大浦 洋平さん
インタビュー公開日:2018.01.22

スマホの普及が
ゲームファンを拡大。
「コンピュータゲーム」で一度も遊んだことがない、という人は少ないはず。若い世代はもちろんですが、近年、スマホが広く普及したことで、シニア世代にもゲームを楽しむファンが急増しています。
こうしたゲームソフトを開発し、世に送り出しているのが、ゲームクリエイターという仕事。ボーカロイド「初音ミク」のヒットで全国的な知名度を誇るソフトウェア会社、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社で活躍する大浦洋平さんにお話をうかがいました。
みんながプレイして良かったと思える
ゲームを作りたい。
「もちろん、ゲームが好きだからです」
ゲームクリエイターになった理由を尋ねると、大浦さんは即答しました。
「子どものころからゲーム好きですが、きっかけになったゲームをひとつ挙げるとすれば、スクウェア社(現:スクウェア・エニックス社)から発売された『ファイナルファンタジー7』ですね。人気シリーズの7作目で、3Dグラフィックを駆使したRPGの超大作。これはかなりハマりました」
自分もこうしたゲームを制作するクリエイターになって、プレイしてくれた人を喜ばせたい。大浦さんはそう考えて、ゲーム制作を学べる専門学校へ進学しました。
スマホゲームで約10名、
大作だと100名を超えることも。
一口にゲームクリエイターといっても、その役割は細かく分かれています。ストーリーを考える人、デザインやキャラクターを考える人、音楽を作る人などなど。
そうした中で大浦さんが担当しているのは「ゲームとして動く仕組み」を作るプログラミング作業。プログラミングにもさらに細かな役割分担があり、大浦さんが担当しているのは「主に『見た目』に関わる部分のプログラミングですね。他にはデータベースに関わるプログラミングを担当しているスタッフもいます」
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社では、1タイトルのスマホゲーム開発に携わるスタッフは10名ほどだとか。
「でも、大作になれば100名超えるスタッフが関わることも少なくありません。クレジットには名前が載らない、下請けの制作スタッフを含めるともっと多いはず。僕も以前の職場で、人気タイトルの一部の制作に関わったことがあるんです。もちろん、どこにも名前は載っていませんが(笑)」
伝説的ゲーム会社の
情熱は今も受け継がれている。
人気ゲームを生み出しているのは東京の大手企業ばかりと思うかもしれませんが、実は札幌にもかつて「ハドソン」という伝説的なゲーム会社が存在していました。「桃鉄(桃太郎電鉄)」や「ボンバーマン」など、現在も続編が作られているヒット作を次々に発表。残念ながら会社は既に解散していますが、その情熱は札幌の街に受け継がれていると大浦さんは話します。
「当時、ハドソンで活躍していたクリエイターの方々が、それぞれ独立して立ち上げたゲーム会社が札幌には多くあるんです。北海道から全国にヒット作を生み出すという熱意は今もしっかりと受け継がれています」
ひとりでゲームを作るのは大変!
「ひとりで作成ももちろんできますが、それぞれの作業をしなければならなく膨大な時間が掛かります。デザイン、サウンド、プログラミング。それぞれのスペシャリストがチームとして役割を果たすことで、みんなに楽しんでもらえる質の高いゲームができるんです。共同作業で重要なのはコミュニケーション。ゲーム制作といっても黙々と画面に向き合っているのではありません。皆が力を合わせて作るからこそ、できあがった時の達成感も大きくなるんです」
貴重な時間を使って遊んでくれる
ユーザーの皆さんには感謝しかない。
自分が作ったゲームでたくさんの人に遊んでもらうことが、仕事のやりがいだと話す大浦さん。
「特にスマホゲームの場合は、ダウンロード数がわかるので、遊んでくれた人の数が一目瞭然。コメント欄から感想をもらえるので、励みになります。自分が作ったゲームをプレイしている人を地下鉄などで見かけることもあり、本当に嬉しい気持ちになりますね」
とはいえ、ダウンロードサイトに寄せられるコメントは好意的なものばかりではありません。否定的なコメントをもらって落ち込むことはないのでしょうか?
「例え『つまらない』といわれても、遊んでくれたことへの感謝のほうが大きいですね。YouTubeを見たり、SNSを見たり、ゲーム以外にも楽しいエンタメがあるにもかかわらず、自分が作ったゲームでプレイしてくれたわけですから。プレイしてくれた人には感謝の気持ちしかありません!」
シゴトのフカボリ
ゲームクリエイターの一日
8:50
出勤
9:00
朝礼(作業の進捗を報告)
9:15
ゲーム制作(プログラミング作業)
12:00
昼食・休憩
13:00
ミーティング
15:00
ゲーム制作(仕様変更作業)
18:00
退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

スタッフ一人ひとりがアイデアを出し合うから、楽しいゲームが生まれるんです!

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社

サウンド素材を輸入販売する「音の商社」として創業。得意分野の「音」を探究しながらデジタルコンテンツに関わる事業を展開する中、2007年に歌声合成ソフトウェア『初音ミク』を企画開発した。サウンドコンテンツのライセンス販売をはじめ、音声技術開発、音楽配信プラットホームの開発・運営、キャラクターライセンス事業、ライブ・イベント制作事業、地域を応援するローカルプロジェクトの企画・運営など、多岐にわたるサービス構築・技術開発に取り組んでいる。

※「ボーカロイド」「ボカロ」はヤマハの登録商標です。

住所
北海道札幌市中央区北3条西4丁目1−1 日本生命札幌ビル11F
TEL
011-222-6655
URL
https://www.crypton.co.jp/

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お仕事データ

楽しい「時間」を創る
ゲームクリエイター
ゲームクリエイターとは
企画からシナリオ、キャラ制作まで
ゲームづくりに携わる人の総称。

現在のゲームはグラフィックも動作も高度なため、さまざまな分野のエキスパートが共同で作り上げるのが主流です。具体的な分類はプロデューサー(予算やメンバー管理)、ディレクター(制作の進行確認・指示)、プランナー(企画・立案)、シナリオライター(ストーリーやセリフの考案)などの企画職と、プログラマー(プログラミング)、グラフィックデザイナー(登場人物や背景を制作)、サウンドクリエイター(ゲーム内音楽を制作)などの制作陣。こうしたユーザーの目に見える部分を生み出す職種は「クライアントサイド」と呼ばれる一方、多くのアクセスがあってもゲームを安定的に動作させたり、プログラムが動く環境自体を作ったりする「サーバーサイド」という分野に携わるエンジニアもいます。一般的にはこれらゲームを生み出す人たちの総称をゲームクリエイターと呼びます。

ゲームクリエイターに向いてる人って?
ふだんから自分の感性を磨き、
仲間と協力して物事を進められる人。

新しいゲームを手がけるには、ヒット作につながるアイデアや発想が大切。アートにふれたり、流行に興味を持ったり、ふだんから感性を磨くことが好きな人は向いているでしょう。また、ゲーム制作の現場はチームで仕事を進めるのが基本。仲間と一緒に物事を完成させるような協調性も必要です。また、場合によっては何年もかけて一つの作品を作り上げることもあるので、9時~17時の勤務時間というよりは働き方が不規則になりがち。そのためスタミナや根気も求められます。

ゲームクリエイターになるためには

ゲームクリエイターに資格が求められるケースはほとんどありません。ゲームメーカーやゲーム開発会社に就職してキャリアをスタートするのが一般的です。プログラマーやグラフィックデザイナーといった開発陣を目指す場合は、ゲーム制作に関連する専門学校・短大・大学で知識やスキルを身につけると良いでしょう。プロデューサーやプランナーなどの企画職は大卒以上の学歴を求められることが多いようです。また、独学からゲームクリエイターを目指すこともできます。

ワンポイントアドバイス
一流クリエイターへのチャンスは誰にでも!

ゲームクリエイターの中にはゲームメーカーで実績を積んでヒット作を生み出した人もいれば、大手企業から独立して今や名の知れた開発会社を設立した人もいます。さらに、最初は独学でコツコツとゲームの制作を始め、コンテストへの入賞をきっかけに業界に進出して大ヒットタイトルを手がけたクリエイターも。面白いゲームを作る力さえ持っていれば、誰にでも一流になれるチャンスがあるところもポイントです。