表 柊詩人さん
インタビュー公開日:2020.11.20

遊びや交流を通して
子どもたちの成長を見守る
『シュート先生~、こんにちは!』
子どもたちの元気な声が溢れる、中の島児童会館。ここで働く表柊詩人(おもて しゅうと)さんは、入職2年目の指導員。
「ここには約180名の児童が登録をしていて、毎日40名ほどの子どもが遊びに来ます。鬼ごっこや読書、工作など、一緒に遊びながら時間を過ごすのが児童会館の主な仕事です」と表さん。
曜日や時間帯によって、0歳~18歳の子どもが訪れるそう。
「午前中は乳幼児を連れたママたちが集う“子育てサロン”、午後は小学生、18時以降は中高生も遊びに来るので、日中は業務に追われていることが多いですね」
毎月の行事の企画や準備、お便りの作成、事務処理など職員としても大忙しですが、表さんの姿はやる気いっぱい。
「仕事が楽しくて毎日が充実しています。自分のやりたい仕事に就けたので、大変なこともやり甲斐を持って取り組めています」
就職活動で出会った
指導員という仕事
中学時代から学校の先生に憧れがあった表さんは、大学で教職課程を専攻。しかし、教員免許取得の難しさと狭き門の教員就職に挫折。卒業と将来を模索する中で出会ったのが、指導員の仕事。
「就職活動中にインターネットでいろいろな仕事を調べて、そこで指導員という職種を知りました。働く人の7割が女性と紹介されていたのですが“男性が3割いるなら大丈夫でしょっ”と思って単日のインターンシップに参加してみたら、実際に男性は僕ひとり(笑)。正直焦りました」
表さんは、児童会館での3日間のインターンシップにも参加。そこでは、苦悩も。
「男性ということもあって、小さなお子さんを持つママたちに警戒されてしまって。幼児の扱いも分からず、自分には無理かなと心が折れそうになりました」と悩むことに。そんな時、意識を変えてくれたのは当時の人事担当者だったと言います。
「利用者には声をかけて、少しずつ打ち解けていくしかないんだよと教えてくれて。『指導員の仕事は可能性が無限大。出来ないことはない』その言葉が心に響きましたね」
この言葉は今も、働くうえで原動力のひとつになっているそうです。
また後で…は通用しない!
子どもたちには正直に
「子どもたちは敏感なので、質問や疑問に“また今度ね”とその場しのぎの対応ではダメなんです」
念願叶って指導員となった表さんが、子どもたちから学んだことのひとつです。
着任後は、前任の指導員と入れ替わる形でYOSAKOIソーランのクラブを担当。
「最初は『前の先生がよかった』『なんで替わったの?』って言われました。でも、こちらの都合は子どもたちには関係ありません」と表さん。
ダンス経験がなかったのですが、信頼を築くため、試行錯誤を重ねます。
「僕自身も陰で練習しつつ、教えるのは高学年の子に協力してもらって。自分が今できることを頑張ろうと、練習環境を整えたり、披露できる機会を以前より多く作るなどしました。一年目の終わりには『先生でよかった』って言ってもらえて、本当に嬉しかったです。誠意をもって正直に向き合うことが、子どもたちと関係を築くうえで一番大切なことだと気づかされました」
自分の得意分野を生かして
サッカー改革
中の島児童会館の人気の遊びのひとつに、サッカーがあります。これは、表さんの取り組みによるものだとか。
「これまでもやっていたようですが、ボールもゴールも古くて、あまり人気がなかったみたいです(笑)」
後押ししてくれる先輩指導員やスタッフに恵まれて、人気のコンテンツに生まれ変わらせることができたそう。
「“なんでもやってみなさい”そんな風に先輩方が温かく見守ってくれる職場なんです」
学生時代からサッカーをやってきたこともあって、表さんの思い入れは人一倍。
「道具を新しくして安全面も見直して始めたら、最初はサッカーに乗り気じゃなかった子どもたちも徐々に参加してくれるようになりました」
今ではサッカータイム開始のアナウンスをかけると、子どもたちから喜びの声が館内中に響くまでになりました。
一歩先が見通せる
デキる指導員を目指して
入社2年目を迎えると後輩指導員も加わり、今度はサポートする立場に。
「働き方は変わりませんが、自分がそうされたように陰でサポートできる存在になりたいなと思っています」
ひと通りのことが出来るようになったとは言え、“初心忘れるべからず”が今、心に留めていることなのだとか。
「周りからも言われるのですが、慢心してはいけないなと。学ぶ姿勢をやめず、これからもっとさまざまな経験をしたいと考えています。そして、子どもたちの先が読めるというか、先輩に聞かずとも自分で考えて行動に移せる人材になるのが目標です」
最後に「指導員」の仕事の魅力を伺ったら、こんな答えが。
「指導員は、子どもの成長を助けられる仕事だと思っています。その子が成長して大人になった時、児童会館で教えてもらったことをふと思い出したり、記憶に残っていてくれたら、それほど嬉しいことはありません」
シゴトのフカボリ
指導員の一日
8:45
出勤
9:00
子育てサロン(週3回)
12:00
昼休憩
13:00
事務処理、午後の準備
14:30
子どもたちのお出迎え
15:00
子どもたちとレクリエーション
児童会館運営業務
17:15
退勤
※上記は早番の場合
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
ホイッスル
体育室でのスポーツや屋外活動の時に活躍。職場で支給されたホイッスルがあるのですが、僕自身がサッカーをやってきたこともあって、響きにこだわって、自前で用意したものを使用しています!
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

僕自身が感銘を受けた言葉です。どんなことも可能性は無限大! 枠に捉われず、自分でいろいろなことに挑戦していく心意気が大切です。これは今後、子どもたちにも伝えていきたいと思っています。

公益財団法人 さっぽろ青少年女性活動協会(SYAA)

札幌市内の児童会館や札幌エルプラザ、青少年山の家等各施設を管理運営。人と人とのつながりを通じて青少年の健全育成と青少年女性の社会参加を促進し、魅力あふれる地域社会創造のための主体的な活動を支援することにより、地域社会の発展及び向上を図り、もっと豊かな生活の実現に寄与していくことを目的に、各種事業を展開しています。

住所
北海道札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10
TEL
011-671-4121
URL
http://www.syaa.jp

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お仕事データ

子どもに遊びや生活の場を提供。
児童館支援員
児童館支援員とは
子どもの成長をサポートしながら、
保護者の子育てと仕事の両立も支援。

主に共働き家庭の小中高生を対象に、放課後や土曜日、春・夏・冬休みなどに、児童館(学童保育施設/学校の余裕教室や公民館などにも設置)で遊びや生活の場を提供するのが児童館支援員。子どもたちが基本的な生活習慣や発達段階に応じた遊びを身につけ、自分の気持ちを表現できるよう適切にサポートします。おやつの提供や安全・安心な環境の整備、緊急時の対応などの他、日々の様子を保護者に伝え、家庭と連携するのも重要な仕事。子どもの成長を支援しながら、保護者の子育てと仕事の両立を支える大切な存在です。

児童館支援員に向いてる人って?
子どもと同じ視点に立つだけでなく、
成長を支援する教育意欲も必要。

子どもが好きなことに加え、同じ視点に立って「なぜ泣いているのか」「どうして喜んでいるのか」を考えられる人は児童館支援員に向いているでしょう。この仕事はただ見守るだけではなく、児童館で過ごす時間を使って成長を支援する必要もあるため、教育意欲があることも求められます。また、子どもたちはもちろん、保護者や学校の教員と連携を取ることも多いため、コミュニケーション能力があることも素養の一つです。

児童館支援員になるためには

児童館支援員になるために必要とされる資格や学歴はありません。高校や専門学校、短大、大学を卒業後、児童館を運営する団体や企業に就職するのが一般的です。ただし、任用資格(採用後に初めて有資格者としての効力が発生する資格)として都道府県の認定する「放課後児童支援員」もあり、主に子ども40人につき2名以上の認定者を配置することが定められています。この任用資格の要件は、保育士・社会福祉士・教員免許などの有資格者、大学で社会福祉学など一定の課程を履修した人、5年以上(高卒以上相当の学歴者は2年以上)の関連実務経験者などがあり、就職後に取得を目指すことも可能。都道府県が実施する「放課後児童支援員認定資格研修」を受講・修了することで資格を取得できます。

ワンポイントアドバイス
結婚・出産後も仕事を続ける女性が増え、
児童館支援員はますます重要に!

近年は女性の社会進出や共働き家庭の核家族化が進んでいます。一方、子どもが保育園から小学校に上がる際、保護者が仕事を辞めたり、勤務時間を短くしたりするなど、就労体系を変えざるを得なくなる「小1の壁」といった社会問題が話題です。こうした状況から、政府は児童館を中心とする学童保育で受け入れられる子どもの人数を増やすことを目標の一つとして掲げています。また、「民間の学童保育」も少しずつ増えているようです。今後、安心して子どもを預けられる児童館支援員の仕事はますます重要になり、活躍の場も多彩になっていくでしょう。