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駒崎 彩子さん
インタビュー公開日:2021.01.29

物心ついた時からピアノが身近に。
「ピアノの先生」が将来の夢。
いつの時代も子どもたちに人気の習い事、そして最近では大人になってから習う人も多いピアノ。ピアノの先生になるには、子どものころからコツコツと学ぶことが必要です。
エルム楽器で講師を務める駒崎彩子さんは、同じくピアノ講師のお母さんのもとで育ち、物心ついた時からピアノの音に囲まれた幼少期を過ごしました。4歳からお母さんに本格的にピアノを習い、その後別の先生に師事。「母のもとでは甘えてしまうからと、別の先生に習いました。その先生は優しく、私をピアノ好きにさせて下さいました」
そのころから「ピアノの先生になりたい」と夢を持ち、音楽コースのある札幌大谷中学に進学。めきめき実力を付けていきました。高校、大学も大谷に進み、大学ではソロ演奏だけでなく、声楽や弦楽器などの主役を引き立てる伴奏も学びました。試験前は1日12時間大学にこもって練習をするなど音楽漬けの日々を送り、卒業時には学長賞を受賞。さらに伴奏の技術を極めるために、上京して大学院にも進学しました。
演奏と共に教える経験も積み、
大学での学びで夢が目標に。
大学4年生の時に得たもう一つの貴重な学びは、弾き方だけでなく教え方を学ぶピアノ教授法でした。「ピアノを習って3年目の、小学1年生の子を担当させてもらいました。まだ幼いので、弾き方をどのように言葉で表現したらいいか、答えはないので悩んだこともありましたが、だんだん上手に弾けるようになったり、『先生に習ってピアノを弾くのが楽しくなった』と言われるとうれしかったですね。最後に発表会で上手に弾く姿も見ることができ、ピアノを教えるってやっぱりいいな、と思えました」
子どものころから夢見ていたピアノ講師への道が、確信に変わった経験でした。大学院の修士課程を修了し、東京でアルバイトをしながら引き続き技術習得に励み、故郷の札幌に戻る機会を伺っていました。そうして1年後に札幌のエルム楽器で講師の募集があり、試験を受けて合格。晴れてピアノ講師としてデビューすることになりました。
生徒さんは幼児から大人まで。
レッスンでは対話を大切に。
エルム楽器では、札幌市内の会場で幼稚園児から大人まで約30人の生徒さんを担当しています。それぞれの生徒さんに週1回、30分のレッスンを行います。
「一人ひとり性格や個性が違うので、その人の個性を引き出す方法を模索することが、講師の大変さでもあり楽しさでもあります。お子さんの場合は弾くだけでなく話をして、どのような性格の子か知ることから始めて、こちらから一方的に教えるのではなく、『どうやって弾いたらこうなると思う?』『どう弾いてみたい?』と尋ねるなど、なるべくその子に話してもらうようにしています。
大人の場合は、お仕事を持っている方も多いので、無理のないように。この曲が弾きたいなど明確な目標を持っている方には、少しでも力になりたいと思っています。先日も、60歳代になってから『エリーゼのためにを弾きたい』とピアノを始めた方が、4年かけてついに完成させ、一緒に喜び合いました」
講師の先輩たちに学びながら、
教える楽しさを実感しています。
ピアノ演奏は手を滑らかに動かせないといけないので、寒い冬の北海道の場合は、まずピアノのある部屋を暖めるところから。1時間ほどかけて部屋を暖めてから弾き始めます。
札幌市内の会場を行き来しながらレッスンを行う日々。先輩の先生方とは、会議など顔を合わせる機会は少ないのですが、LINEやメールでやりとりをして、悩みを相談したりしています。また、駒崎さんにとっての良き相談相手は、ピアノを始める原点でもあるお母さん。「こういう曲を教えたいとか、どんなテキストを使ったらいいかなど、よく話しています。私がピアノの講師になったことも喜んでくれています」
駒崎さんにとってうれしい瞬間は、生徒さんが楽しくピアノを弾いてくれていることが感じられた時。「教えたり、人と一緒に何かに取り組むことは私自身も楽しいです。ピアノが好きなことと同時に、人と関わること、特に子どもが好きな人は講師に向いていると思います」
自分が夢を叶えたように、
未来の音楽家を育てています。
コンサートや教室の演奏会など、自身もソロや伴奏を披露する機会もあります。「目標があると練習にも力が入ります。先日は老人ホームの慰問にフルート奏者の友人と一緒に行き、みなさんが知っているクラシック曲や歌謡曲を演奏し、一緒に歌を口ずさむなど喜んでいただけました」
とは言っても、自身のリサイタルを開くことは考えていないという控えめな駒崎さん。「『この先生に習いたい』と思ってもらえるような講師を目指しています。また、将来音楽大学に進学したり、音楽の道に進んでくれる人が出てくれたらうれしいです。今も音楽科を受験したいという生徒さんを担当しており、演奏のテクニックや、音楽の表現方法についてしっかり教えられたらと思っています」
自身が地道な積み重ねで夢を叶えたように、未来の音楽家や愛好家を着々と育てています。
シゴトのフカボリ
ピアノ講師の一日
10:00
出勤、月1回の会議
11:00
教室に移動
空き時間に練習や食事など
15:00
レッスン開始(一人30分)
20:30
レッスン終了、退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
お子さんのやる気を引き出すシール
出席の確認や、練習していた曲に合格を出す時などは、達成感を得られるようにシールを貼ります。生徒さんから人気のキャラクターのシールを貼ってほしいとリクエストされることも。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

私も小さなころからコツコツとピアノを続けて夢を叶えられました。生徒さんも練習を続けることで上手になっていきます。やりたいことは、諦めずに続けていくことが大事だと思います。

株式会社エルム楽器

札幌を始め千歳、室蘭、苫小牧、釧路に支店を持ち、鍵盤楽器、弦楽器、管楽器など幅広いレッスンを行い、音楽に親しむ人を増やしています。

住所
北海道札幌市手稲区西宮の沢3条2丁目1-8(本社)
※写真は駒崎さんを取材したELMアルテス八軒
TEL
011-350-1111(本社)
URL
https://www.elm-t.co.jp

お仕事データ

楽器の演奏や歌唱を指導。
音楽講師
音楽講師とは
演奏や歌唱の方法だけでなく、
音楽の素晴らしさも教える仕事。

ピアノや弦楽器、エレキギターやボーカルまで、楽器の演奏や歌唱などを教えるのが音楽講師。楽器店やメーカーが主催する教室に所属して指導するケースと、自営業として自宅や事務所に教室を開く場合があります。生徒の年齢や目的によって教える内容は異なり、例えば幼児には音色と踊りを組み合わせて楽しんでもらうなど、ニーズに合わせた授業を展開。豊かな感性や才能を伸ばし、音楽を奏でる素晴らしさを伝えることも大切な仕事です。また、自身が教えた生徒がコンクールでの入賞や音楽大学への合格といった成長を感じる出来事からも、大きな喜びを得ることができるでしょう。

音楽講師に向いてる人って?
優しく、楽しく、
粘り強く教えられる人。

楽器演奏のスキルや音楽の専門知識があることはもちろん、面倒見が良い人柄であることも必要です。生徒を思う優しさや、音楽を楽しく伝えることに加えて、時には粘り強く教える忍耐強さのある人が向いているでしょう。学生時代に部活やサークルで後輩へ指導した経験や、リーダーを務めたことがある人は素質があると言えそうです。

音楽講師になるためには

音楽講師になるために特別な資格は必要ありません。ただし、音楽教室や指導する楽器の種類によっては音楽大学を卒業していることや、演奏会での入賞歴が必要になることもあります。バイオリンやフルートなど、主にオーケストラで使用される楽器はその傾向が強いようです。一方でエレキギターなどの楽器やボーカルといった分野では、自らの実力や知識次第で講師になることができます。また、個人で教室を開くには経営的な能力も必要です。

ワンポイントアドバイス
自分の音楽活動を続けながら
指導者として成長する道も!

音楽講師は能力次第で、生涯にわたり音楽を仕事にすることができる数少ない職業です。音楽や自身の楽器が大好きであることは働く上で必ず役に立つでしょう。最近ではオンラインでの指導や、音楽教室からの業務委託という形で、予約がある時のみ教えるという働き方も増えています。空いた時間で自身の音楽活動を続けながら情熱を持って働くことで、ミュージシャンとしても指導者としても成長することができるでしょう。

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