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宮本 翼さん
インタビュー公開日:2021.03.02

「おいしい」と喜ばれ人の役に立つ
飲食店の仕事に出会い、夢中に。
江別にある、飲食店やショップが入った複合施設「EBRI」内に、江別のレンガで作った窯でピッツァを焼くピッツェリア「EBEZZA」があります。ここのピッツァ職人であり、統括責任者である宮本翼さん。お店の地元の江別出身で、札幌のお店で修行を積み、2019年のオープンの時に現在の役職に着任しました。
学生時代に出会ったボランティアがきっかけで、「人のために役立つこと」が好きだと気付いたという宮本さん。大学では福祉を学びながら、焼肉店の接客のアルバイトを始めました。
「自分が提供したものを『おいしい』と言ってもらえたり、サービスを喜んでもらえるのがうれしくて、飲食店も人の役に立つ素敵な職業だと実感しました。『ありがとう』と言われるのがうれしくて、もっと喜ばれたいとアルバイトに熱中していきましたね」。
その後、家庭の事情で大学を中退。改めて自分で「この仕事がしたい」とアルバイトをしていたお店に就職し、約1年で社内で最年少の店長に昇進しました。
本格的ナポリピッツァとの出会い。
繊細な生地に試行錯誤の半年間。
それからもダイニングバーや居酒屋で接客の仕事を続けるうち、「自分で作った味をお客様に提供してみたい」と、コーヒーを淹れる技術や知識を持つバリスタとしてイタリアンレストランで働いていた宮本さん。ある時そのお店のオーナーから、「ピッツァ作りをやってみないか」と持ちかけられ、挑戦することに。そのお店で作っていたのは、イタリアのナポリが発祥の本格的なナポリピッツァです。実際に作ってみると生地作りはとても難しく、なかなかオーナーから合格をもらうことはできませんでした。
「ピッツァの生地はその日の湿度や環境に左右される繊細なもの。焼くのは窯なので、温度もデジタルで設定するようにはいかず薪を入れて調整しなくてはなりません。レシピ通りに作っても同じものはできず、職人は感覚で覚えて作っていくため、その技術を身に付けるのも簡単ではないんです。小麦粉の性質のことなど科学的な仕組みも本を読んで勉強しながら何枚も何枚も焼き、『これならお客様に出せる』と言ってもらえるまで半年間かかりました」。
小麦や野菜の生産が盛んな江別。
地元に貢献したいと現在のお店に。
そのように試行錯誤しながら作ったピッツァの生地には愛着が湧き、自分の味ができる喜びや、お客様が食べて「おいしい」と言ってもらえるうれしさを感じ、ピッツァ作りを天職と感じるようになっていきました。
そして、現在のお店のオープンの際に社長から声が掛かったのです。「地元で何かをしたいという気持ちは以前からあり、江別を盛り上げるという社長の理念にも共感しました。江別は小麦の生産が盛んですが、ピッツァ専門店はありませんでした。また、ピッツァの具材になるおいしい野菜もたくさん作られています。『江別といえばピッツァ』と言われるようなお店を作ってみようと思い、ここで働くことにしました」。
EBEZZAのピッツァは、北海道産の原料で江別製粉で作られた小麦粉、江別や近郊など北海道の生産者とつながり仕入れた食材を使用。江別の歴史あるレンガを積み上げた窯で焼き上げます。焼きたては香ばしさと共に、モチモチ感とみずみずしさも感じられる絶品のピッツァです。
江別の素晴らしさを知ってほしい。
ピッツァ世界選手権でアピール。
オープンの年には、イタリアで開催されるピッツァの世界選手権にも挑戦しました。伝統のナポリピッツァには、生地の材料は小麦粉と水、酵母、塩のみであること、ふちは1cm以上あること、窯で焼くことなど定義が定められており、それに則った上で、江別産の野菜やチーズなど江別をアピールできるピッツァで臨みました。
世界の壁は高く全体では上位とはならなかったものの、宮本さんにとっては貴重な経験に。「競い合うことは好きではありませんでしたが、日ごろ応援してくれる温かい人がいるので、江別の素晴らしさを知ってもらうためにも一番になりたいと思って挑戦しました」。
他にも、キッチンカーでイベントに出店したり、ピッツァ作りを体験できる食育イベントを開催したりと、お店以外でも活躍する場を設けています。江別を盛り上げ、ピッツァが江別のソウルフードになるようにと、ピッツァに親しんでもらう取り組みを続けています。
もっとピッツァを身近なものに、
ピッツァ職人を憧れの職業に。
以前のお店に勤めている時に、オーナーと共に仕事の合間を縫ってイタリアに渡り、現地のピッツァを体感した宮本さん。短い期間ではありましたが職人の情熱や現地の空気感に触れ、ピッツァがいかにイタリア人に身近なものであるか実感してきました。イタリアでは料理人と並んでピッツァ職人が専門職として認知されており、子どもが憧れる職業でもあります。
現在、宮本さんは、お店でのスタッフ育成はもちろん、調理に特化した学校である北海道三笠高等学校での授業などで、ピッツァ作りを伝えています。ナポリの職人の感覚に加え、自身で学んだ科学的なロジックも教え、おいしいピッツァ作りをわかりやすく伝えています。
日本でもピッツァ職人を子どもが目指す職業にしたいという宮本さん。「と言っても、私自身は学生時代に明確な目標を持っていたわけではなく、好きなことに真摯に取り組んでいるうちにピッツァに出会いました。目の前のことを常に一生懸命やっていれば、それを楽しみながら自分も成長していけると思います」。
シゴトのフカボリ
ピッツァ職人の一日
10:00
出勤、窯に火を入れる
生地の状態の確認、仕込み
11:00
オープン、ピッツァを焼いて提供
14:00
休憩
15:00
ピッツァを焼いて提供、生地の仕込みなど
19:00
ラストオーダー、閉店準備
20:00
片付け、退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
思い入れのあるスケッパー
生地を調理台からすくい取る時などに使う、ピッツァ作りには欠かせない道具であるスケッパー。東京の有名店のオーナーで良きライバル的な存在の方からもらったもので、手入れをしながら大切に使っています。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

「パッシオーネ(情熱)」は、イタリアのピッツァ職人がよく使う言葉で、彼らからはピッツァに対する情熱を感じます。周りの人に対しても、言葉に出さなくても伝わる思い、情熱を大切にしています。

EBEZZA PIZZA FACTORY & PIZZERIA

江別から発信するピッツァハウス。小麦や野菜など北海道産食材のおいしさを、江別産のレンガの窯で焼く本格的なナポリピッツァで表現しています。

住所
北海道江別市東野幌町3-3 EBRI内
TEL
011-398-5523
URL
https://www.ebezza.com/index.html

お仕事データ

ピザづくりの専門職。
ピザ職人
ピザ職人とは
生地の仕込みから具材の盛り付け、
焼き上げまでピザづくり全般を担当。

ピザ専門店やイタリアンレストランでピザを作る業務全般を担うのがピザ職人の仕事。本場のイタリアではピッツァイオーロと呼ばれています。具体的には、店舗のオープン前から生地や材料を仕込み、窯に火を入れるといった準備をスタート。さらに生地の成形や具材の盛り付けを行い、焼き上げるまでが主な仕事です。店舗によってはお客様のオーダーを受けてから生地を成形することもあり、こうした場合はスピードと高い技術が必要。新たな食材の仕入れやメニューの開発など、おいしさを常に追い求めるのも使命です。

ピザ職人に向いてる人って?
新たなおいしさを追求する探究心や
熱さと格闘する忍耐力がある人。

食の中でもとりわけピザやイタリア料理に興味があり、おいしさで人を笑顔にしたいという思いが必要です。また、生地の仕込み方やチーズの種類、具材の組み合わせなどによって、生み出せる味わいは多種多彩。ピザの新しいおいしさを常に追い求める探究心がある人もピザ職人に向いているでしょう。また、一人前になるまでには長い時間がかかり、時には熱い窯の前でピザを焼き続けることもあるため、忍耐力も求められます。

ピザ職人になるためには

ピザ職人になるために必要な資格はありません。高校や専門学校、短大、大学を卒業後、イタリアンレストランやピザ専門店に就職し、修行を積みながら一人前のピザ職人を目指すのが一般的です。最近ではピザ人気の高まりに伴い、ピザ職人を育成するアカデミーやスクールも増えつつあります。こうした学びの場でピザ生地の粉質や水分量、チーズの種類、さらに窯の使い方などを教わるのもオススメです。

ワンポイントアドバイス
ピザコンテストに出場し、
自らのスキルと評価を高めよう!

ピザ職人として腕を磨き続ける先に見据えたいのがピザコンテストへの出場。日本国内はもちろん、海外でもさまざまな大会が開催され、ピザのおいしさを競い合っています。国内の選手権で優勝トロフィーを獲得できるとピザ職人としてのスキルの証になりますし、本場ナポリの世界大会で勝ち抜くことができれば、「世界大会で優勝したピザ職人がいる」とお店の知名度もアップするはず。ピザコンテストに優勝することで、自身やお店の評価を高めることもできます。

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