廣瀬 由衣さん
インタビュー公開日:2017.12.14

ネイルサロンに通ううちに、
自分もやってみたいと思いました。
「初めてネイルを楽しんだのは高校生のころ。市販のキットで爪に色をつけたくらいですが、心が弾んだことを覚えています」
懐かしそうに高校時代を振り返るのは、「Bell Fler VIP店」のネイル店長を務める廣瀬由衣さん。当時はネイルサロンの数がまだまだ少なく、ネイリストにあこがれはあっても仕事にするにはハードルが高く、道筋も分からなかったそうです。
「高校卒業後は現実路線として医療事務を目指す講座に通いました。今は美容専門学校でもネイルを学べるコースがあるようで、若い人の環境がちょっぴりうらやましい(笑)」
歯科医院の事務として働き始めてからは、ご自身もネイルサロンに通うように。ネイル雑誌の表紙に載るようなデザインを爪に表現してもらううちに、「やっぱり自分もやってみたい」という気持ちが燃え上がってきたと笑います。
ネイリストは技術職であり、
接客のシゴトでもあるんです。
事務の仕事とネイルスクールを両立すること約2年。廣瀬さんは忙しい日々を過ごしながら民間資格の「ネイリスト技能検定」などを取得しました。爪の構造やハンドケアの理論、ネイルの塗り方をマスターしたかと思いきや、ネイリストデビュー時はつまずきの連続だったと苦笑します。
「スクールを卒業してから求人で見つけた美容室のネイル部門に転職しました。実際のサロンワークは、お客様とお話ししながらデザインするので手元ばかり見ていられませんし、お求めの雰囲気を引き出すのも一苦労。ネイリストは技術職であり、接客の仕事でもあると痛感しました。ただ、友人でも家族でもない間柄だからこそ話せることもあると思うので、私は聞き役に徹することも大切だと思っています」
廣瀬さんはいくつかの店舗を経験し、2012年に「Bell Fler VIP店」に入店。お店で初となるネイル部門の立ち上げから携わることになりました。
ネイルをキレイに見せるためにも、
長持ちさせるためにもケアが大切。
廣瀬さんがネイルで大切にしているのは下準備。ジェルを塗ったり、ストーンをちりばめたりするデザイン以前のケアにこだわっているというから意外な気がします。
「ケアの代表例は、甘皮の長さを整えてキューティクルニッパーというマシンで余分なものをカットする工程。ココを雑にしてしまうと、せっかくジェルを塗っても時間がたつと浮いてきてしまい、爪のトラブルにもつながりやすくなるんです。なので、ネイルをキレイに見せるためにも、長持ちさせるためにも、下準備に時間をかけるようにしています」
なるほど、どんな仕事も準備をなまけては上手く進まないということがよく分かる言葉です。
反応がダイレクトに見える分、
喜んでいただけた時はうれしい!
お店はネイルデザインのパーツやジェルの種類、カラーが豊富。廣瀬さんは、お客様が持ち込む画像や頭の中のイメージから、オーダーメイドのようにストーンや図柄を組み合わせてデザインを仕上げることも多いそうです。
「ネイリストはお客様との距離が近い分、反応がダイレクトに受け取れます。微妙な表情の時は正直なところ『気に入っていないのかな?』と胸が締め付けられるような感覚になることも。けれど、喜んでいただき、次もまた私を指名してくださると、大げさにいえば自分の存在意義はコレなんだって思えるくらいうれしいです」
そんなやりがいを味わうためにも、廣瀬さんはスタッフと新しいデザインを練習し、色を調合してカラーリングも研究しています。パーツやジェルの組み合わせは無限大で、表現が自由にできるところもネイリストの楽しみだと表情を緩めました。
子育てしながらでも、
オフを楽しみながらでも働けます!
廣瀬さんのお話を聞いていると、ネイリストは器用なほうが向いていそう。実際のところはどうなのでしょう?
「細かい作業が得意とか、絵が上手とかはプラスに働くと思います。でも、ファッションやキレイなものが好きという気持ちが一番大事。お客様の服装やメイクに合わせてデザインをご提案するセンスは、好奇心がなければ磨けませんから」
現在、お店には廣瀬さんを含めてネイリストが4名。スタッフのモチベーションを高めながら教育するのも仕事のうちです。
「当店は人数が多いほうなので有休も取りやすく、産休・育休をはじめとする福利厚生が整っています。ネイリストは子育てしながらでも、プライベートを充実させながらでも働けることを示していきたいですね」
シゴトのフカボリ
ネイリストの一日
9:00
出勤、売上集計、掃除
9:20
ミーティング、お客様情報共有
9:30
施術
13:00
昼休み
14:00
施術
16:00
スタッフ研修
16:30
デザインサンプルづくり
17:00
施術
19:00
片付け
19:30
退勤

Bell Fler VIP店(ベルフルール ビップ)

ネイルやまつ毛エクステ、エステを一店舗で完結できる人気店。ネイルを楽しみながらまつ毛エクステの施術を受けるなど、時短にもつながるところが好評です。

住所
北海道札幌市中央区北1条西3丁目 北尾ビル8F
TEL
011-251-9993

お仕事データ

爪を美しく健康に!
ネイリスト
ネイリストとは
人の手や爪をケアしながら、
お客様が求める美しさを生み出す人。

人の爪や手を、さまざまな専門技術で美しく整える仕事。具体的には美容と健康を保つためのネイルケアや最近流行のジェルネイル、いろいろなデザインを描くネイルアートといった施術を行います。カラーリングやつけ爪づくりのほか、甘皮の処理や角質の除去、爪への栄養補給なども守備範囲。最近は立体的なデザインを施す「3Dアート」や「ラインストーン」などで華やかなデコレーションに仕上げるなど、常に新しい技術が生まれる業界です。事前のハンドケアやヒアリングをした上で、お客様が求める美しい爪を作り出します。

ネイリストに向いてる人って?
常に技術を磨く向上心があり、
トレンドに敏感な人。

ネイルは日々進化し、トレンドも変わり続けます。ネイリストになってからも練習をして技術を磨き続けることが欠かせず、業界情報にアンテナを張って研究を重ねることも大切。雑誌などに目を通してファッションの感度を高めると良いでしょう。また、コツコツと細かい作業も多いので、集中力が高い人も向いています。「どのようなイメージか」「どんなデザインにしたいのか」といった要望を聞かなければならないので、コミュニケーション能力も必要です。

ネイリストになるためには

ネイリストには国家資格がありません。その気になればネイルサロンで働きながら技術を習得できますが、専門学校やネイルスクール、通信講座などで基礎知識を学ぶのが一般的なルート。就職の際には「ネイリスト技能検定」を取得しておくと、一定以上の力量があると認められることが多いようです。今ではサロンメニューの多くがジェルネイルとなっていることから、「JNAジェルネイル技能検定試験」を取るのもオススメ。
「ネイリスト技能検定」については、日本ネイリスト検定試験センターのホームページをご確認ください。http://www.nail-kentei.or.jp/

ワンポイントアドバイス
独立を視野に入れて
働く人も多い業界!?

ネイリストは比較的独立がしやすい職業だといわれています。飲食店などに比べて設備にお金がかからず、最低限の施術スペースがあれば営業が可能だからです。最初はマンションの一室を借りて開業する人も少なくありません。独立して固定客さえつかめば、営業時間や休日などを自由に選べる働き方が手に入るところも魅力的。ただし、人気をキープするには確かな技術を身につけ、常に新しいデザインを提案する努力が必要なのはいうまでもありません。