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簗瀬 佳子さん
インタビュー公開日:2018.02.16

父が顔そりしてくれたことを
思い出して理容科に進みました。
理容室はカットやパーマに加え、カミソリを使って顔そりできるところが美容室との大きな違い。簗瀬佳子さんは「癒し床屋 金太郎」を経営する理容師です。男性が多い職業のような気がしますが、どうしてこの道に進んだのでしょう?
「両親が札幌市内で理容室を営んでいて、子どものころはタオル類の洗濯なんかをよく手伝っていました。でも、高学年にもなると苦痛になってきて(笑)。最初は別の道を歩もうと思っていたんですが、将来の夢に散々迷い、大学受験でも二浪してしまったので、結局は両親から『もう理容師になりなさい』と…」
簗瀬さんは、小学校の始業式や終業式の前にお父さんからシェービングしてもらっていたのだとか。その思い出から、せっかくなら顔そりの技術も身につけようと北海道理容美容専門学校の理容科に進みました。
リラクゼーション系も豊富な
理容室で働きたかったんです。
入学したからには真剣に学ぼうと心を決めた簗瀬さん。マネキンのウィッグをカットできるのは授業だけでしたが、友人と一緒にパーマのロッドを巻く自主練習やアイロンの技術を磨く朝練にも取り組んだといいます。
「卒業後はパーマやアイロンに定評があり、なおかつ現代的なリラクゼーションメニューも取り入れたお店で働きたかったんです。それがまさに『金太郎』。当時は先代の男性オーナーと2人の先輩女性理容師で切り盛りしていました」
実家の理容室には戻らなかったのですか?そう尋ねると「父は生涯現役派。私が戻って仕事を分担すると、それだけ楽しみが減っちゃいますから」と柔らかな笑顔を見せます。
ご年配の男性の裾刈りが、
最初のカットでした。
新人時代は先代オーナーの顔でひげ剃りを練習したり、終業後に友人の髪を切らせてもらったり、理容師としてのトレーニングを積んでいました。カットを手がけるには普通は何年もかかるそうですが、先輩の女性理容師がそう遠くないうちに退職することになり、1年も経たずにデビューを果たしたのだそうです。
「初めてのカットはご年配の男性の裾刈り。今は髪を切るだけなら20分くらいですが、気になるところはないか何度も確認しながらだったので1時間はかかりました(笑)。だけど、『次もあなたにお願いする』といってくれた時はうれしかったですね」
理容室に来るお客様はおさまりが良かったり、手入れがラクだったりするヘアスタイルを求める方が多いとか。髪質に合わせた切り方や毛量によるスキバサミのチョイスなど、セット時をイメージしたカットが大切だといいます。
リラックスしてほしい
という想いは手から伝わります。
簗瀬さんは5年ほど前に先代オーナーから経営をバトンタッチ。お店の名前や雰囲気はもちろん、大切な心がけも受け継いだと笑います。その心がけって何ですか?
「先代が口を酸っぱく伝えてくれた『お客様には手から気持ちが伝わる。丁寧な仕事をしなさい』という教えです。理容師はシャンプーや顔そり、マッサージなどお客様に直接ふれることが多い職業。だからこそ、リラックスしてほしいという想いは丁寧な所作となって現れるんだと思います」
カットや顔そり、マッサージが終わった後にサッパリとした表情を浮かべ、時には眉間のシワが見事に消えるお客様も。そのリラックスした笑顔を見ることが簗瀬さんの何よりの楽しみです。
働きやすさを改善して、
女性の理容師を増やしたい。
簗瀬さんは理容師になってから約15年。もうベテランの域かと思いきや、自分が不得意な分野は他店のオーナーに秘訣を聞きに行ったり、講習会に参加したり、どん欲に勉強を続けています。
「理容業界は一般的な会社員に比べて休みが多いとはいえず、女性の働きやすさもまだまだ整っていないのが現状。私がお店を引き継ぐ時には常連さんから『もし結婚して子どもが生まれても、仕事中は僕がその子の面倒を見てあげるから心配せずにやりなさい!』と言われたくらいでした」
簗瀬さんの目標は女性理容師を増やすこと。今後は産休や育休を視野に入れ、働く環境をもっと改善していきたいと力強く語りました。
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
道具
美容師は右端の小さなハサミで細かくスタイルを整えますが、理容師はザクリと髪を切ることも多いので大きめのハサミも使うんです。スキバサミも目が細かいものと粗めを2種類使い分けています。

癒し床屋 金太郎

カットや顔そりに加え、耳エステやフェイシャルエステ、顔筋マッサージなどのリラクゼーションメニューが豊富。レディースシェービングも好評です。

住所
北海道札幌市中央区南1条西7丁目
TEL
011-271-3865
URL
https://kintaro-hair.com/

お仕事データ

髪も顔も心もスッキリと
理容師
理容師とは
お客様のヘアスタイルを整え、
シェービングも行う仕事。

理容師の主な仕事はお客様の髪を切り整えること。カウンセリングによってご希望を聞いた上でシャンプーやカット、刈り上げ、場合によってはカラーや白髪染め、パーマなどを施します。美容師と共通部分が多いのですが、カミソリを使った顔そり(シェービング)は理容師の資格を持つ人にしかできない業務。ひげや産毛をそるのはもちろん、ひげカットや眉カットなどでおしゃれに仕上げることもあります。最近はレディースシェービングなど女性向けのメニューを取り入れた理容室も増えているようです。

理容師に向いてる人って?
「技術職」にこだわる
聞き上手な人。

「おしゃれ」や「カッコイイもの」に興味があり、ファッションが好きなら理容師の仕事を楽しめるでしょう。また、スピーディーかつ精密なカットやシェービングの高い技術が求められるため、「技術職」にこだわりを持つ人に向いています。お客様のニーズを引き出したり、ヘアセットのアドバイスを行ったり、会話も大切なのでコミュニケーション能力も重要。聞き上手であることが素養の一つです。

理容師になるためには

厚生労働省が指定する理容学校(昼間部2年、夜間部2年、通信科3年のいずれか)に進学。筆記と実地の国家試験を受け、合格することで理容師免許が交付されます。最近は理容師と美容師のWの資格を取得できる学校も増えています。

必要な資格
 理容師免許(国家資格)

資格取得の方法

 ・理容学校(昼間部/夜間部2年)に通い、国家資格に合格。
 ・理容学校(通信科3年)に通い、国家資格に合格。

ワンポイントアドバイス
注目度が高まっている
「ケア理容師」。

超高齢社会を反映し、介助が必要なお年寄りや障がいを持つ方への理容サービスのニーズが高まっています。こうした福祉の視点から生まれた制度が「ケア理容師」。訪問理容や送迎理容といった形で身体状況や障がいに応じた施術をいます。ケア理容師としての認定を受けるには、「全国利用生活衛生同業組合連合会(全理連)」が主催する「ケア理容師養成研修」を受講し、修了資格を取得します。詳しくはホームページをご確認ください。http://www.riyo.or.jp/