松橋 麻奈美さん
インタビュー公開日:2018.04.25

きっかけは
ラジオ番組に送った1通のメール。
中学3年のころから、勉強のかたわらラジオを聞くようになったという松橋さん。現在の職業は、ラジオディレクター。
「高校生のとある日、友達と家に帰っていたんです。仲は良かったのですが、なぜかその帰り道の数十分の間、一言も会話を交わさなかったんです。それがショックで…」
その小さな出来事をラジオ番組のパーソナリティにメール相談したのが、松橋さんの進路を決定するきっかけとなります。
「パーソナリティの方が、親身にアドバイスをくれたんですよ。『大丈夫、明日は普通に話してるよ!』って。すごく気が楽になったとともに、顔もわからない相手に対して、真剣に相談に乗ってくれたことに感動しました」
こんな風に人を元気づけるラジオ番組に携わってみたい!そう強く思った松橋さんは、ラジオ番組制作の授業がある専門学校へと進みました。
専門学校生のころから
ラジオ番組のミキサー卓を操作。
ラジオディレクターの役割は、ラジオ番組の企画考案や台本づくり、選曲のほか、音響をつかさどるミキサー卓の操作など様々です。
松橋さんはなんと専門学校生のころから、実際のラジオ番組でミキサー卓の操作を担当していたのだとか。たくさんのボタンやつまみをタイミング良く操作し、音楽の切り替えや効果音、ボリューム調節など、音源のすべてを担います。
「週に1回、ラジオ局でアルバイトをしていました。はじめは雑務をやっていましたが、収録中、後ろでディレクターの卓の操作を見ながら必死にメモを取っていたら、『座る?』っていってもらえたんです」
それ以来、音響は松橋さんが担当するものの、こんな失敗も———
「操作を誤り、CMに切り替わる際の音楽をブツッと切ってしまったことも…(苦笑)。早いうちに失敗を経験できて良かったです」
重要なのは「おもてなし精神」
ゲストにリラックスしてもらいたい。
卒業後は、ラジオディレクターの補佐であるAD(アシスタントディレクター)として勤務。ADは番組の進行管理や台本の準備、スケジュール管理のほか、コピーの用意や本番中のSNSチェックなど雑用も担う仕事です。
「学生時代から好きだったラジオ番組のADを初めてやらせてもらえたときは、夢のようでした」
その後東京でも経験を積み、現在はディレクターとして、AIR-G’(FM 80.4MHz)でいくつかの番組を手がける松橋さん。一番大事にしていることを尋ねると「おもてなし精神」との答えが。
「番組に来てもらえたゲストの方がリラックスして楽しく話をしてもらえるように、私も楽しみながら作っているんですよ」そう言いながら松橋さんが取り出してくれたのは、自ら制作したウェルカムカードや、話すテーマが書かれたカードの数々。ウェルカムカードには、『北国へようこそ!お越しいただきありがとうございます!とっても楽しみにしていました!』など、ゲストへのおもてなしの気持ちがつづられます。
「本番中には話すテーマが書かれたカードを引いてもらい、出たテーマについて話してもらうなど、ゲーム感覚で楽しんでもらえるように工夫しています。ウェルカムカードやこのカードでゲストのみなさんの肩の力が抜け、本心で語ってくれるようになるんです」
学校訪問やイベント開催で
リスナーの学生と交流!
松橋さんが担当する番組の1つが月曜から木曜19:30~21:40に放送される『イマリアル』。主に学生をターゲットに、旬な音楽や若者たちのリアルな声を届けています。
「学校を訪問して取材したり、学生に参加してもらうイベントを主催したりと、リスナーと会えるのが本当に楽しいんですよ。あの曲好きでした!などといってもらえるのはやりがいを感じますね」
ディレクターでありながら声で出演することもある松橋さんは、「イマリアルのディレクター」としてリスナーから認知される存在。
「番組の知名度が上がっていくのはうれしいですし、ステイタスも感じます。一度会った学生は、例えメールやSNSでも顔が思い浮かびます。このネットワークは私の財産にもなっています」
仕事と趣味がイコール!?
楽しいことばかりです。
ミキサー卓に座り、効果音や音声を操作する松橋さんは、心底楽しそう。
「彼女がいるとみんな笑顔になります。彼女は誰よりも愛があふれているんです」と話してくれたのは、松橋さんと二人三脚で番組を進行するパーソナリティ。
私たち取材陣も、パーソナリティの軽快なトークや松橋さんの音の遊びでの世界にグングン引き込まれ、自然と笑みがこぼれました。
「この仕事はオフタイムも大切。企画の中でライブを見に行ったり、番組のために6時間ひたすら釣りをしたりすることもあります。仕事だけど、私にとっては趣味のような感じなんです」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

志(こころざし)を持って、今目の前にあるやるべきことをひとつずつクリアしていけば、必ず道は開けてくるはずです!

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
色ペンと、各種カード
番組に出演するゲストのために、話すテーマが書かれたカードなどを手作り。ゲストにも楽しんでもらえるように考えながら、スキマ時間を使ってちまちま作っています。

AIR-G’エフエム北海道

FM80.4MHz、北海道を放送対象地域とする。月曜~木曜の19:30~21:40に放送される「IMAREAL」は、中高生リスナーを対象に、旬な音楽やリアルな学生の声を届けている。

住所
北海道札幌市中央区北1条西2丁目 札幌時計台ビル14F 
TEL
(代表)011-241-0804
URL
https://www.air-g.co.jp/

お仕事データ

ラジオ番組の総監督!
ラジオディレクター
ラジオディレクターとは
番組の企画や構成、指示出しなど、
ラジオ番組のすべてを監督!

ラジオディレクターは番組の企画や構成から、コーナー作成、ゲストの選定、使用する曲のチョイス、さらにパーソナリティへの指示など幅広い役割を担います。いわば、ラジオ番組の総監督。大きな局や制作会社では構成作家や放送作家などが台本を作ることもありますが、コーナー企画や時間の配分などを考慮して大まかな放送原稿を制作するケースも多いようです。場合によっては音の調整を行うミキサー役も担うなど、多彩なスキルが求められます。

ラジオディレクターに向いてる人って?
どんな状況でも冷静に判断でき、
自分の考えをしっかりと伝えられる人。

ラジオ番組は生放送が多く、突然のアクシデントが起こらないとも限りません。そのため、どんな状況でも冷静に対応できる的確な判断力が求められます。ラジオディレクターはパーソナリティや他のスタッフに意見を迫られることもあることから、自分の考えをしっかり伝えながら上手くコミュニケーションが取れる力も必要。番組の進行を支える役割として、調整力に自信がある人も向いているでしょう。

ラジオディレクターになるためには

大手のラジオ局に就職するには、大学や専門学校へ進学してから新卒採用を目指すのが一般的。放送関連の学科を設ける大学や専門学校で、機器の操作や業界の基礎知識を学ぶと有利に働くこともあります。とはいえ、制作チームに配属され、ディレクターになれるかは運と努力次第。ラジオ番組の制作会社に就職する他、ラジオ業界でアルバイトをするのも有効です。地方のミニFMやコミュニティラジオでは、ディレクターを募集している場合もあります。

ワンポイントアドバイス
出演者やスタッフ、リスナーとともに、
番組を作り上げる一体感も醍醐味!

大勢のスタッフが関わるテレビ番組の制作とは異なり、ラジオ業界ではディレクターとパーソナリティで成り立つケースも少なくありません。自分の意見がダイレクトに反映されたり、企画が通りやすかったりするのも醍醐味のようです。また、ラジオはリスナーから寄せられるはがきやメール、電話などで反応をダイレクトに感じることができます。スタッフや出演者とともに、聞いている人も一丸となって番組を作り上げているというやりがいも感じられる仕事です。