国税庁 札幌国税局
国税庁の“支局”の一つ。全道30の税務署を束ね、指導・監督する。税務署では扱わない査察調査も行っている。
日本の財源を確保して、国を健全に動かしていくためには、個人や企業など納税者から適正な税金を徴収する必要があります。その税金を扱うのが国税専門官で、役割は「国税調査官」「国税徴収官」「国税査察官」の3つです。
「国税調査官」は個人や企業のもとに出向き、申告書類と帳簿を照らし合わせて適正かどうかをチェック。誤りが見つかった時には正しい申告の指導を行います。「国税徴収官」は期限までに納付されずにいる税金の催促や財産の差し押さえなどの滞納処分を行います。「国税査察官」は悪質な脱税に関する調査を行い、事実と判明した際には刑事罰を求めて告発。このように不正を見逃さず、公正で公平な納税のために働くのが国税専門官です。
国税専門官は税金が正しく納められているのか調査し、時には厳しく徴収するため、公正な判断力と強い責任感が求められます。確定申告のチェックや帳簿との照合など事務的な業務もあることから、数字やデータを細かく見られる几帳面な人にも向いている仕事でしょう。また、法律の知識や相手と交渉するコミュニケーション能力に加え、資料の入手などに素早く動けるフットワークの軽さも大切です。
国税専門官になるには、人事院が実施する「国税専門官採用試験」に合格しなければなりません。年齢制限(21歳以上30歳未満)がある一方、受験資格に学歴は問われませんが、大卒程度の学力が想定されています。試験では憲法や民法、経済学、会計学などの高度な専門知識が問われるため、大学の法学系や経済学系へ進学したほうが有利でしょう。試験合格後は税務大学校などで専門官基礎研修を受け、各地の税務署に配属。一定期間の実務経験を積み、さらに専科研修などを経て国税専門官に任命されます。
※「国税専門官採用試験」については、詳しくは「国税庁」のホームページをご覧ください。https://www.nta.go.jp
納税があって初めて国の財政が成り立つことから、税に関する専門家である国税専門官の仕事がなくなることはないといえるでしょう。
ここ最近は経済の発展に伴って商取引が複雑化し、脱税などの手口も巧妙化しています。また、多国籍企業の増加がさらに進むにつれ、税務の国際化も発展していく予想です。こうした課題に取り組める国税専門官のニーズはますます高まっていくでしょう。