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松田 恭司郎さん
インタビュー公開日:2017.08.31

サッカーチームのトレーナーに憧れ
リハビリの仕事を志しました。
小学校時代から打ち込んだサッカーで頭角を現し、高校に進学する時にコンサドーレ札幌のU-18チームにスカウトされ入団した松田さん。理学療法士の資格を持ったチーム専属のトレーナーを見て、憧れを抱いたといいます。
「ストレッチやマッサージなど選手のサポートをしてくれるトレーナーの姿がかっこよくて、自分もそのようにスポーツに関わる仕事がしたいと思うようになりました」
相談した専門学校の先生の勧めもあり、作業療法士のコースに進学。作業療法士とは、食事や入浴、家事などの動作ができるよう、作業やレクリエーションを通して体と心のリハビリを行う専門家です。怪我や脳・神経の病気のほか、精神疾患の患者さんも含め、幅広い場で活躍しています。
患者さんがもとの生活に戻るため
人生の一部を共有する仕事。
就職先を考える時、「やはりスポーツをしている人の怪我からの回復に関わりたい」と、整形外科を選択。八木整形外科病院では、理学療法士が15人、作業療法士は松田さん1人で、互いの区別なく、患者さんの身体の機能を回復するリハビリを行っています。
怪我や手術後に、患者さんがもとの生活ができる状態に近づけるよう、その時の症状に合った運動や、機械を使った治療をしていきます。
「うちは院長が膝の人工関節の手術で有名なので、全道から患者さんが来ます。手術後、歩けない状態から退院してもとのように歩けるようになるには2カ月ほどかかり、その間患者さんの人生の一部を共有していると思っています。そのため、やりがいも責任も大きいです」
回復後の生活のことを考え
「これがしたい」気持ちを大切に。
大切なのは、「これから先の生活に、患者さんが何を求めているか」を知ることだと松田さん。
「一口にリハビリといっても、患者さんによっては料理がしたい、山登りがしたいなど、さまざまな希望があるので、必要な筋力を回復する訓練を行います。中には社交ダンスに復帰される方もいるので、怪我をしたり人工関節になったからといって諦めず取り組んでもらえるよう、患者さんの希望に合わせてサポートしていきます」
他にも、スポーツに復帰したい患者さんもたくさんいます。若い患者さんの場合は松田さんもつい熱が入り、筋トレの量を増やして「キツイ」と言われることもあるそう。
「今年から病院にスポーツ外来ができたので、スポーツ選手の患者さんをサポートできる機会が増えるのは楽しみですね」と意気込みます。
また、特に忙しくなるのが冬。北海道ではツルツル路面での転倒事故が多いほか、夏場は忙しい農家の方が冬に手術を決めることも多く、リハビリ室もにぎやかになります。
前向きに取り組んでもらうため
気持ちに寄り添う努力が大切。
仕事をしていてうれしいのは、患者さんから「ありがとう」と言われる時。
「手術後に歩けなかった患者さんが、痛みがなくなり笑顔で生活できるようになった姿を見て、その手助けができたことをうれしく思いますね。リハビリは手を抜いた分だけ悪くなるし、頑張ればその分良くなりますから、前向きな気持ちになってもらえるよう努力しています」
常に患者さんの気持ちに寄り添うことを大事にしている松田さん。リハビリに消極的な患者さんには、どんな対応を?
「絵が好きな患者さんなら『一緒に描いてみますか』と誘うなど、その人が楽しくできることから始めています。それには、その人のことを知るコミュニケーションの取り方が大事です。自分のことも話したりして、心をほぐす関わりは常にしていますね」
患者さんの力になるには
常に勉強が欠かせません。
働いている現在も勉強を続けており、院外の勉強会に休日返上で参加することも。
「就職してから驚いたのは、専門学校で学んだ知識量では全然足りないということです。関節や筋肉の仕組みなど基本的なことは学びましたが、手技の技術などは、現場で学んで覚えなければなりません。その技術も常に進化しています」
自分の時間を割いてでも勉強しようと思うのは、患者さんの力になりたいから。
「覚えることが多いのは大変ですが、それだけやりがいも大きいです。特に、人に尽くしたい、人と話すのが好きな人には向いている仕事だと思います」
最近は作業療法士や理学療法士の学校も増えており、目指す人も増えています。
「それだけ多くの患者さんから求められ、間口も広がっている仕事なので、ぜひ多くの人に挑戦してほしいですね」
シゴトのフカボリ
作業療法士の一日
8:00
出勤
8:35
朝礼
8:45
午前の治療開始
1人終わるごとにPCカルテに入力
12:15
昼休憩
13:15
午後の治療開始
人数はその日によるが、
1日6~8人、多い時は10人以上
17:15
退勤
(時々、カンファレンスや院内の
委員会に出席)
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

やはり、元気になった患者さんからの「ありがとう」が一番うれしいです。そのために、自分の技術を上げられるよう日々精進しています!!

八木整形外科病院

膝の人工関節の名医・八木知徳院長の診療を求め全道から患者さんが集まります。2017年にスポーツ外来を新設。増築して設備もさらに充実しました。

住所
北海道札幌市西区西野3条5丁目1-35
TEL
011-663-3100
URL
http://www.yagiseikei.com/

お仕事データ

心と体の回復をサポート
作業療法士
作業療法士とは
生活スキルを向上させる
心身のリハビリを提供。

作業療法士の別名は「Occupational Therapist(オキュペイショナルセラピスト)」を略して「OT」。主に医療と福祉の分野で活躍し、身体や精神の障がいによって日常生活が困難な人に生活スキルを向上させるためのリハビリを提供します。身体的なリハビリとしては食事や排泄、入浴といった動作の訓練など。また、精神に障がいを抱える方に対しては、手工芸やスポーツ、レクリエーションを通して、日常生活や社会生活への適応を促します。

作業療法士に向いてる人って?
困りごとに寄り添う気持ちが大切。

作業療法士が接する患者さんは身体や精神に障がいを抱える人。相手の困っていることに寄り添い、なんとか助けたいと思う気持ちが大切です。また、提供するリハビリや作業は患者さんによってさまざま。ニーズをしっかりと把握するためのコミュニケーション能力や、柔軟に対応する力も求められます。

作業療法士になるためには

作業療法士として働くためには、国家資格の「作業療法士資格」が必要。この受験資格を得るためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上学ばなくてはなりません。養成施設には、4年制大学、3年制の短大、3年制または4年制の専門学校があります。

ワンポイントアドバイス
理学療法士との違いって?

「理学療法士」は、座る、立つなど基本的な動作能力の回復を目指すのに対して、「作業療法士」は主にその後の社会適応に向けた心と身体のリハビリが多くなります。作業療法士はそううつ病や摂食障がいなどの患者さんも対象としており、リハビリテーションの現場で幅広く活躍しています。