風間 俊亮さん
インタビュー公開日:2021.03.05

障がいのある方と接した経験が、
福祉に興味を抱いたきっかけ。
札幌市西区西野・平和エリアに古くから根付き、障がいのある方一人ひとりに寄り添った支援を続けている社会福祉法人札幌この実会。風間俊亮さんは、グループホーム「コミュニティライフこの実」で働く生活支援員です。
「小さなころに障がいのある方と接した経験があり、福祉の世界にぼんやりとした興味を抱いていました。大学時代には社会福祉士の受験資格が得られるカリキュラムを選び、介護施設の実習にも出向くことで、より関心が深まっていったと思います」
就職先は福祉系の企業と決めていた一方で、就活は難航したのだとか。それでも自らにムチを打ち、合同企業説明会で数多くのブースに足を運んでいたところ、札幌この実会と出会いました。
「グループホームの施設見学をさせてもらい、利用者の方(障がいのある方)との距離が近い雰囲気に好感を持ちました」
風間さんは面接や作文を見事に突破し、生活支援員としての一歩を踏み出しました。
利用者の方が仕事を教えてくれる
先生になることも(笑)
入社後、風間さんは多機能型事業所「この実支援センター」に配属されました。ここでは地域の公園清掃や割り箸の袋封入といった軽作業を支援したり、運動やレクリエーションなどを提供したり、利用者の方の特性や意向を尊重しながらさまざまな活動に取り組んでいます。
「新人時代は先輩に同行し、利用者の方の生活や作業の支援方法を学ぶ日々。分からないことを尋ねると、仕事の手を止めてでも教えてくれました」
同法人は「外作業」が多いのも特徴。原木しいたけを生産し、地域の方々に販売するというユニークな活動も行っているというから驚きです。風間さんは「しいたけの原木に穴を開けるため、人生で初めて電動ドリルを使いました」と笑います。
「仕事を教えてくれるのは先輩だけではありません。時には利用者の方が僕の手を引き、作業のコツを丁寧に説明してくれました。障がいのある方と一口に言っても、こんなふうに優しい人が大半なんです」
必要に応じてサポート
するような感覚です。
風間さんは、入社からおよそ8カ月後に障がいのある方々が少人数で暮らすグループホーム「コミュニティライフこの実」に異動。利用者の方の「生活そのもの」を支える役割へとシフトしました。
「とはいえ、介護施設のように食事や入浴、排泄の介助に付きっきりというワケではありません。食事にとろみをつけて飲み込みやすくするといった配慮が必要な利用者の方もいますが、自力で生活できる方も多いんです」
グループホームでは利用者の方が落ち着いた暮らしを過ごせるよう必要なことをサポートする感覚なのだとか。月に6〜7回は夜勤もありますが、夜中のトイレ介助の際に支えて歩くのがメインの業務だといいます。
「利用者の方が寝てからは頻繁に呼び出されたり、体位交換が必要だったりすることは少ないので、夜勤といってもイメージほどハードではないんです」
時には「お願いごと」を
断ることも大切なんです。
「コミュニティライフこの実」で暮らす利用者の方は、午前中から夕方にかけて下請けの軽作業へと出かける方が大半。風間さんはグループホーム内の清掃や洗濯といった家事をしながら、数人と留守番をすることが多いそうです。
「一人で過ごすことが好きな利用者の方もいますし、僕によくお願いごとをする活発な人も。『献立表を確認してほしい』『家族への手紙を書いてほしい』という声に応えながら、支援につなげていくのも大切な仕事です」
一方で、風間さんが優しい人柄だからでしょうか、お願いごとの量があまりに増えすぎる日もあるのだとか。それらすべてに応えるかどうかも判断に悩むと苦笑します。
「例えば、洗濯したばかりなのに新しい靴下を出してほしいと言われることもあります。けれど、本人の自立した生活につながらない時はキッパリと断り、『まだ履ける』ことを伝えるのも僕らの役割なんです」
利用者の方の話にじっくりと
耳を傾けることも意識しています。
風間さんが意識しているのは、利用者の方のお話にじっくりと耳を傾けること。言葉の表現が上手ではなくても、ジェスチャーを交えなければならなくても、聞く力が必要だと表情を引き締めます。
「僕は聞き役に徹することが多いからでしょうか、他の人には語っていない『ナイショ話』を披露してくれることも少なくありません。人間関係で頭を抱えていたり、借りたモノを返せずにいるという相談だったり、こうした話題から利用者の方の悩みを解決するための糸口をつかめることもあるんです」
生活支援の仕事は楽しいばかりではなく、意思の疎通やコミュニケーションに苦労することもあります。風間さんは「毎日、何かが巻き起こりますね」と口にしますが、その表情は満面の笑みです。
「利用者の方同士でふざけ合ったり、笑い合ったりしている姿を見ると、僕も自然と笑顔になっちゃうんですよね。日々、温かな気持ちになれることが、一番のモチベーションです」
シゴトのフカボリ
生活支援員の一日
8:30
出勤
8:45
掃除機がけ
10:00
トイレ掃除/洗濯
12:00
昼食の介助
13:00
自由時間(見守り)
15:00
利用者の方帰宅
16:00
入浴支援
17:00
夕食の支援/歯磨き
17:30
退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

僕が支援に関わっていなくても、利用者の方同士で笑い合って話している姿を見ていると、自分も楽しい気持ちになっていきます。こんなふうに、誰かの笑顔は仕事のモチベーションなることも多いはず。笑顔をチカラに働くようにしましょう!

社会福祉法人札幌この実会

手稲この実寮を前身に昭和54年に法人設立。「誰もが地域社会の中で自立した人間として暮らすこと 一人ひとりが大切にされ、その長い生涯が支えられること」を理念に、札幌市西区に根付き、一人ひとりに寄り添った生活支援を提供。

住所
北海道札幌市西区平和314番地9
TEL
011-663-2370
URL
https://konomikai.jimdo.com/

お仕事データ

日常生活や生産活動をサポート。
生活支援員
生活支援員とは
障がい者や高齢者が社会で
快適に暮らせるよう支える存在。

障がい者や高齢者の暮らしに密着し、日常生活のサポートや身体機能・生活能力の向上につながる支援を行う他、障がい者支援施設などでは生産活動にも関わります。
具体的には、衣服の着脱や入浴などの生活習慣を身に付けてもらったり、農業や軽作業、陶芸、木工といった作業を指導したり、施設における人間関係や不満、将来の不安の相談にのることもあります。働く場所は障がい者支援施設や高齢者の介護施設の他、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所など多種多彩。いずれも一人ひとりの利用者様に寄り添い、快適な暮らしができるように支えることが大切です。

生活支援員に向いてる人って?
いつも笑顔で明るく、
相手に一生懸命向き合える誠実な人。

障がい者の中にはさまざまな生き辛さを抱え、不安や悩みを抱えている人もいます。そのため、いつも笑顔で周囲に明るい雰囲気を広げられる人は向いているでしょう。利用者様には繊細な心の持ち主も少なくないため、相手の立場を考えながら一緒に悩んで解決方法を探すような誠実さも大切です。また、スタッフ間での情報共有なども重要なことから、コミュニケーション能力も求められます。

生活支援員になるためには

生活支援員になるために必要な資格はありません。事業所によっては未経験から働ける職場も多いようです。ただし、福祉系の大学や短大、専門学校などで障がいや高齢者福祉について学び、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士、社会福祉主事任用資格といった資格を取得しておくと就職に有利でしょう。また、利用者様の送迎を行う施設もあるため、普通自動車免許も取得するのもおすすめです。

ワンポイントアドバイス
就労継続支援事業所の
「A型」と「B型」の違いって?

障がい者が利用する施設の中で、「就労継続支援A型事業所」「就労継続支援B型事業所」の二つを聞いたことがありますか?いずれも利用者様に生産活動の機会を提供したり、就労に必要な知識や能力を身に付けてもらったり、「働くこと」の支援を行っています。A型は利用者様と雇用契約を結んだ上で最低賃金以上を保障し、時には一般就労への移行もサポート。B型は雇用契約を結んで働くことが難しい方に生産活動ごとの工賃を提供しています。これがA型とB型の大きな違いです。

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