道野   愛さん
インタビュー公開日:2023.10.12

初めて搭乗したAIRDOの新鮮な記憶。
今はAIRDOのグランドスタッフに!
『AIRDO ならびに ANA よりご案内いたします。◯○行き(〇〇時◯◯分発 AIRDO〇〇便・共同運航便ANA〇〇便)は、ただいまより、ご利用のお客さまを機内にご案内いたします。どうぞ、〇〇番搭乗口からご搭乗ください。今日も北海道の翼 AIRDO ならびに ANA をご利用くださいましてありがとうございます。』
いよいよ搭乗時間。飛行機に乗り込む時の、ちょっとワクワクする気持ちが高まります。もしかすると、そのアナウンスをしているのは道野愛さんかもしれません。
「小学5年生の時、関東に単身赴任中の父に会うため、生まれて初めて乗った飛行機がAIRDOでした。その時の新鮮な記憶がずっと残り、飛行機が好きになったんです!」
本当に楽しそうに話す道野さん。あこがれのAIRDOに入社して8年目。飛行機の搭乗・到着時のお客さまのサポートを行うグランドスタッフとして、着実に経験を積んできた中堅社員です。
「地元の石狩市では、札幌丘珠空港を発着し、上空を行く飛行機を眺めていました。今の勤務地は新千歳空港ですが、興味を抱いてきた分野で働けている喜びをずっと感じています」
なによりも、飛行機に乗ることが好きなのだと、身を乗り出す道野さん。実はそれが、グランドスタッフという業務に就いた理由につながります。
お客さまの搭乗・到着時のケアを通じ、
定時運航を守るという責任とやりがい。
道野さんによると、グランドスタッフという仕事は、お客さまが飛行機に搭乗するまでと、到着したお客さまが無事に飛行機を降りるまでのケアを行うことが主な業務だそうです。
「カウンターでの搭乗手続き、搭乗口でのアナウンス・改札、また、AIRDOではカウンターでもチケットを購入できるので、その発券業務なども行っています。座ってゆっくり対応できるカウンターも備えています」
飛行機の到着時には、車椅子を利用されているお客さまや、エア・ドゥキッズ(子ども一人旅)など、手伝いが必要なお客さまをサポートしたり、ご案内なども行います。
「その日に担当する便があらかじめ決まっていて、該当便の出発業務を行って飛行機を送り出したら、別の空港からやってくる到着便のお客さまをケアし、さらに、その飛行機が清掃を経て出発していく際の案内などを行うといった流れで業務を行っていくんです」
出発時刻が迫ると、搭乗口に来ていないお客さまがいれば、ロビー内を巡って知らせて、保安検査場に誘導。改札口の締め切り時間までに搭乗ができるようにサポートを行います。お客さまへの対応を通して、定時の出発時間を守る役割も果たしていることに、責任とやりがいを感じると道野さんは話します。
『人と接する業務』ということに興味。
専門学校に進んで知った理想的な仕事。
もともと、飛行機好きだった道野さん。高校卒業後は、エアライン系の専門学校へ進むことを検討しましたが、そこには悩みもあったのだと告白してくれました。
「航空会社の仕事には憧れましたが、飛行機といえばCAというイメージが強くて。自分はCAに向いていないかも……と思っていたので迷っていたんです。そんな時、『好きな分野ならチャレンジしてみれば』という友人の言葉に背中を押され、一歩を踏み出しました」
当初は、飛行機の誘導などを行うグランドハンドリングの仕事に興味を持っていましたが、専門学校の見学に行った際にグランドスタッフの仕事を知り、関心が向きます。人と接する業務であることに魅力を感じたのだそうです。高校ではアナウンス部に所属し、マイクの前に座っていました。自然な話し方なのに、よく通る優しい声。そんな自分の特徴も活かせるのではないかと考えました。
「CAを避けたのは、飛行機に乗るのが好きだからということもあります」
それはなぜ?「純粋にフライトを楽しめる気持ちを、ずっと残しておきたい。そのため、機内を仕事場にしたくなかったんです」
空港の空間も好きだという道野さん。飛行機に乗る楽しみは変わらないけれど、今は、降り立った空港のグランドスタッフの動きが気になったりするのだと笑います。

グランドスタッフをまとめる立場に。
忙しい時こそ冷静でいることを意識。
道野さんは1年ほど前から、新たにインチャージ(旅客責任者)という立場で業務を行っています。これは、出発・到着の際のお客さまのケアを行うグランドスタッフを管理する役割。自らも一人のスタッフとして業務を行いながら、現場をまとめています。
「例えば到着便が遅延すると、その後の便にも影響が出るので、状況に合わせてグランドスタッフの配置を調整したり、カウンターへの応援要請などを行います」
現場への配置の采配を行ったり、到着便の遅延を受けて出発便を何分遅れにするかといった検討を運航管理とともに行い、遅延時間のアナウンスを指示。欠航になった場合、お客さまをどう誘導するかといった判断も行います。
「雪で大幅な遅延などが起こると、切羽詰まったような状況になることもありますが、そんな時こそ冷静でいることを心がけています。そして落ち着いて判断し、後輩スタッフに的確に指示を出せるよう、努めています」
経験が何よりも大切な仕事なのだと道野さん。日々、経験したことをまとめ、同じような場面で応用するためのアンチョコ(虎の巻)を自らつくり、持ち歩いているのだとか。サービス・保安に関する社内のマニュアルも自分が使いやすいようにまとめてあるこのアンチョコは常に更新され、業務を支えています。
安全を守るという役割も果たす仕事。
飛行機を楽しむお客さまの姿が喜び。
「北海道では、雪の影響によって、他社を含めてすべて欠航してしまうことがあります。そんな時、急ぎの用事があるお客さまには、JRやフェリーの案内なども行います。幅広い知識を身に付け、機転を利かせられるよう、心がけています」
お客さまへのサービスと同時に、グランドスタッフとして重要なのが保安要員としての役割なのだそうです。例えば、搭乗口の改札機は必ず閉じておくなど細心の注意を払い、不審者の侵入を防ぐなど安全管理に常に気を配っています。小さなミスが重大事故につながることもあり、『まあいいか』が通用しない世界なのだと、厳しい表情になる道野さん。
「そうしたなかで、幅広い年齢層のお客さまと触れ合うことができ、飛行機に乗ることを楽しみにしている様子が感じられると私もうれしくなります。『また乗るね。』そんなふうに言われた時には、この仕事をしていて良かったと思いますね」
飛行機はチームワークがあってこそ、安全に、定時に飛ぶことができるのだと道野さん。インチャージという立場で、後輩や他のスタッフをしっかりサポートできるようになることが今の目標と視線を上げます。穏やかで心地よいアナウンスがAIRDOの出発便を告げていたら、それはきっと道野さんです。
(取材地 新千歳空港)
シゴトのフカボリ
グランドスタッフの一日
7:10
出勤、ブリーフィング(運航状況などの確認)
7:30
AIRDO12便、ゲート業務
8:10
AIRDO11便到着業務
8:30
AIRDO14便ゲート業務
9:00
インチャージ業務
11:30
休憩
13:30
AIRDO24便ゲート業務
14:30
AIRDO120便ゲート業務
15:00
事務作業、業務連絡の確認
16:10
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
アンチョコ
業務上の経験をもとに、社内のサービス・保安マニュアルを自分なりに整理し、業務のなかで即座に活かせるように、まとめたオリジナルの虎の巻。内容はどんどん更新され、並行して業務スキルを高めていくための必須アイテムです。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

私は、小さいころに搭乗したワクワク感が忘れられず、いつしか好きになった飛行機に関連する仕事を目指しました。現場に出ると、大変なこともありますが、好きな環境にいられることに、毎日楽しさを感じています!

株式会社AIRDO

北海道の翼として、1998年に就航した北海道発のエアライン。道内6空港に加えて、仙台・東京・名古屋・神戸・福岡に就航しています。

住所
北海道札幌市中央区北1条西2丁目9 オーク札幌ビルディング8階(本社)
URL
https://www.airdo.jp

お仕事データ

旅行者の強い味方!
空港グランドスタッフ
空港グランドスタッフとは
飛行機への搭乗手続きを行い
安全な旅へと導く案内役

空港グランドスタッフは、空港内で旅客の搭乗手続き(カウンター業務)と、飛行機への搭乗の案内・誘導(ゲート業務)を行う仕事です。カウンター業務では、チェックインカウンターで旅客の持つ航空券に間違いがないか確認し、手荷物の持ち込み禁止物の案内や重量の確認、預かり証の発行を行います。国際線の場合は、名前の綴りやパスポートの有効期限、ビザなどもチェックします。ゲート業務では、搭乗ゲートで旅客の搭乗手続きや搭乗案内を担当し、飛行機が安全に出発できるようにサポートします。乳幼児や高齢者、障がいを持つ人がいる場合は搭乗を優先させたり、安全に乗れるように配慮を行います。また、トラブルの際の対応もグランドスタッフの重要な役割です。

空港グランドスタッフに向いてる人って?
細かい所にも気がつく注意力があり
どんな人にも丁寧に対応できる人。

空港グランドスタッフにまず必要なのは、安全な搭乗をサポートするための注意力。搭乗手続きには慎重な確認作業が必要ですので、細かな所に気がつき、常に注意を怠らない人が向いているでしょう。空港は老若男女、さまざまな国籍の人が利用しますので笑顔で親しみやすい態度を持ち、誰に対しても丁寧な接客を行うコミュニケーション能力も大切。また、柔軟性があり、予測できない状況にも対応できることが重要です。チームで協力し合い、効率的に業務を遂行する意欲のある方も適しています。

空港グランドスタッフになるためには

空港グランドスタッフになるために必要とされる資格や学歴はありません。ただし航空の知識を学べる専門学校に進学し、安全な飛行機の運行や法律・規則などの知識や語学力を身に付けて入社する人が多いようです。大学で英語を学び、その語学力を生かしてこの職業を目指す人もいるでしょう。卒業後は航空会社に入社して配属されるケースか、空港での地上業務を委託されている会社に入社し、研修を経て現場に至るケースが一般的です。

ワンポイントアドバイス
近年は自動チェックインが普及、
ますますコミュニケーション能力が鍵に。

近年の空港では、専用機械にスマートフォンをかざすだけで搭乗手続きが可能な「自動チェックイン」が進んでいて、空港グランドスタッフの業務が軽減されています。一方で手荷物についての案内や、トラブルの際の対応、搭乗の際の案内・誘導など気づかいが必要な場面では、まだまだ空港グランドスタッフのコミュニケーション能力が重要です。とりわけ、世界中の人々が旅行に訪れる観光立国・日本では、今後も必要不可欠な仕事として活躍が期待されるでしょう。