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石田 祥士さん
インタビュー公開日:2020.01.10

疾病や異常がある牛などの食肉を
流通させないための検査を行う。
熱はないか。皮膚などに変化が見られないか。様子がおかしくないか。獣医師として、石田祥士さんは、牛などを診察します。ただし、その目的は、治療したり薬を処方するというのではなく、〝食べる〟ため。疾病や異常のある牛、豚、羊、鶏などの食肉を流通させないよう、検査を行うことが石田さんの仕事です。
と畜する前に行う生体検査にはじまり、解体した後の内臓、頭部、枝肉などを切り取って目視で検査するほか、判断がつかない場合は検体の試験検査なども行います。
「その結果、疾病などが見つかった部位は廃棄処分となります。全身に異常が広がっていた場合などは、一頭まるごと流通ができなくなることもあるんです」
心臓に菌が見つかった場合も、全身に菌が回っている危険性があるため、すべて廃棄処分となってしまうのだとか。なんとも壮絶な現場に見えますが、それは、まさしく食の安全を守る最前線。そう話す石田さんは、北海道職員です。
全国の検査頭数の約1割を担う現場で
1日平均400頭の牛を手際よく検査。
帯広食肉衛生検査所が石田さんの職場。北海道十勝総合振興局に属する組織で、帯広市と池田町にあると畜場、中札内村と音更町にある食鳥処理場を所管しています。
「私が担当しているのは主に牛ですが、豚、羊も扱います。動物の種類によって、疾病を見分けるポイントなども違うため、ローテーションで複数の工場を回っています」
隣接する北海道畜産公社の十勝工場(十勝総合食肉流通センター)には三つの工場があり、牛の処理能力は1日450頭。これをメインに、帯広食肉衛生検査所では、北海道内で検査される牛の頭数の約5割、同じく全国でおよそ1割というシェアを持っています。
「1日平均で400頭の検査を行っています。1頭当たりの所要時間は3分ほど。数名の獣医師が入って手際良く進めています」
ちなみに、食肉衛生検査所は道内各地にあり、同じように北海道職員である獣医師が担当すると畜場・食鳥処理場で毎日、検査を行っています。また、獣医師としては検査のほか、保健所において飲食店の許認可や食中毒の予防など、幅広い業務を担当する仕事もあるそうです。
獣医師としてのスキルを磨きながら
釣り、スキーと北海道生活を満喫。
「動物が好きで、関連する仕事に就きたいと考えたこと。どうせやるなら、高い専門性を持ちたいと思ったことが、獣医師を目指したきっかけです」
出身は東京都ですが、北海道にある農業系の大学に進学し6年間、獣医師の勉強に取り組んだ石田さん。そこで覚えた楽しみが、北海道職員として働くことにつながったのだと石田さんは話します。それは、釣りとスキー。北海道は、どこに行っても最適な環境があり、離れるなんてあり得ない。そう思ったのだとか。
「獣医師としてスキルを高めながら、北海道での生活もしっかり楽しみたい。そう考えて、休日や福利厚生が整っている公務員に目を向けました」
食肉加工がピークを迎える年末には、土曜日も勤務となることがありますが、それは、検査を通らなければ出荷・流通ができないという、食の安全のための仕組みがあるため。重要な役割を担っているという誇りを胸に、北海道生活も満喫している石田さんです。
工場の衛生管理、スタッフの指導も担当。
現場の改善が目に見える時が嬉しい瞬間。
と畜の前後に検査を行って、食肉の安全を確保することと同時に、食肉処理工場の衛生管理に関する指導も石田さんの仕事。施設そのものが衛生的に保たれているかといったチェックのほか、処理に使う設備などの衛生監視、さらに工場で働くスタッフへの指導も担っています。
「手洗いの励行、切除に使う包丁の消毒にはじまり、数多くのポイントがあります。ただ、現場はスピードや効率が求められることもあり、すぐには改善が難しい場合も。とはいえ、衛生面から譲ることはできないので、粘り強く伝えていきます」
自分たちの仕事は、最終的には消費者のためにある。その大切さへの理解が広がり、徐々にスタッフの対応が改善されていくなど、成果が見えてくる時がうれしいと石田さん。現場のスタッフ向けに関連する講習会を開くこともあります。このほか、営農に役立ててもらうため、食肉検査のデータを生産者にフィードバックするといった情報の還元も行うなど、多様な役割を担っています。
北海道初の対米輸出施設の計画に参加。
道の獣医師ならではの役割を果たす。
内臓や枝肉を検査する際には、包丁で開きますが、検査だからといって、ただ切れば良いというわけではないのだそうです。
「きれいに切る。他の部位を傷つけないようにするというのが鉄則であり、難しいところ。なぜなら、私たちが扱っているのは生産者の方々にとっての財産、大切な商品だからです」
粗雑に扱ってしまうと、せっかくのブランド和牛も価値が下がってしまう。その意味でも、大きな責任を背負っているのだと、表情が心なしか引き締まる石田さん。
仕事場の一つである、北海道畜産公社十勝工場の第3工場が2019年5月、〝食肉の対米輸出が可能な施設〟に全国で14施設目、北海道では初めて認定されました。設備も作業フローも厳しい基準への適合が求められる施設の計画に、石田さんも獣医師として参加し、アドバイスを行っています。
「4年ほどかけて完成し、この夏に牛肉が初出荷された時は、うれしかったですね。こんな瞬間に立ち会えるのも、北海道職員としての獣医師ならではだと思います」
食肉の安全を支える縁の下の力もち。そのことへの誇りが感じられました。 
シゴトのフカボリ
獣医師の一日
8:30
生体検査および解体後の内臓・枝肉等の検査。試験検査
12:00
昼食・休憩
13:00
生体検査および解体後の内臓・枝肉等の検査。作業の衛生チェック
15:00
輸出に必要となる証明書の発行など事務作業
17:15
終業
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
包丁
内臓や枝肉の疾病や異常の有無を調べるための包丁は自前。切れ味や刃の付け方など、好みに合わせて調整し、正確で手際のよい作業を行います。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

一般の方の目に触れることはありませんが、安全な食肉の流通を担う仕事に、大きなやりがいを感じています。こんな仕事をしている獣医師がいることを、ぜひ知って欲しいですね。

インターンシップ 職業講話

帯広食肉衛生検査所
(北海道十勝総合振興局 )

安全で衛生的な食肉を提供するための検査、監視指導などを担っています。帯広食肉衛生検査所では輸出食肉への対応にも力を入れています。

住所
北海道帯広市西25条北2丁目
TEL
0155-37-5168
URL
http://www.tokachi.pref.hokkaido.lg.jp/ds/ose/index.htm

お仕事データ

動物たちの健康を守る
獣医師
獣医師とは
大小さまざまな動物の
病気やケガを治療。

病気やケガをした動物を診察して治療するのが獣医師の主な仕事。犬や猫などの小動物はもちろん、牛や馬、豚、鶏など家畜の診察や病気の予防、動物園で暮らす動物の診療などさまざまなシーンで活躍しています。そのほか、畜産農家への衛生管理指導や伝染病の予防、食肉など食品の衛生管理・検査、医薬品の研究・開発なども重要な仕事。一般的にイメージされる「動物病院のお医者さん」だけではない役割も担っています。

獣医師に向いてる人って?
動物が好きで、
飼い主の気持ちも汲み取れる人。

動物が好きであることが第一条件に求められますが、生理や行動を深く理解し、観察力や判断力に優れていることも大切。飼い主の気持ちを汲み取れる温かい人柄も必要です。大型の動物の体を抱えたり、家畜の場合は夜中の出産に立ち会うことがあったり、体力を使うシーンも数多くあります。就職後もさまざまな病気や治療法、薬に関する幅広い知識を身につけなければならないため、勉強熱心な性格の人も向いているでしょう。

獣医師になるためには

獣医師になるには獣医師国家試験に合格しなければなりません。受験資格の条件は6年制の獣医系の大学に進学すること。大学では動物の解剖学や生理学、免疫学、病理学などを学びます。6年次に獣医師国家試験を受験し、合格すると獣医師の資格が得られます。その後は、動物病院などに就職。国家公務員・地方公務員の場合は、有資格者を対象とした採用試験を受けます。

※獣医師の国家試験については、詳しくは農林水産省のホームページをご確認ください。http://www.maff.go.jp/

ワンポイントアドバイス
私たちの暮らしを守っている、
産業動物獣医師や公務員獣医師。

動物病院で小動物を診察する獣医師は志望者が増えている一方、牛や豚、鶏など畜産の現場で働く産業動物獣医師、公衆衛生などに携わる公務員獣医師は不足傾向にあります。産業動物獣医師がいなければ安心・安全に肉類を食べられず、公務員獣医師が足りないことで動物による重大な感染症が広がるかもしれません。「人の暮らしを守る」という大きな視点から、産業動物獣医師や公務員獣医師を目指すのもオススメです。