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石塚 亜美さん
インタビュー公開日:2019.08.26

和菓子に興味はなかった。
専門学校での忘れられない体験。
札幌市西区の住宅街にある和菓子店「三恵堂」。ショーケースには、月替わりの上生菓子や季節の水もの菓子、どら焼きなどの美しい和菓子が並んでいます。創業から四十余年、地元の人たちに愛されてきました。厨房で「和菓子のデコレーションケーキ」の仕上げに励んでいるのは、石塚亜美さん。入社16年目の和菓子職人です。
「もともとは和菓子に全く興味はありませんでした。むしろ、好きではなかった。その認識が覆ったのは専門学校時代。実習で和菓子をつくって食べたとき、和菓子ってこんなにおいしいものだったのかと衝撃を受けたのです。それから、いろいろな和菓子店に足を運ぶようになって、和菓子に夢中になりました」
和菓子の面白さは原材料にあり。
味をつくりだすのが楽しい。
石塚さんを惹きつけた和菓子の魅力とは何でしょうか。食べるのではなく、つくるという観点で、和菓子と洋菓子の一番の違いを聞いてみると、原材料の使い方だといいます。「洋菓子は、いろいろな原材料の組み合わせです。一方、和菓子は基本的にシンプルな材料で、味をつくっていきます。主に使うのは米粉。うるち米・もち米ともに製法によって質の異なる粉ができます。それを使いわけて、お菓子をつくるのがおもしろいですね。私の性に合ったのだと思います」
専門学校時代の校外実習では、和菓子と洋菓子どちらとも、個人経営の店舗と工場や支店を持つ大手企業に行ったそうです。毎日たくさんの商品を製造し続ける企業と個人の店とでは、作業工程や担当する役割も大きく異なります。お菓子づくりの現場で体験した作業の進め方や雰囲気を考えたとき、石塚さんは和菓子の道に進もうと決意したのだそうです。
和菓子職人の朝は早い。
つくっているときが一番楽しい。
学生のころ、石塚さんのインターンシップ先だったのもここ三恵堂でした。店主であり、86歳にして現役の和菓子職人でもある三上壽恵雄さんが、専門学校の講師をしていた縁です。恩師のもとで現場に立ちながら、職人としての腕を磨いてきました。
朝7時、店舗の奥にある厨房で石塚さんの一日が始まります。仕事は、お菓子づくりと仕込み。「毎日の決まった作業はありません。注文や在庫の状況を確認して、その日にやることを決めます。例えば、練り切り――手亡豆など白いんげん豆を材料とした白あんに、つなぎとして求肥を加えたものは、オーダーメイドの和菓子のデコレーションケーキにも店頭に並ぶ上生菓子にも使うので、いつも用意してあって、少なくなってくると仕込みます。上生菓子の飾りに使う羊羹は、1回の仕込みで数百個分を用意できるので、しばらく仕込まなくてもいい。どら焼きの生地は少し寝かせる必要がある。そんなふうに材料によって仕込みにかかる時間や使用する量が違うし、お菓子ごとに売れる量も違うので、同じことをする日はないのです。つくることが好きなので、どんな仕事も楽しくて、毎日が充実していますよ」
専門学校の技術は生きている。
デザインの発想は雑誌や図鑑から。
専門学校では、あんこを包む包餡(ほうあん)などの基礎的な技術を学びました。
もちろん、学校で教わったことは基本中の基本。実際の現場では、様々なケースで培った経験や知識が必要となります。でも、「基礎」があったからこそ、それほど時間をかけずに新しい技術を習得できたとも考えています。「和菓子づくりは、経験の積み重ねで上達するもの。ある技術をベースに、次の技術を身につけていく感じです」
石塚さんは、入社して2年目から上生菓子のデザインを担当しています。「月替わりで10種類の上生菓子を用意するので、これがなかなか大変です。前月や前年と重複しないように、全体のバランスを考えながら、ノートにアイデアを書き散らしています。和菓子の専門誌や植物図鑑などから発想を得ることも多いですね」
土地に合った和菓子をつくりたい。
未来の和菓子職人を育てたい。
あくまでも私の考えですが…と前置きして、石塚さんが語ってくれたことがあります。「フランスに行ったとき、日本の老舗和菓子店に立ち寄りました。羊羹を食べたら、リキュールの風味でびっくり。でも、とてもおいしくて、現地の人の舌に合わせているのだなあと感心しました。邪道といえば邪道でしょう。でも、お客さまが食べて喜んでくれるなら、そういうアレンジに私は賛成です。伝統的な和菓子に止まらず、お客さまのニーズに合ったものをつくり続けたいですね。」
3年ほど前から専門学校の講師をしているという石塚さん。「自分が何もできなかったころを忘れてしまって、どうしたらわかりやすいだろうと試行錯誤しながら教えています。個々の才能や適性を開花させられるようにがんばります」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

和菓子職人というよりも社会人としての心得ですが、あいさつは大切です。仕事ができてもあいさつができないと、現場では通用しません。技術や知識はいくらでも身につくので、まずはあいさつを心がけてくださいね。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
和菓子づくりの道具
和菓子には和菓子専用の道具があります。菊の花びらをつくる「菊鋏(きくばさみ)」、花をかたどるときに活躍する「三角べら」、葉っぱや波の模様をつける「木型」など、さまざまな道具を駆使して、美しい和菓子を生み出しています。

三恵堂

1977年創業の和菓子店。どら焼きや月替わりの10種類の上生菓子がとりわけ人気。和菓子のデコレーションケーキも注文が絶えない。

住所
北海道札幌市西区二十四軒3条2丁目5-9
TEL
011-611-3093

お仕事データ

和の伝統と新しい味を追求!
和菓子職人
和菓子職人とは
おいしさにも見た目にも、
日本の伝統を細やかに表現。

日本の伝統的なお菓子である和菓子を手がけるのが和菓子職人。和菓子は「生菓子」「半生菓子」「干菓子」の3つに大きく分かれ、いずれも餡の原料となる小豆やインゲン豆といった素材選びに始まり、練り・蒸し・焼きなどの技法をベースに多種多彩なおいしさを生み出しています。また、和菓子は季節感をはじめ、日本の伝統を随所に表現した見た目の美しさも重要。きれいな色や形にまとめていくセンスを含め、アーティスティックな面を持つ職業といえます。最近ではつくり手の個性が強く反映された創作和菓子の人気も高まっていることから、新しい味の創作も求められるでしょう。

和菓子職人に向いてる人って?
和菓子が好きという思いを持ち、
厳しい修行を粘り強く続けられる人。

和菓子職人は「和菓子が好き」という思いを抱き、自分の手がけたものを人に食べてもらえることに喜びを感じられる人が向いているでしょう。和菓子は季節の移ろいを表現することも多く、感覚を研ぎ澄まして作品をつくるようなセンスも必要です。一人前になるためには厳しい修行をくぐり抜けなければならないため、粘り強く努力を続けられる根気も求められます。

和菓子職人になるためには

和菓子職人になるために特別に必要とされる資格や免許はありません。製菓系の専門学校などで和菓子に関する知識を幅広く学び、和菓子店に就職するのが一般的なルートのようです。また、高校や大学・短大を卒業した後に和菓子店の門を叩き、修行を積むという人もいます。「製菓衛生師」や「菓子製造技能士」といった資格は一定の能力の証となり、和菓子店で働く際に有利になることもあるでしょう。

ワンポイントアドバイス
和菓子店や食品メーカーはもちろん、
海外で活躍するチャンスも大いに有り!

和菓子職人の働く場所は、和菓子店が大半を占めます。一方、食品メーカーでもスーパーやコンビニで販売される和菓子を手がけているため、工場や商品開発のフィールドなどで活躍するケースも少なくありません。ここ最近は、和菓子職人の繊細な技と感性が海外で高く評価されています。外国の日本食レストランに勤務したり、自ら和菓子カフェをオープンしたり、これからの和菓子職人は海外で活躍する可能性も大いにあるはずです。