山下 梓さん
インタビュー公開日:2021.05.12

大学時代の部活動のつながりから
未知の分野に飛び込むことに。
株式会社幸和塗装のショールーム塗夢創家(トムソーヤ)で、職人さんが円滑に作業ができるよう施工管理として活躍する山下梓さん。大学卒業から10年以上、携帯電話の販売員として量販店や携帯電話のショップで働いていました。常に進化する通信業の世界や、接客の仕事にやりがいを感じていましたが、携帯電話の普及率が上がる中で売っていく難しさ、立ち仕事をこれから先も続けていくことへの体力的な不安から、新しい仕事を探すことに。
大学時代にアメリカンフットボール部のマネージャーをしていた山下さんは、OBづてに同じ部の先輩である塗夢創家の社長が社員を探していることを知り、話を聞いてみました。
「塗装は未知の世界でしたが社長の話を聞いて面白そうだと思いましたし、同じ部活の先輩への親近感や安心感もありました」
現場に出ない仕事なので体力的にも長く続けられそうだと思ったこと、少人数の会社なのでアイデアや意見が実現しやすそうだと感じたことも決め手となり、入社することにしました。
お客様の依頼を受けてから
完成までの工程をサポート。
山下さんの仕事は、社長がお客様から依頼を受けた案件に対し、職人さんが現場で実際に作業をし、完成するまでの間に必要なこと全般。そのため多岐にわたります。
まずはお客様を訪問して見本を見せながら、塗装の色や材質について相談します。iPadのアプリを使って実際の建物に色を塗ったところをイメージしてもらい、迷う場合は他のお客様の傾向なども伝えながら決めていきます。「家の外観はとても大切な部分なので、できる限り顔を合わせてお話しながら、慎重に進めていきます」
工事の仕様が決まったら、必要な塗料や備品を発注し、仕様書を作成して職人さんに伝えます。現場の作業が始まってからは、こまめに顔をだして進捗状況を確認します。
塗料は天候による影響を受けるデリケートなもの。雨や雪がかかった時や、気温差が大きい時は変色してしまうこともあります。風が強い日は塗料が飛んでしまったり、雪虫が多く飛ぶと塗料に付いてしまうため、そのような時は作業を中止し工程を調整します。
職人さんとの連携プレーが重要。
女性も活躍できる職場です。
日中は家にいないお客様のために、屋根の上など見えにくい部分の作業状況などは写真に撮って共有することも。塗料などが足りなくなった場合は、職人さんから山下さんにヘルプの連絡が入るため、それにも対応。ハケやローラー、マスキングテープなどの備品も、切らさないように補充しておきます。
「職人さんそれぞれにこだわりの道具があったり、季節によっても使うものが変わるので、相談しながら仕入れます。職人さんにはできるだけ気持ちよく作業ができるようにしたいですね」
男性中心の塗装業ですが、全く違和感などはなく職場に馴染めていると山下さんはいいます。「職人さんは穏やかな方が多く、相談事にも優しく応じてくれます。重い物を持つなど女性にはどうしてもできないことは男性が補ってくれますし、他社では女性の塗装工の方もいると聞きます。お互いに分け隔てなく接することができれば、女性にも居心地の良い職場です」
引き渡しが一番うれしい瞬間。
託していただける信頼感が喜びに。
塗装が完成したら、いよいよ引き渡しです。この時が、山下さんが一番喜びを感じる時だといいます。「お客様の財産であり、思い入れがある家に住み続けるために私たちに託していただき、最後に『きれいになりましたね』と一緒に喜び合えるのが本当にうれしいです。誰かを幸せにできることが、私の頑張れる糧。仕事の成果は一般的には目に見えないものが多いですが、塗装業の良さはできたものが目に見えることですね」
集金は現金で行うことが多く、大きな金額を預かることにもお客様との信頼感と重みを感じるといいます。また、外壁がきれいになると今度は内装も…という相談を受けることも、この仕事の「あるある」だと話してくれました。
何度も足を運んでいるので、引き渡しの時も「入ってお茶を飲んでいきなよ」と声を掛けられることも多いという山下さん。お客様と良い関係を築いていることが伺えます。
自分ができることを見つけ開拓。
仕事の範囲を増やしていきたい!
入社時は、塗装の専門用語も工程も何もわからないところからスタートして経験を積み、職人さんとやり取りしお客様に説明できるようになっていったといいます。前任者がいたわけではなく、社長が経営と並行して行っていた業務を引き継いでいるため、手探り状態で自ら仕事の内容を確立していきました。常に、自分ができることを見つけ、良いアイデアを思いついたら社長に提案して実行します。
今は最初の商談は社長が行っていますが、いずれは自分で案件を獲得し、「始めまして」から「ありがとうございました」までを一人でやり遂げることが目標だという山下さん。お客様や職人さんのためにいつも最善を尽くしている姿が垣間見えます。
「どんな仕事でも、できる限りのことをするのが責務だと思ってやってきました。自分の力以上のことはできないこともわかってきましたが、限界を決めずにまだまだ勉強して自分ができることを増やしていきたいと思います」
シゴトのフカボリ
塗装施工管理の一日
6:30
出勤
その日の現場の準備
7:00
全体朝礼(協力会社と共に)
工程やスケジュールの確認など
7:30
材料と備品を準備し、職人さんは現場へ
8:00
現場を回って確認
12:00
休憩
13:00
お客様との打合せ
15:00
事務所で在庫確認や書類作成など事務作業
17:30
職人さんが事務所へ戻り、進捗等の確認
18:00
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
お客様との打合せに欠かせないiPad
現場で施工前後のさまざまな箇所の写真を撮ったり、アプリを使って外壁に色を塗った時のイメージをシミュレーションしたりと、お客様に必要な情報をわかりやすく伝えるためにiPadを駆使しています。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

もう無理だと思ったらそこで終わってしまいますが、諦めずに自分に力をつけ、できることに取り組めば道は開けます!

塗夢創家(株式会社 幸和塗装)

札幌とその近郊で一般住宅の塗装を手がける幸和塗装が運営するショールーム。銭湯を改装したユニークな施設で、塗装の色や材質を見て触れることができます。

住所
北海道江別市大麻沢町2-1
TEL
011-386-1649
URL
http://www.xn--qer36lorar6f.com/

お仕事データ

工事現場の司令塔
施工管理
施工管理とは
工事を円滑に進めるためには
欠かせない仕事。

建設工事や土木工事の現場で発注者と実際に工事を行う職人さんとの間に入り、人や資材の手配、スケジュール調整、予算管理など、工事を安全かつ円滑に進め、目的を実現するためのさまざまな業務を行います。大きな施設を建てるほど、工程も複雑になるため施工管理の重要性は大きくなります。

施工管理に向いている人って?
思い通りにならなくても慌てない。

現場での橋渡し役を担うことが多いため、コミュニケーション能力は欠かせません。スケジュールやお金の管理も行うので、計画的に物事を進められる人に向いている仕事です。工事には不測のトラブルもつきものなので、状況に合わせて対応できる柔軟性がある人も向いているでしょう。

施工管理になるためには

小さなリフォーム工事から大規模な土木工事まで施工管理の領域は広く、一般的には工事会社などに入社して、現場での仕事を覚えることになります。施工管理には「施工管理技士」という国家資格があり、工事の内容によって建築施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士など6種類に分かれています。大規模な現場の管理をするためにはこうした資格も必要となります。

ワンポイントアドバイス
分野が異なる工事でも活躍可能。

施工管理の仕事は一般的には馴染みが少ないのですが、工事現場には欠かせない仕事です。建設業界で働く上で「施工管理技士」の資格が役立つ場面は多く、取得しておくと出世や転職にも有利と言われています。