野原 彩香さん
インタビュー公開日:2024.11.12

「推し」がきっかけで、
英語に興味を抱きました(笑)。
富良野市といえば、有名ドラマのロケ地や美しい自然風景、アウトドアアクティビティなど、観光資源が豊富なまち。ここ最近は外国人からも人気が高く、花畑が見頃を迎える夏と、パウダースノーを存分に楽しめる冬には多くのインバウンドが詰めかけます。
「ただ、あまり知られていないだけで、春の桜色に染まるまちの光景も秋の紅葉も、とってもキレイ。富良野は四季を通じて魅力的なまちなんです」
こう語るのは、市内外の人が集い交流するまちの縁側「フラノマルシェ」を運営するふらのまちづくり株式会社の野原彩香さん。ご出身はもちろん富良野市。よほど地元のことが好きだと伺えます。
「う〜ん…小さいころは都会がキラキラと輝いて見え、絶対に富良野から出てやるって思っていました(笑)。なので、高校卒業後の進学先に選んだのは札幌の武蔵女子短期大学英文科。小学生のころにイギリスのボーイズバンドにハマり、彼らが何を話し、どんな文化で育ってきたのか知りたいと英語に興味を抱いたんです」
さらなる英語力アップや語学留学などを見据え、野原さんは札幌市で短大生活をスタートさせました。
「広報」「まちづくり」という
自分にとってのパワーワード!
当初、野原さんは故郷に戻るつもりはなかったそうですが、都会で暮らすにつれて心境が変わっていったと振り返ります。
「地元はどこへ出かけても友人と会ったり、両親の知り合いから声をかけられたり、人と人とのつながりが常に感じられる環境。札幌ではそんなケースはほぼなく、富良野はあたたかなまちだったんだ…と気づかされました」
野原さんは、地元に戻って働くことを決意。外国人の宿泊客が多い富良野駅前のホテルなら自身の語学力を生かせるだろうと新卒で就職しました。
「2年半ほど働いたところで、もともと興味があった語学留学にチャレンジしました。実は…韓流ブームが到来したので行き先は韓国(笑)」
半年間の語学留学を経て、野原さんは日本に帰国。ハローワークの求人情報を何気なく眺めていたところ、「まちづくり」と「広報」というワードが目に飛び込んできました。
「ホテル時代にインスタの更新なども任されていて、広報には興味がありましたし、社名にまちづくりが付くのも心惹かれます。これは面白そうな仕事だとすぐに応募したんです」
その会社こそ、現在勤めるふらのまちづくり株式会社です。
施設やテナントのさまざまな人と
連携を取りながら情報を発信!
野原さんは広報担当としてSNSやホームページの更新、施設内の広告・掲示物の作成、ブログ更新に伴う写真撮影など幅広い業務を担うことになりました。
「先輩からはSNSやブログにはどういう内容を掲載するのか、写真のサイズはどれくらいか、そもそも一眼レフカメラをどのように使うのかイチから丁寧に教わりました」
前職のホテル時代、野原さんはデザインに使うイラストレーターやフォトショップといったツールにもふれたことがあったとか。けれど、広報担当として本格的に活用するようになったことで、便利な機能やショートカットを次々と知ることができ、奥深さと楽しさを感じるようになりました。
「テナントで新商品がリリースされたらブログにアップしたり、ポスターの依頼があればデザインの打ち合わせをしたり、施設内やグループ会社のさまざまな方と連携を取りながら多彩な手法で情報を発信するのはやりがいがありました」
当初はテナントの方の好みが分からずに苦戦したポスターづくりも、経験を重ねるにつれて「めっちゃイイね!と褒めてもらえるようになりました」と笑顔をこぼします。
職種の垣根を超えて
協力し合うチーム感も魅力!
野原さんは2024年4月に広報担当から同社が運営する施設内の「カフェ サボール」と「手作りパンのお店 カゼール」の販売・接客・ドリンク担当に異動しました。
「学生時代に飲食店のアルバイト経験があったので、さほど戸惑うことなく仕事を覚えることができました。しかも、広報担当の経験からパンの種類やカフェメニューは大まかに覚えていたのも、業務にスムーズに慣れていける要因だったと思います」
現在、カフェもパン屋さんも人手が潤沢とはいえず、パン製造スタッフが販売を手伝ったり、逆に野原さんがパンづくりに関わったり、職種の垣根を超えてお互いに助け合っているそうです。とりわけ観光のお客様が多い夏場は、毎日ヘトヘトになると苦笑します。
「ただ、広報担当の時も同様ですが、幅広い業務に挑戦できるのが楽しいですし、皆でカバーし合いながら仕事を進めるチーム感も頑張れる原動力。フラノマルシェには人が集まることを実感する機会も多く、自分の努力がさらに多くの方を呼ぶというモチベーションにもつながります」
私の小さな一言からでも
まちのアチコチににぎわいを。
広報担当時代はお客様と接することがほとんどなかった反面、現在はリアルな接客が仕事の大部分を占めています。フラノマルシェには外国人も訪れますが、毎週足を運んでくれる近所の方や毎日パンを買いにくるシニア世代、さらには知り合いのお母さん、幼稚園のころの先生など、想像していた以上に地元の方々に愛されていることを実感する日々。
「お店を訪れるお客様から『地域で人気のおいしい焼き肉屋さんを教えて』『電車が見えるオススメの撮影スポットは?』といった地元の人しか知らないことを尋ねられ、市内のあちこちへと回遊を促すこともあります。スキー場やドラマのロケ地だけではなく、私の言葉がまちのアチコチににぎわいを生み出す小さなきっかけになり得るのもこの仕事ならでは!」
故郷の富良野市に戻ってきてから約5年。野原さんは北海道の中でも屈指の豊かな自然と、相手を包み込むような人のやさしさを以前にも増して好きになっています。
「このすてきなまちに来てくれる人…いえ、暮らしてくれる人を増やせるといいですよね」
シゴトのフカボリ
まちづくり会社社員 カフェ担当の一日
9:30
出勤/開店準備(パンの陳列・袋詰めなど)
9:35
全テナントの朝礼
10:00
開店/レジ・ドリンクづくり・接客
14:00
休憩
15:00
レジ・ドリンクづくり・接客
16:00
徐々に閉店準備
18:00
閉店/翌日の準備
18:30
退勤

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

興味があったり、やってみたいと思ったりしていても、一歩を踏み出す勇気が出せないことは誰にでもあります。けれど、人生は一度きり。思い切って一度経験してみると、思いのほか上手くいくこともありますし、後悔も少ないはずです!

ふらのまちづくり株式会社

富良野市中心市街地の活性化のために、地元農産物の販売所や地域の食材を活用したスイーツカフェ、スーベニアショップを備えた「フラノマルシェ」を運営。その他、宿泊施設やスポーツジムの運営なども手がけ、地域のコミュニケーションやにぎわいを創出。

住所
北海道富良野市幸町13番1号
TEL
0167-23-5177
URL
https://machi-web.furano.jp/

お仕事データ

地域の未来をデザイン!
まちづくりコーディネーター
まちづくりコーディネーターとは
住民、行政、企業をつなぎ、
魅力ある地域づくりを推進。

まちづくりコーディネーターは、地域の課題を解決し、魅力あるまちづくりを推進する専門家です。住民、行政、企業など、まちづくりに関わる多様な主体の間に立ち、それぞれの意見や要望を調整しながら、地域の特性を活かした持続可能なまちづくりを進めます。具体的には、地域の現状分析や課題抽出、まちづくりの計画立案、住民ワークショップの企画・運営、各種イベントの開催、補助金の申請サポートなどを行います。また、空き家や遊休施設の利活用、商店街の活性化、広報やテナントでの作業など、地域の実情に応じた多様なプロジェクトにも携わります。

まちづくりコーディネーターに向いてる人って?
コミュニケーション力が高く、
地域への愛着と創造性を持つ人。

まちづくりコーディネーターには、多様な立場の人々の意見を聞き、調整するコミュニケーション能力が求められます。また、地域の歴史や文化、特性を理解し、愛着を持って仕事に取り組める人が向いているでしょう。複雑な課題を解決するための創造性や企画力、さらには長期的な視点で物事を考えられる力も必要。加えて常に新しい情報にアンテナを張っていられる好奇心旺盛な人も、この仕事に適しているでしょう。

まちづくりコーディネーターになるためには

まちづくりコーディネーターになるための特定の資格や学歴は必要ありません。ただし、都市計画、建築、社会学、経済学などの関連分野を大学や大学院で学ぶことは有利に働くでしょう。実務経験を積むために、行政機関やまちづくり関連のNPO、コンサルティング会社などに就職するのが一般的です。また、「まちづくりコーディネーター」や「地域活性化伝道師」などの民間資格を取得することで、専門性をアピールすることもできます。

ワンポイントアドバイス
地域の特徴を活かした
新しいアイデアが大切な時代に。

今、多くの地域で人口減少などの課題が山積しています。そのため、その土地ならではの魅力や地域性、食を活かした新しいアイデアによって人を呼び込むことが求められる時代。例えば、地元の特産品を使った新商品開発や、古い建物を観光スポットにするなど。また、環境に優しいまちづくりやIT技術の活用も注目されています。まちづくりコーディネーターは、こうした新しい考えを取り入れ、みんなが住みやすい街をつくっていきます。常に学び、新しいアイデアを出す姿勢が成功への近道です。