公立図書館や大学図書館、小中高校の図書室、企業の専門図書館などで本の管理や資料集め、書架(書棚)整理などにあたるのが司書。本の貸し出しや返却の対応、新規利用者登録、求められている本を探すレファレンスサービス、予約やリクエストの受け付けといったカウンター業務がよく知られています。他にも、限られた予算から新しい本を購入する選書、蔵書の点検、返却された本を元に戻す配架、書架をチェックして並べ直す書架整理など、司書の仕事は多種多彩。図書館によっては絵本の読み聞かせや講演会をはじめとするイベントを企画することもあります。司書は人と本とを結びつける、図書整理・紹介のエキスパートです。
本と関わる業務が大半を占めることから、特定ジャンルに偏ることなく「本が好き」であることが大前提。加えて、貸し出しや返却はもちろん、利用する方の求める情報をヒアリングした上で本を探すこともあるため、コミュニケーション能力も必要です。データベースを駆使して資料を見つけるには、適切なキーワードを選び出す検索力も重要。また、整理や分類が得意な人も、司書に向いているでしょう。
司書として働くために国家資格の「司書」が必ずしも求められるわけではありません。とはいえ、多くの図書館では応募の条件にしていることから、取得しておいたほうがベターといえます。「司書」の取得には三つのルートがあり、一つは大学や短期大学在学中に「司書養成科目」の単位を修得する方法。二つ目は大学や短大、高等専門学校を卒業した後、「司書講習」を修了して資格を取得するコース。「司書補講習」を受け、3年以上司書補(司書を補佐する仕事)として勤務し、「司書講習」を修了した上で資格を得る道のりもあります。その後、希望する図書館の司書採用試験や地方公務員試験(司書の専門職もしくは一般行政職)に合格し、初めて司書として働くことができるようになります。公立図書館の場合、各自治体の試験に合格したからといって、確実に図書館で働けるとは限らないのでご注意を。
公共図書館や企業の専門図書館で司書が募集される機会は多いとはいえず、倍率も高い人気職業でもあることから狭き門といわれています。可能性を少しでも広げたいという方にオススメなのが「学校司書」や「司書教諭」も視野に入れること。学校司書は学校内にある図書館で司書業務を行う仕事で、各学校単位で募集されています。制度上は資格が必要とされませんが、「司書」「司書教諭」が必要とされるケースが大半です。司書教諭は教員であると同時に学校図書館で図書の選択や購入、読書相談、読書指導などにあたる仕事です。「司書教諭」になるには小学校、中学校、高校または特別支援学校の教諭の免許状を取得し、「司書教諭講習」を受講して司書教諭の資格を取得する必要があります。
ほかにもあります、こんな仕事。