石黒 悠里さん
インタビュー公開日:2017.11.28

目には見えない「ガス」だから、
特別な知識と技術が必要です。
私たちの暮らしを支えるエネルギーのひとつ、ガス。調理や暖房、給湯、発電など、ガスはさまざまな用途に利用されますが、目には見えない「気体」なので、その取り扱いには特別な知識と技術が必要です。
石黒悠里さんは、そんなガスのある暮らしの安全を守る緊急保安グループという部署で「ガス保安処理員」として働いています。
「保安の業務に携わって3年くらい、その前は地中のガス管に流れるガスの圧力を管理する部署にいました。この会社を選んだ理由は、地元の北海道で長く働きたいと思ったから。生まれ育った地元に恩返しができるところに働きがいを感じています」
「ガス漏れかも?!」で緊急出動。
家庭やお店、工事現場に駆けつけます!
それではガス保安処理員の仕事について、石黒さんに詳しく聞いていきましょう。
「ガスは扱い方を間違えると火災や爆発の原因になることがあります。ですから、ガス漏れが起こった時に、急いで適切な処置を行うのが私たちの役割です。具体的には『家(またはお店)がガス臭い』『警報器が鳴った』『工事中にガス管を傷つけてしまった』といった時に北ガス保安センターに通報が入ります。そこで現場の状況や緊急性を判断して、私たち保安処理員が出動します」
石黒さんの職場では札幌市、北広島市、石狩市の一部を管轄。一日に20〜30件の通報が入るといいます。
「24時間365日、いつでも出動できる体制が必要なので、職員が昼夜交代で勤務をします」
住民の安全を最優先に!
消防署と連携することも。
通報があった現場に急行したあとは、どのような作業を行うのでしょう?
「まずは、ガス臭気の強さ、範囲やガス漏れ警報器の鳴動状況を確認し、危険な場合は、住民の方へ避難をお願いします。また、建物へのガス供給を停止させていただきます。その後、実際に不具合のある場所を特定し、その場で修理します。即日の本修理が困難な場合は応急処置をし、安全を確認した上でガスの供給を再開。後日改めて本格的な修理を行います。また、ガスを使っている施設で火災が起こった時には、消防署からの連絡により現場へ急行し、外のマンホールの中にあるバルブを操作してガスを遮断する作業も行います」
「ガスが漏れている」と通報があっても、実際は違うことも少なくないと石黒さん。
「臭いの原因がまったく違うものだったり、ガス警報器の音ではなく冷蔵庫が開きっ放しになっていた警告音だったり…。何事もなくて良かったという場面も意外に多いんです」
寒い時間を一秒でも短く。
早期復旧を心がけています。
北海道ではガス暖房の設備も広く普及しています。北国ならではの苦労や大変さはあるのでしょうか?
「冬場、地中の管からガス漏れがあると除雪することから作業が始まります。土の中が凍結しており、掘削作業にも時間がかかります。また、ガス暖房のご家庭では冬にガスが止まると寒くて大変です。できるだけ短時間で復旧できるよう、スピーディーな作業を心がけています」
石黒さん達の活躍によりガス機器の交換など、リフォームの依頼を受けることもあるのだそう。
「トラブルをきっかけに『新しいガス機器を購入したい』といった要望を受けることは多いんです。会社の売上にもつながりますから、営業的な要素もゼロではありません」
お客様の安全を守るプロフェッショナル!
責任の大きさがやりがいです。
ある意味、危険と隣り合わせとも言えるガス保安処理員のシゴト。石黒さんはどんな部分にやりがいを感じているのでしょう?
「たとえば、もし私たちが急行した先でガスが漏れていたら、そのガスを止めるまでは絶対に現場を離れることはできません。とにかく、なんとかするしかないんです。そのプレッシャーは大きいのですが、やり遂げた時の達成感も大きい。『ガスは怖い』というイメージを持っている人は多いので、皆さんの不安を解消して喜んでもらえるのも、この仕事ならではのやりがいです」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

皆さんにとって、いつでも好きな時にガスが使えるのは「当たり前」。その当たり前を守るという責任の大きさがやりがいなんです。

北海道ガス株式会社

北海道に拠点に置くガス事業者。「ガス漏れ」「ガス臭い」などの通報に備えて、24時間365日体制で出動できる体制準備を整えている。

住所
北海道札幌市東区北7条東2丁目1-1
TEL
011-792-8110
URL
http://www.hokkaido-gas.co.jp/

お仕事データ

ガスのある暮らしを守る
ガス保安処理員
ガス保安処理員とは
ガス漏れ問題を解決!

「ガスが漏れている」「工事でガス管を傷つけた」など、ガスにまつわる緊急事態が発生した時に現場に駆けつけて、適切な処置を行う専門職。簡単にできる修理であれば、その場で行い、本格的な修理が必要な場合は応急処置をして、修復工事などを手配します。ガスの供給を一時的に止められる唯一の職業なので、消防署の要請で出動するケースも。トラブルの発生は予想できないため、24時間体制で出動できる準備を整えています。

ガス保安処理員に向いている人って?
正義感の強い人は、やりがいも大きいはず。

ガス漏れは大きな事故に発展する可能性があるため、なんとしてもガスを止めて、現場の安全を守るという責任感が欠かせません。困っている人の助けになり、安心を届けたいという正義感の強い人には向いている仕事です。

ガス保安処理員になるためには

都市ガスあるいはプロパンガスの会社で、専門の技術と知識を学んだ人がこの仕事に携わります。ガスに関する資格には「酸素欠乏危険作業主任者」や「液化石油ガス整備士」といったものがあります。

ワンポイントアドバイス
会社のイメージがかかっている!?

家庭や店舗でのトラブルを解決するガス保安処理員は、ガス会社の中でも特にお客様に近い存在です。トラブル処理の手際やお客様への対応が良ければ、会社のイメージアップにも繋げられます。