丸水札幌中央水産株式会社
昭和35年3月、札幌市中央卸売市場の開業に合わせて設立。以来、半世紀にわたり北海道民、札幌市民の台所として生鮮水産物を中心とした食料品を安定供給。海と食卓をつなぐプロフェッショナル集団として生産者と消費者の橋渡し役を担い、どちらの満足も追求しています。
卸売市場で魚や野菜、肉、花き(切り花・鉢物)などの「せり取引」を仕切るのがせり人の主な仕事です。まずは出荷者(生産者や農業協同組合、漁業協同組合など)から商品を仕入れ、深夜・早朝の市場で仲買人(仲卸業者や売買参加者)に向けて産地や数量の情報を開示。独特の指のサインを使った「手やり」や機械によって買い取り価格を競ってもらい、最も高値を提示した仲買人を落札者として決めます。せり人は、多くの買い手が素早く繰り出す手やりを正確に読み取り、効率的に落札者を決めなければなりません。さらに、なるべく高く売りたい出荷者と、なるべく安く買いたい仲買人との間で納得のいく価格を決める責任があります。
せり人は仲買人の手やりをスピーディーに読み取らなければならないため、正確な判断力が求められます。また、せり取引にはせり人が台に立って行う「固定せり」や品物を見せながら移動する「移動せり」などがあり、それぞれ臨機応変に対応しながら落札者を決める柔軟な姿勢も必要です。威勢の良い仲買人を束ね、一度きりの取引のプレッシャーを楽しめるような度胸があることも素養の一つでしょう。
せり人になるには、各市場が定める「競り人登録試験」に合格する必要があります。そのためには、市場に出入りする卸売会社に就職し、営業部で一定期間の実務経験を積まなければなりません。登録試験の内容は市場の法律や取引についてが中心です。登録証には有効期限があり、せり人として働き続けるためには定期的に試験を受け直します。最初の更新は3年以内、以降は原則5年に1回です。
テレビのニュースやドラマでは手やりを使ったせり取引がクローズアップされますが、せり人は他にも「相対(あいたい)取引」という方法で商品の価格を決めることもあります。これは、あらかじめ販売予定額を定めることなく、また仲買人を競争させることもなく、買い手との話し合いによって販売価格や数量を決定する売買方法です。せり取引は公開性に優れている一方で価格変動が大きく、供給も不安定になりがち。相対取引は安定した価格で商品を供給できるというメリットがあります。