので下はほとんど見えない場合が多いですし、外側はネットで覆われています。2メートル以上の高さの場所に行く場合は腰に安全帯を付けています。そのほかスタッフが互いに注意しあうという慣習も。念には念を入れ、安全な環境で作業をしているので、危ないとか怖いと思うことはほとんどありませんよ」
寒さが厳しい北海道の冬の現場では、衣類を4~5枚重ねて作業に臨みます。集中していると寒さはそれほど気にならないといいますが、一方、気温が下がると塗料が凍ってしまうことも。そんな時は、現場の暖房で温めてからの作業になります。
寒冷地ならではのハンデは、人の力で地道に克服しているのです。
完成後にうれしいのは感謝の言葉!
たくさんの人の目に触れる仕事。
作業中や完成後に、依頼主と接する機会も多々あります。
「応対は丁寧にするよう気を付けていますね。特に建物を使いながら改修を進める場合は、不快感を与えないようにお客様からの要望をよく聞くようにしています」
完成した後は、「すっかりキレイになって、新築に引っ越したみたい。ありがとう!」とお客様から感謝の言葉をもらえることも多いといいます。
完成した建物を見に行くこともできるので、塗装を手掛けたお店を自分の子どもに見せることもあるとか。
「子どもは、『これうちの父さんがやったんだよ』と友達に話しているみたいです。そうやって子どもが自慢してくれる仕事、自分が手掛けたところがたくさんの人の目に触れるやりがいのある仕事ですよ!」
シゴトのフカボリ
塗装工の一日
7:00
出勤、その日の現場で必要な物を準備する
7:30
会社を出発、現場へ移動
8:00
現場で、他の業種の人と一緒に朝礼
その日の進行や安全上の注意事項などを確認
8:15
作業開始
10:00
休憩
10:30
作業再開
12:00
昼休憩
13:00
職長の打ち合わせ
翌日の作業について確認
13:15
作業開始
15:00
休憩
15:30
作業再開
17:00
現場の作業終了
会社へ戻り、退勤

※現場の状況(店舗の営業終了後でないと作業ができない等)により、夜間の作業になることも
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

職場で自分がやってみたいことがあれば、口に出して言うことが大切です。私も実際に口に出すことで、やりたいことができたり、チャンスが巡ってきました。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
塗装道具
塗装の道具は刷毛やローラー、吹きつけなどを使い分けています。大きさや毛の長さによって、仕上がりの状態が細かく変わります。

お仕事データ

塗装で建物を強く美しく
塗装工
塗装工とは
経験と技をフルに使い、
建造物の美観と耐久性を。

住宅やビルといった建造物の内外装を塗装する技術者。かつては「ペンキ塗り」として美観を整えるのが主な仕事でしたが、最近はさまざまな塗料を使い分け、水の浸入を防いだり、紫外線から壁を守ったり、耐久性を高めることも求められています。また、壁の材質や状態によって塗料の種類を変える他、気温や湿度にあわせて塗る回数や乾燥時間を見極めるなど高いスキルが必要。熟練の経験と技がものをいう世界です。

塗装工に向いてる人って?
細かい作業にも
几帳面に取り組める人。

塗装は細やかな仕事が多く、しかも塗り方にムラが出ないように仕上げていきます。フィギュアやプラモデルの色づけ、複雑な塗り絵が好きなど、几帳面で丁寧に作業ができる人は向いているでしょう。塗料の調合でいえば、微妙な色味を出すために何度も調整をかけるなど集中力も必要な仕事です。また、お客様への明るいご挨拶や職人同士のコミュニケーションも欠かせません。

塗装工になるためには

塗装工として働くには特に資格が必要ではありません。多くの人が高校や専門学校、大学を卒業後、塗装会社で見習いからスタートします。ただし、「塗装技能士(1~3級)」という資格があり、初心者(3級)、2年(2級)、7年以上の実務経験(1級)を積むことで受験資格が得られます。特に国家資格でもある1級を取得すると、お客様からの信頼度アップにつながるので有利です。

※「塗装技能士」の受験については中央職業能力開発協会のホームページをご確認ください。http://www.javada.or.jp/

ワンポイントアドバイス
自分の手でキレイに仕上げた、
というやりがいがたっぷり!

塗装の仕事というと以前は新築の現場が圧倒的でした。けれど、ここ最近はリフォームを中心とする改修工事のニーズも増え、さらに橋梁や高速道路の内外装など、あらゆるところに活躍の場が広がっています。作業がすべて終わり、完成した建造物を見た瞬間、「自分の手でこんなにキレイに仕上げたんだ!」と思えるやりがいがたっぷりの仕事です。