家庭裁判所に配属され、裁判官の指示を受けて少年事件や家事事件について調査・報告を行います。少年事件の場合は、なぜ非行を起こし、どのような環境で育てられてきたのかなどを少年や保護者と一緒に考えることが必要。調査では、少年や保護者と面接し、言葉での表現が苦手な少年を理解するために心理テストをしたり、家庭や学校などを訪問したりします。家事事件では、主に離婚や親族間の紛争解決に向け、当事者や子ども、関係者と面接し、気持ちを受け止めながら具体的な事実を聴取。その結果を基に、報告書を作成します。
家裁調査官は、離婚や親権者の変更といった家庭で起こる紛争事件、少年の非行などを調査して報告書を作成します。その結果は審判や調停を行う上で重要な資料に。そのため、家族や少年の人生を左右する重要な職責を担っているという自覚を持つことが必要です。また、難しい年ごろの少年や家庭の問題を扱うため、人間的な温かさや気配りも求められます。
家裁調査官は国家公務員。裁判所職員採用試験の総合職試験(家庭裁判所調査官補、院卒者区分、大卒程度区分)に合格し、家裁調査官補として採用されることが必要です。採用後は、約2年間の研修を経て、家裁調査官に任命されます。試験科目に心理学や社会学、教育学、法律学があるため、それらを学べる学部の出身者が多いようですが、採用後に充実した研修を受けられることから理系学部などの出身者もいますので、多種多様な知識を持った人が目指す職種と言えるでしょう。
※詳しくは裁判所のホームページをご確認ください。
http://www.courts.go.jp/saiyo/index2.html
ここ最近では、少年による重大事件やインターネット社会が引き起こすトラブルなどが大きな社会問題となっています。さらに、非行を起こした少年だけではなく、保護者への対応や被害者を巡る人権などにも関心が高まっています。離婚に伴う子どもの親権を巡る問題や児童虐待など、家庭裁判所には絶え間なく新規の案件が持ち込まれ、内容も複雑かつ困難なものに。こうした環境の変化が起こる中で、家裁調査官の果たす役割はますます重要になっています。