陶芸家 工藤ちえ奈
南極で繁殖する「アデリーペンギン」の姿をモチーフにした器を制作。グループ展「ペンギンコロニー」主宰など精力的に活動する若手陶芸家です。
茶碗や皿、鉢、壺などの陶磁器を作るのが陶芸家。まずは、作品の大きさや柄、形をイメージするところがスタート地点。その後、粘土や長石(ちょうせき)、珪石(けいせき)などの材料を選び、ろくろ回しや手びねりで形を整えて窯焼きします。信楽焼や九谷焼、唐津焼、清水焼といった伝統的な陶磁器もあり、それぞれが独自の手法で技術を継承・発展。工房で作品と向き合うだけでなく、百貨店やインテリアショップ、雑貨店に商品を置いてもらうよう交渉したり、オンラインショップを開設したり、多くの人に陶磁器を届けるのも陶芸家の仕事です。
陶磁器はろくろ回しや手びねり、窯焼きの火加減で仕上がりが大きく異なります。そのため、作品と真剣勝負で向き合う集中力が必要。独創的なアイデアやデザインセンスも求められることから、「絵を描くことが好き」「美術品の鑑賞が趣味」など、普段からクリエイティブなものに触れている人も向いているでしょう。また、陶器市などで自ら作品を販売することもあるため、コミュニケーション能力が問われる場面もあります。
陶芸家になるために必要な学歴や資格はありません。ルートは大きく分けて二つ。まずは美術大学や陶芸を学べる専門学校に進み、基礎的な知識・技術を身につけてから陶磁器メーカーや陶芸工房に就職する道のり。もう一つは、学校卒業後に伝統的な窯元や陶芸作家のもとで修業をさせてもらうコースです。大手の窯元では毎年のように職人を募集しているところもあるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
かつての陶芸家といえば、石川県の九谷焼、滋賀県の信楽焼、岐阜県の美濃焼、山口県の萩焼、佐賀県の有田焼といった有名な産地を目指すケースが多かったよう。けれど、ここ最近はインターネットで全国から材料を手に入れることができるようになったので、焼き物の産地から遠く離れた場所でも工房を開くことができるようになりました。若い世代の中にはネットショップで作品を売る人も増えています。自分の暮らしたい土地で陶磁器と向き合いながら、自力で宣伝・販売できるのも陶芸家の魅力です。