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中川 竜希さん
インタビュー公開日:2022.11.21

薬の調剤と服薬管理指導を通して
患者様の治療に貢献する仕事
病院を受診して処方箋を受け取り、近くの薬局で薬を出してもらう院外処方(医薬分業)が急速に進んだのは1990年台の終わり頃から。日本薬剤師会のデータによると、現在は8割近くがこの方式になっており、すっかり定着しています。中川竜希さんが勤務しているのも、そうした調剤薬局の一つ。北海道内でも老舗企業の一つであり、設立から45年を迎えたナカジマ薬局の店舗です。
「店舗に隣接する耳鼻科医院、内科医院の患者様をはじめとして、処方箋があれば服薬指導管理を行っており、処方箋がなくても患者様から健康相談、薬剤相談があった際には対応しています」
中川さんは入社3年目。研修も兼ねて、すでにナカジマ薬局が札幌で展開するいくつかの店舗を経験してきました。
「近隣にある病院の診療科目によって多く扱う薬の種類などは違いますが、正しく薬をお渡しし、患者様の治療に貢献するという役割は変わりません」
やさしい物腰、爽やかな笑顔の接客が印象的です。
専門的な視点から処方箋をチェック
疑問があれば医師への照会を実施
薬局の仕事は、処方箋に書かれている薬を間違いなく患者様にお渡しすることですが、実は同時に、とても重要な役割を果たしています。
「それは、処方された薬を専門的な視点から確認し、疑問がないかチェックすること。処方箋に書かれている名前の薬を棚からピックアップするだけの業務ではありません」
患者様から処方箋を受け取ったらまず、その場でチェックし、不明な部分などがあれば「こういう薬が出ていますが、先生はどうおっしゃっていましたか?」、「この薬について、指示はありましたか?」と患者様に確かめるほか、必要に応じて医師に照会(疑義照会)をし、処方の理由などを確かめます。
「出してもらうはずの薬が書かれていない、止めるはずの薬が出ている。お薬手帳をお持ちでない方にどんな薬を飲んでいるかを聞いたら、飲み合わせの悪いものがある――といった場合も医師に連絡します」
その後、薬を揃えた段階で確認。さらに、患者様にお渡しする前に監査(チェック)を行うことで、患者様の安全を守っています。
薬の開発に興味を持ち薬剤師の道へ
スキルを高めていける職場を選択
中学生の頃から医学や薬の分野に関心があったという中川さん。兄妹に付き添って病院に行く機会が多かったことも影響しているのではないかと、自身を振り返ります。
「やがて創薬(薬の開発)に興味をもつようになり、手に職をつけたいといった気持ちもあって大学は薬学部へ進み、6年間の過程を経て薬剤師の資格を取得しました」
薬剤師の活躍の場は、創薬など研究系のほか、病院、薬局などがあります。大学の実習でそれぞれの現場を経験するなかで、多様な人がやって来る薬局におもしろみを感じ、業務を通して知識を広げていきたいと考えたのが、今の仕事に就いたきっかけなのだそうです。
「ナカジマ薬局を選んだのは、認定薬剤師が多く在籍し、スキルを高めていける環境があると感じたからです。薬剤師としての専門知識を働きながら深めたいと考えました」
認定薬剤師とは、がん・糖尿病など、特定の医療分野について高度な知識・技量を有するとして認定された薬剤師のこと。中川さんは、腎臓に関わる薬物適正使用の実践を推進する認定薬剤師を目指しています。自分の方向性も、すでに見え始めた中川さんです。
処方後のフォローアップも大切な仕事
医師の診療方針を理解し、確認を実施
2020年から調剤薬局には、処方した薬の服用後の様子、経過などを電話で尋ねるフォローアップが義務づけられています。
「私たちの薬局では義務化されるずっと前の1983年からフォローアップを行っています。たとえば副作用が起きていないかなどを確認し、患者様の安全を継続して守っているのです」
来店する患者様だけでなく在宅医療に関しても積極的に対応しており、ご自宅や高齢者施設で治療を続けている方の薬を確認・準備するなど、多様な業務を担っています。
「ただ、ナカジマ薬局では業務内容がマニュアル化されているので、一通りの流れを覚えれば困ることはありませんし異動があっても戸惑うことがないんです」
一方、中川さんは店舗を異動する際に必ず確認することがあります。それは、最も多くの処方箋を扱う医療機関の医師の診療方針。たとえば皮膚科なら、抗炎症薬を多く使う先生、少量を処方する先生など違いがあるのだそうです。店舗の処方薬の傾向や患者様の話からも薬の使い方を把握し、関連する論文などにも目を通して、医師の方針の理由を探ったうえで、処方箋の確認を実施。専門性の高い仕事であることがうかがえます。
情報を"伝えること"の大切さを実感
認定薬剤師となり医療に貢献したい
ある時、いつもは抗生剤と整腸剤が出されている患者様の処方箋に、整腸剤がなかったことがありました。
「患者様ご自身は『大丈夫』と話されていましたが、お腹を壊したらすぐに受診するようお伝えしました。すると翌日、お腹を壊してしまい整腸剤の処方箋をお持ちになりました。その際に『教えておいてもらえて助かった、ありがとう』と。うれしかったですね」
気づくこと、情報を伝えることの大切さを改めて実感したできごとだったと話しています。
「そんなふうにどうすれば患者様の役に立てるかを考えるなかで、医師の診療もしっかり支えていきたいと思うようになりました。それも認定薬剤師を目指す理由です」
腎臓の認定薬剤師を目指すには最低5年間の実務経験が必要です。さらにその間、学会に出席・論文を発表したり、症例検討なども行い、筆記試験という壁もあります。
「患者様とのコミュニケーションの質を高めつつ、コツコツと取り組んできたいと思っています。忙しいですが充実しています!」
頼りになる薬剤師さん。そんな風格も、漂い始めている中川さんです。
シゴトのフカボリ
薬剤師の一日
9:00
出勤
店舗前の清掃、調剤用の機械の立ち上げ
9:30
処方箋受付業務、薬剤のピックアップ、監査などを、店舗にいるスタッフで交代しながら担当
12:00
昼食・休憩
13:00
高齢者施設等の薬剤を揃えて配送
14:00
処方箋受付業務、薬剤のピックアップ、監査など
18:00
業務終了
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
iPad
医師の薬の処方に関連する論文などを調べるほか、日常的には処方薬に関する注意事項・効き方(作用機序)などの説明書きを参照したり、たとえば小児なら、この薬は牛乳で飲んでも良いかといった情報を調べ、患者様に伝えたりするために必ず携行しています。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

患者様の気持ちや思いを理解し、必要に応じてアドバイスや、時には励ましの言葉をかけることも、私たちの大切な仕事です。専門性を高めると同時に、患者様に寄り添うことを第一にしていきたいと思っています。

株式会社 ナカジマ薬局

1977年の創立以来、北海道を中心に約60店舗を展開する調剤薬局チェーン。「患者様中心主義」という理念のもと、かかりつけ薬局として在宅医療にも取り組んでいます。

住所
北海道札幌市中央区北10条西24丁目2番15号
TEL
011-633-2345
URL
https://www.nakajima-phar.co.jp

お仕事データ

医薬品のスペシャリスト!
薬剤師
薬剤師とは
「医薬分業」によってミスを防ぎながら、
患者さんの病気やケガを治す薬を調合!

薬剤師の代表的な仕事は、病院や調剤薬局で医師の処方箋をもとに薬剤を調合し、正しい飲み方をアドバイスすること。アレルギーや過去の処方薬、妊娠の有無など、医師の指示が患者さんにとって安全かどうかを確認する「医薬分業」によって医療ミスを防いでいます。また、民間の製薬会社や大学の研究機関で新薬の研究・開発に取り組んだり、厚生労働省で薬剤を認可したり、意外なところでは麻薬取締官も担うなど、活躍の場が幅広いのも特徴。薬剤師は薬にまつわるスペシャリストです。

薬剤師に向いてる人って?
几帳面で責任感のある人。
コミュニケーション能力も必要です。

薬剤師の最も一般的な仕事は薬の調合。医師の処方箋に従って正確な分量で配合しなければならず、一歩間違えると患者さんの健康に直結することもあるため、几帳面で責任感のある人が向いているでしょう。当然ながら、薬の効能や調合についての深い知識も必要です。ここ最近は医師や看護師、栄養士とチームを組む「チーム医療」が進む他、患者さんに服薬を正しく分かりやすく説明しなければならないため、コミュニケーション能力も求められます。

薬剤師なるためには

薬剤師として働くためには、国家資格が必要。そのためには、大学の薬学部か薬科大学で6年制の薬剤師養成課程を修了しなければなりません。「有機化学」や「生物化学」、「薬剤学」、「疫病学」といった学問から調剤薬局での実習まで、薬学に関する幅広い知識や技術を身に付けた上で、薬剤師国家試験に合格することが求められます。

ワンポイントアドバイス
薬剤師は安定した職業として人気。
今後は高度なスキルの習得がカギ!?

薬剤師は専門性が高い仕事のため収入が安定している職業として知られ、福利厚生も充実している職場が多いのも特徴です。結婚や出産を経ても復職しやすいことから、女性にも人気があります。一方、最近は薬剤師を養成する学校が増え、資格取得者も増加傾向。今後は競争が激しくなる見込みです。他の医療スタッフとともに患者さんのもとで服薬指導を行ったり、医師に近い業務をカバーできる力を身に付けたり、より高度なスキルが求められるといわれています。