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山田 満里奈さん
インタビュー公開日:2024.07.26

函館を代表する海産物メーカーで、
商品の検査、食品表示などを担う。
北海道産の厳選した海産物などを使った塩漬けや珍味を製造・販売している「株式会社山大」。なかでも、「山漬け」という伝統技法でつくる鮭製品に定評のある函館を代表する食品加工メーカーのひとつです。同社で働き始めて丸7年目を迎えた山田満里奈さんは、「品質管理」という部門に所属し、その取りまとめを行いながら業務にあたっています。
「部門名のとおり、工場で製造した商品の検査、レシピの管理、食品表示など消費者の方々への情報提供までを担当しています」製造そのものは行わないものの、工場ラインの衛生管理なども行い、信頼される商品を世の中に送り出すための要といえる役割を担っています。
「作業効率のアップにつながるよう、工場と調整を行ったり、停止しているラインの消灯を促すなど、省エネといった部分にも気を配っているんです」
静かで温和な語り口のなかに、品質の高い商品づくりの一翼を担う仕事への使命感のようなものが溢れます。時おり見せるキリッとした表情に、芯の強さも見え隠れする山田さんです。
『魚に囲まれて働きたい』という想い。
社員として品質管理の担当に抜擢。
今では、同社の商品づくりの重要な一部門を担っている山田さんですが、入社当初は製造ラインのパートスタッフとして、鮭の切り身、ホッケ・イカの干物などの製造に従事していました。
「実家がコンブ漁に従事していることもあり、漁業関係のアルバイトをするなかで、魚介類の加工の仕事に目が向くようになったというのが、入社のきっかけのひとつでした」
もともと、ものをつくることが好きで、かつ、漁業者の家に育ったこともあって大の魚好き。『魚に囲まれて働きたい』という想いが強くなっていったのだと振り返ります。
「そんな私にとって、魚介の加工現場は楽しかったのですが、一方で、限られた時間のなかで製造から清掃までをこなすハイペースな現場に、個人的には少し大変さを感じていた部分もありました」
地道にコツコツと取り組むことが多いという山田さんに転機が訪れたのは、製造のパートスタッフとして働き始めた翌年。会社として、新たに品質管理業務を行う独立した部門を立ち上げることになり、そのメンバー、そして社員として抜擢されたのです。
商品の細菌検査や官能検査のほか、
製造マニュアルの作成にも携わる。
製品づくりで必須となる細菌検査は従来も社内で行っていましたが、安全・安心な食への関心が高まり、加工食品の情報開示などがさらに求められる状況に対応するため、新たな部門がつくられることになりました。山田さんは、その立ち上げから関わってきています。
「製造について、基本的な知識はありましたが、品質管理は未知の世界。細菌検査のやり方を教えていただくことからスタートし、徐々に業務知識を身に付けていきました」
黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌を始めとする細菌・ウイルスの有無を検査するほか、人の感覚を使って評価する官能評価なども行い、文字どおり品質を調べることが品質管理の仕事ですが、業務はそれだけではありません。
「一つの商品について、その製造工程を写真つきで示した商品カルテや、工場から届く製造数等の情報の取りまとめなど、製造に関する情報を整理するのも、当社の品質管理の業務となっています」
製造マニュアルといえる商品カルテについては、間違いなどがあると製造スタッフに迷惑がかかるため、現場とコミュニケーションを図りながら正確な情報を盛り込むことが肝要なのだと山田さんは話します。
原材料、産地、添加物などを表記する
一括表示がうまく収まった時の達成感。
品質管理部門の業務にはほかに、商品の規格書の作成、一括表示(食品表示)の作成・出力など、商品を卸す取引先や、最終的に購入してくれる消費者向けの情報を正確にまとめるのも大切な仕事と山田さん。
「規格書というのは、使用している材料の産地、使っている調味料、添加物やアレルギー物質など、まさにその商品の『規格』を示した書類です。社会の商品管理にも使われます」
細かな内容の表記が必要となることもあり、まだ業務に慣れないころは、記載漏れなどを取引先に続けて指摘されたこともあったという山田さん。そうした経験を重ねながら、現在はこの規格書づくりを取り仕切っています。
「一括表示は、食品パッケージの裏面などに貼ってあるもので、原材料・内容量・賞味期限・保存方法などを表記しますが、食品表示法の改正によって、原材料の産地、添加物など必要な内容がさらに細かくなっています」
表示する文字の大きさなどが決められているなかで、限られた面積のなかに、レイアウトから文字入力までを一人で行い、うまく配置でき、まとめられた時には達成感と、楽しさを感じるのだと笑顔を見せます。
食品表示検定の上級を目指し、
製造の環境づくりにも貢献したい。
品質管理部門の立ち上げメンバーとして業務知識を身に付けるとともに、体制づくりにも携わってきた山田さん。配属当初は20代前半。それでも、配属になったスタッフの指導係を務めたことは印象深い思い出、と話します。
「私の後に配属になったのは10歳以上も年上のスタッフ。そんな方に、自分が学んできた細菌検査の方法など教えることになるとは……。でも、おかげで自分の仕事を見直す機会にもなり、成長につながりましたね」
加工食品の一括表示については、前述のように近年、義務付けられる内容が細かくなり、情報を得ながらコツコツと勉強しなければ、対応は難しくなっているのだと山田さん。
「一括表示などの知識を問う試験として、初級・中級・上級のレベルがある食品表示検定にチャレンジしていて、現在は品質管理の担当者向けの中級に合格。今後は部門の責任者クラスの知識が求められる上級に合格し、消費者の方々によりわかりやすい情報提供をしていくことを目標としています」
同時に、営業部や製造スタッフとの連携を密にし、製造しやすい環境づくりにも貢献していきたいと意欲をのぞかせる山田さん。会社にとって欠かせない存在となっています。
シゴトのフカボリ
品質管理の一日
8:00
出勤、温度管理、一括表示出力、メールチェック
8:30
前日の作業日報確認、製造システム入力、商品カルテ・帳票類の作成及び修正、工場巡回
12:00
昼休憩
13:00
打ち合わせ、細菌検査、一括表示出力、工場巡回及び清掃チェック
17:00
温度管理、退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

例えば、製造工程をまとめた商品カルテをつくる際にも、実際に現場で作業しているスタッフに聞かなければわからない部分もあります。そのため、常にみんなと協力し合いながら業務を行うことを大切にしています。

株式会社山大

道南産の鮭を使った山漬け、ホッケなどの干物、真イカ塩辛、ホタテ醤油漬けなどを、保存料・化学調味料・着色料なしで製造しています。

住所
北海道函館市西桔梗町548-3
TEL
0120-55-4183
URL
https://www.hakodate-yamadai.com

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お仕事データ

多くの人においしさを!
食品製造スタッフ
食品製造スタッフとは
食材の下処理や加熱、調理を行い、
たくさんの「ウマい」をつくる!

食品メーカーをはじめとする企業の工場で、お弁当やお菓子、パン、水産加工品、麺などの食品を手がけるのが食品製造スタッフ。大規模な工場では機械化が進み、食材の洗浄や下処理、加熱、調味、包装など工程ごとに生産ラインを分けて作業を行っています。食品の種類や工場によっては手作業を大切にする企業もあり、職人のようにパンやスイーツをつくる食品製造スタッフも少なくありません。家庭の食卓でよく見かける商品を手がけるケースでは、広くおいしさを届けられるやりがいが感じられます。

食品製造スタッフに向いてる人って?
コツコツ型で衛生面にも気を配れる、
「食」が好きな人。

食品製造スタッフは、当然のことながら「食」が好きな人に向いている仕事です。機械や調理器具などをきれいに洗浄したり、自らの身だしなみを徹底的に整えたりしなければならないため、衛生面に最大限の気遣いができることも必要です。また、製造の際には正確な作業を繰り返さなければならないため、いわゆる「コツコツ型」にも面白い仕事に映るでしょう。

食品製造スタッフになるためには

食品製造スタッフになるために必要な資格や学歴はありません。高校や専門学校、短大・大学卒業後、食品メーカーなどの採用試験を受けて、合格するのが一般的なルートです。未経験からチャレンジできる職場も多く、アルバイトやパートスタッフとして働いて、正社員登用の道のりを歩む人も少なくありません。ある程度経験を積むことで部門のリーダーや工場長へのステップアップも可能です。

ワンポイントアドバイス
気温や湿度、食材の品質など、
日々の変化によって小さな工夫を。

現在では機械化された工場が多いものの、やはり人の「感覚」もおいしさを左右する大きな要因の一つです。その日の気温や湿度を肌で感じて投入する水の量を調整したり、食材の品質を見極めて加熱時間を変えたり、一定のクオリティを届けるためには小さな工夫が必要。食品製造スタッフの仕事は一見すると単調な作業に思えますが、日々変化を感じながら働けるのです。

ほかにもあります、こんな仕事。