神野 由貴さん
インタビュー公開日:2018.01.22

手先の器用さで歯学部受験。
「北の国から」の北海道へ。
札幌の歯科医師、神野由貴さんは教員のご両親のもとで育った大阪生まれ。
「自分も教育関係に進もうと思っていたんですが、当時、地元の教員募集が少なくなってきたことを知り、途中で進路を歯学部に切り替えました」
歯科医師を選んだ理由は「小さい頃から手先が器用だと言われていたので、向いているのかも」と思ったから。文系から理系への思いきった進路変更で苦労はありましたが、一浪後、受験に成功。
修学旅行で訪れ、ドラマ「北の国から」を見て大自然に憧れていた北海道で医療大学の歯学部に入学しました。
最先端の口腔外科クリニック。
院長の人柄も決め手のひとつ。
神野さんの場合、国家資格の歯科医師免許を取得後、札幌医科大学口腔外科で2年間、研修医として勤務。期間中、札幌歯科口腔外科クリニックに外部研修に来たときに感銘を受けたことが、就職の決め手になりました。
「口腔外科に特化した歯科医院は当時まだ少なく、先端技術に関わる喜びや、宮川明院長のおだやかな人柄に惹かれてここで働きたいと思いました」
口腔外科とは、「歯に限らず口内の炎症やうみ、舌、粘膜、顎、顔面に関することならなんでも」診るところ。幅広い診療範囲が特徴です。
既往症を聞き出し治療に反映。
スピーディーに、精確に。
口腔外科に来る患者さんは他にもいろいろな症状を抱えている方が多く、歯科医師にはそれを聞き出す力と多方面の知識が必要です。
「もし血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方でしたら、どうしても血が出る抜歯はさらに慎重にするなど、知っていれば事前に防げることがいっぱいあります。新人のころは患者さんとどう話せばいいのかとまどいましたが、先輩の歯科医師や歯科衛生士さんたちに助けてもらいながら経験を積んでいきました」
大学の授業と研修と職場での実践では、徐々に判断のスピードや治療の精確さがレベルアップ。お口の健康を預かる責任を日々実感しています。
誰1人同じじゃないから面白い!
口の中から人を診る。
北海道の冬はスキー・スノーボードのケガが多発し、中高生の患者さんも頻繁にやってきます。多忙な年末や年度末、緊張が増す受験シーズンになると、歯の食いしばりによる歯の違和感や顎の痛みをうったえてくる方が多く、神野さんたちもできる限りの治療にあたります。
「口の中は誰1人同じではなく、その方のライフスタイルやお仕事も反映されているもの。そうしたお一人お一人に合った治療を考えるのが楽しいですし、なんといっても目に見えて治っていく過程を実感できるところがこちらのやりがいにもつながります」
患者さんから聞く「おいしく食べられるようになりました!」の一言で、次に向かう元気がわいてくるそうです。
2020年の東京五輪に向けて
スポーツデンティストに注目!
学生時代から柔道や水泳などスポーツ好きの神野さん。2年前には日本歯科医師会と日本体育協会が認定する「スポーツデンティスト」の資格を取りました。歯科医師の立場からスポーツに関わる資格です。
受講2期生の神野さんは集中講義を受けたほか、マウスガードを作る実習も体験済み。
2017年の札幌アジア冬季大会ではアイスホッケーの会場に待機し、ケガをした選手たちの治療にあたりました。
「2020年の東京オリンピックもスポーツデンティストの出番です!」

※日本体育協会 スポーツデンティストに関するページはこちら!
http://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid/899/Default.aspx
シゴトのフカボリ
歯科医師の一日
8:00
出勤 カルテの整理や事務仕事
9:00
治療業務
むし歯の処置や入れ歯・詰め物・冠・差し歯
などの製作と装着、親知らずの抜歯・炎症の治療など
12:00
昼休憩
お弁当を食べ、午前中のカルテの整理
13:00
午後の治療業務
17:30
学会発表の準備や書類整理
18:00
退勤

※上記は早番のスケジュールです。毎週月曜13:00〜13:30は、院内ミーティング。情報共有や最新治療に関する勉強会など
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
患者さんごとに取り替える治療器具
治療器具一式は、私たちの必需品。実はこれ、一回一回滅菌パックに入っているものを出して使い、治療が終わったら院内で完全洗浄して再びしまいます。他の医院の話ですが、針を持つ持針器(じしんき)などを特注する先生もいらっしゃるようです。

医療法人社団 札幌歯科口腔外科クリニック

地域に根ざした「外来型歯科口腔外科」を目指し、平成9年5月10日に開業。現在は歯科医師7名(内3名非常勤)体制。札幌歯科学院専門学校と北海道歯科衛生士専門学校の学生が実習に励んでいる。

住所
北海道札幌市厚別区厚別中央1条6丁目3-1ホクノー新札幌ビル3F
TEL
011-801-1400
URL
http://sap-oral.or.jp/

お仕事データ

口の中から人を診る
歯科医師
歯科医師とは
歯や口内の腫瘍などを治療し、
自ら入れ歯を作ることも。

歯の治療、保健指導、健康管理などを行います。むし歯の処置や入れ歯・詰め物・冠・差し歯などの製作と装着、歯並びの矯正、抜歯やインプラントなどの外科的治療に加えて、口腔領域の良・悪性腫瘍も治療の対象となります。
医師の施術可能な口腔外科、口腔内科的な治療行為をすることができ、歯科医療中の全身麻酔や呼吸管理なども行うことができます。

歯科医師に向いている人って?
手先が器用な人はベストマッチ。
やさしく、根気よくの気遣いも。

患者さんの口の中あるいはその周辺という非常にデリケートなところを治療するには、非常に繊細かつ精確な技術が求められます。手先が器用あるいは細かな作業が好きという人は、歯科医師向き。なかには治療に長い年月がかかるものもあり、患者さんにやさしくかつ根気よく接して信頼関係を築いていくことが大切です。
仕事のパートナーである歯科衛生士とのコミュニケーションも、仕事の質を左右します。院内スタッフとのチームワークも忘れずに。

歯科医師になるためには

国家資格の「歯科医師」が必要です。歯科大学や大学の歯学部で6年間の教育を受け、歯科医師国家試験に合格し、歯科医師資格を取得しなくてはなりません。在学中に学ぶ基礎科目では、解剖学や生理学、病理学など医学部と同じように全身にまつわることも勉強します。
2006年4月からは資格取得後、研修施設の指定を受けた病院・診療所などで1年以上の臨床研修が義務づけられています。

※詳しくは日本歯科医師会のサイトをご覧ください。
https://www.jda.or.jp/dentist/about/index_1.html

ワンポイントアドバイス
QOLの鍵を握るお口の健康
少子・超高齢社会でますます活躍。

歯と口腔の健康は、人の生涯にわたってQOL(Quality of life:生活の質)を保つために欠かせないものです。日本は超高齢社会に突入し、高齢者の方々に末永くお口の健康を維持してもらうには、歯科医師の存在が必要不可欠。一方、少子化の状況を考えると、将来的な歯科医師不足が社会的な課題になっています。ということは、資格を取れば就職に関する不安はなく、社会的なニーズにも応えることができる仕事。それが「歯科医師」というプロフェッショナルです。