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小松 城さん
インタビュー公開日:2021.03.23

子どものころはとにかく
山で遊ぶのが好きでした。
三笠市幌内エリアに広がる道有林。クルマ一台がようやく通れる道を登ると、少し開けた場所へとたどり着きました。重機に乗って除雪作業にあたっていたのが小松城さん。玉田産業株式会社の森林環境部でフォレストワーカー(林業作業士)として働く期待の若手です。
「僕は岩見沢の美流渡(みると)地区で生まれ育ちました。地元は自然が豊かで、自宅の裏がすぐ山林という環境。小さなころは笹薮に分け入り、秘密基地をつくるというような遊びが大好きでした」
小松さんは山を駆け回る少年時代を過ごしたことから、中学生のころには自然と関わる仕事に就きたいと思うようになったとか。高校の進学先に森林科学科を選んだのも実に納得です。
「高校では実際に山で作業する実習を受けた他、チェーンソーや刈払機(草や小径木を刈払うための機械)を扱うための資格も取れました」
先輩方は「森のプロ」として、
多くの助言を送ってくれます。
小松さんが就職したのは岩見沢市の玉田産業株式会社。約70年前の創業時から林業を生業に、今は土木工事や土づくり、石炭事業などを幅広く展開しています。
「就職のきっかけは…先生の紹介(笑)。ただ、現場を見学させてもらった時、林業は担い手不足に苦しんでいると聞いていたにもかかわらず、若い世代が多いことに驚きました。若手とベテランが和気あいあいと話す雰囲気も好印象で、楽しく働けそうだと感じたんです」
小松さんの予感は的中。まずは切り出した丸太の長さを測る簡単な作業から教えてもらい、徐々に現場の流れを学んでいったと振り返ります。
「チェーンソーで丸太を切るようになったのは、入社から3週間後。実際の仕事となると授業の実習とは勝手が違い、分からないことだらけです。先輩方は森のプロとして『無理に押し付けるんじゃなく、チェーンソーの自重を生かすと簡単に切れるよ』など、多くのアドバイスを送ってくれました」
木を切ることだけが、
林業の仕事ではありません。
林業というと木を切るイメージがクローズアップされがち。もちろん、伐採も業務の一部ですが、植林や育林も含めた森づくりがフォレストワーカーの仕事です。
「僕は森林環境部の中でも、夏から秋は木を植えて育てるチームの所属です。春先は伐採作業を終えた場所に残されている幹の先端や枝などを集めたり、片づけたりする地ごしらえという作業からスタートします。主に苗木を植える場所を確保する役割があるんですよ」
苗木を植えると簡単にいっても実は重労働。クワで土を掘り起こし、1日300株は植え付けるのだといいます。現場にもよりますが、1〜2万本を手分けして植えているのです。
「夏場は木の生育の邪魔をしないよう草刈りするのがメインです。一つの現場を1〜2日で終わらせ、また次の山林へと向かいます」
秋には木にしっかりと日が当たるよう余計な枝を切る「枝打ち」や密集した木立を間引く「間伐」などに携わります。
山に入るための道を
整備することも重要です。
小松さんは、冬場には伐採作業に携わります。基本的な手法の一つが、チェーンソーで「受け口」と「追い口」という切り込みを入れる「受け口切り」だと教えてくれました。
「会社には伐倒や玉切り(丸太に切ること)などを簡単に行えるハーベスターという機械も導入しています。僕がよく乗るのは、丸太を掴むためのアタッチメントが付いたグラップルという重機です」
冬場の伐採は5〜6人のチームで動きます。2人はチェーンソーで木を切り、2人は倒した木を運び出し、もう2人が重機で林道を除雪するのが基本のフォーメーション。「山に入るための道を整備すること」も重要なのです。ところで、出勤時間は何時くらい?
「夏は暑さを避けるために朝4時、冬場は7時くらいですね。早起きしなければならない分、帰る時間も早いので、子どもと過ごす時間もたっぷりあります」
出勤時間の早さもさることながら、若くして子育てパパだったことにも驚きです!
自然の中で体を動かし、
大きな達成感が得られる仕事。
小松さんによると林業のフィールドでは夏は木々が熱気を閉じ込め、冬は寒風が吹きすさぶのだとか。厳しい環境下で、道具や苗木を担いで歩き回るのは体力も奪われそうです。
「確かに決して楽ではなく、危険もつきまとう仕事。でも、自然の中で体を動かし、自分が草刈りした場所がキレイになったり、未来の森となる苗木が整然と並んだりする姿を目にすると、達成感が込み上げてきます」
林業は成長しきってCO2を吸収しなくなった木を伐採し、木材として活用するだけでなく、50年、60年かけて造林や育林をすることで森の健全なサイクルを回す仕事。環境保全や防災にも欠かせないといいます。
「ベテランの先輩は、自分が植えた苗木を何十年後かに自分で切ることも。長い年月をかけて自然とともに生きる仕事という気がしてロマンがありますよね」
そう言って木々を見上げる視線の先には、いつかそのロマンを手にするという未来を描いているようでした。
シゴトのフカボリ
林業作業士の一日
7:00
現場へ車を乗り合わせ
8:00
ミーティング
8:15
除雪作業
12:00
休憩
13:00
伐採作業
16:00
終業/自宅へ車を乗り合わせ
※冬期間の例です
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

林業は四季の移り変わりが感じられ、普通では見られないような自然の表情を目の当たりにすることができます。澄んだ空気の中で汗を流し、木を切って更地にしたり、森をキレイに整えたりする手応えはひとしおです!

玉田産業株式会社

1950年の創業時より森づくりを生業とし、森林土木、一般土木、農業土木、石炭採掘、道路維持・除排雪事業へと多角化。天然のフミン酸を多量に含む10万年前の道内産腐植土をお客様のニーズに合わせてブレンドした「玉宝混合土」も好評。「地域のために」を合言葉に、技術と品質を追究。働きやすい・働きがいがある職場環境の整備やSDGsへの取り組みにも積極的。

住所
北海道岩見沢市4条西15丁目3番地
TEL
0126-25-3333
URL
http://www.tamadakk.co.jp/

お仕事データ

森林を維持管理し、木材資源を。
林業作業士
林業作業士とは
森林を育み、木材を収穫しながら、
環境保全や災害防止も担う仕事。

林業作業士は、森林を維持管理しながら育った木々を伐採し、木材資源を生産する仕事。業務内容は季節によって変わり、春には植林予定地のササや灌木を整理する地ごしらえをした後、苗木を植え付けします。夏場は苗木の成長を助けるために雑草や灌木を下刈りしたり、つる切りをするのがメインです。秋は良質な木材にするために不要な部分の枝を切る枝打ちをしたり、日光の届く健全な森を作るために間伐に取り組んだりします。冬は間伐作業を続ける一方、数十年〜百年以上の歳月をかけ、充実期に入った木を主伐し、造材所などへと運び出します。これらの仕事にはチェーンソーの操作や重機のオペレーションの資格が必要なものも。荒れた森林が増えていることや土砂災害防止などの面から、森林の整備・保全も林業の重要な役割です。

林業作業士に向いてる人って?
自然を愛し、体力を備え、
危険を注意深く察知できる人。

山や森林など自然を愛し、環境に関心が高い人には最適の仕事です。林業作業士はチェーンソーや刈払い機といった機械を使ったり、時に重機に乗って伐採した木を運んだりすることもあるため、危険がないよう作業を進める注意深さも不可欠。広大なフィールドを歩き回るのも日常茶飯事であることから、体力も必要です。現場ではチームプレーが大切なので、人とコミュニケーションをとりながら協働できるスキルも求められます。

林業作業士になるためには

林業作業士になるために特別に必要とされる資格や学歴はありません。高校や専門学校、短大、大学を卒業後、森林組合や林業会社といった林業事業体に就職するのが一般的です。ただし、業務でチェーンソーや刈払い機を扱うことも多いため、「伐木等の業務に係る特別教育」や「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育」を受講しておくと有利でしょう。職場によっては、こうした教育や重機のオペレーションに必要な資格取得をサポートしているようです。

ワンポイントアドバイス
未経験者でも着実に
ステップアップできる「緑の雇用」。

未経験者でも森林の仕事に就き、必要な技能を学べるよう、講習や研修を行うことでキャリアアップを支援するのが「緑の雇用」事業。審査により認められた森林組合や林業会社などに採用された人に向け、就業年数に応じた研修を受けてもらい、さまざまな技能を身につけられるよう体系的なカリキュラムが作られています。気になる林業事業体が「緑の雇用」事業の対象になっているのかチェックしてみるのもオススメです。

※「緑の雇用」特設サイトはコチラをご覧ください。
https://www.ringyou.net/