佐々木 勇太さん
インタビュー公開日:2021.08.02

空港自体に遊びに行くほど、
僕にとっては楽しい場所です。
「空港で働く」と聞くとパイロットやCA、グランドスタッフを思い浮かべがち。けれど、他にも飛行機の前で全身を使ってパイロットに指示を送り、安全を確保しながら機体を誘導するグランドハンドリングを筆頭に、航空管制官、各種車両の整備士など、多くの職業が力を合わせることで空港が機能しています。
「当社は新千歳空港、稚内空港、釧路空港、函館空港、旭川空港、帯広空港、女満別空港の道内7空港の運営を一手に担う会社です」
こう教えてくれたのは北海道エアポート株式会社の佐々木勇太さん。ご出身は黒松内町。小さなころから乗り物や機械が好きで、とりわけ空港に心惹かれたと笑います。
「旅行はもちろん、単身赴任の父を迎えに行く時など、僕にとって空港はいつも楽しさに満ちている場所。飛行機を利用しないのに、一人で列車に乗って新千歳空港に遊びに行くこともありました(笑)」
そんな空港大好き少年はグランドハンドリングを夢見て、航空系専門学校に進みました。
念願の空港で働ける上、
自分の経験も生かせる職場。
専門学校で航空業界について学び、大型特殊免許やけん引免許といった資格も取得した佐々木さん。グランドハンドリングを目指して就活を進めたものの、当時はリーマンショックと呼ばれる世界的な金融危機から、多くの企業が新卒採用を控えたバッドタイミングでした。
「僕は乗り物も好きなので、建設機械のレンタルや整備を手がける会社に何とか滑り込めました。東京で都市開発の一端を担ったり、福島で東日本大震災の復興支援に関わったり、手応えは大きい仕事だったと思います。けれど、将来的には北海道に戻りたかったですし、空港で働きたいという気持ちは依然として変わりませんでした」
佐々木さんは30歳の節目に転職を決意。そんな折に見つけたのが北海道エアポート株式会社の求人でした。
「当社は空港で働けることはもちろん、除雪車や重機といった機械に携わる仕事も豊富。前職で培った建設機械の整備・点検技術も生かせる願ってもない職場でした」
経験を重ねながら学ばせてもらえる
ありがたい環境です。
「空港の運営」と一口にいっても、北海道エアポート株式会社の部署や仕事内容は多種多彩。飛行機の安全な離着陸を支えるために滑走路を点検するのも、ターミナルの建物自体を維持管理するのも、テナントの利活用や集客の方法を考えるのもすべて守備範囲です。
「僕が配属された空港運用課も、灯火(滑走路の形状や進入角度などの情報を援助するための光)や土木、運航情報の担当などに細かく分かれています。その中でも、道内7空港の機械や除雪車に関わる契約を管理するのが自分のメイン業務です」
入社後、佐々木さんは道内7空港の特徴や会社の方針を研修で学び、空港運用課に配属されてからはOJTで都度分からないことを教えてもらいました。
「前職では実際に機械を整備していましたが、当社では契約書の作成や仕様書の見直しといった書類仕事が中心。慣れない業務で先輩方には迷惑をかけましたが、経験を重ねながら学ばせてもらえるありがたい環境です」
事細かな仕様書の記載は、
安全への配慮でもあります。
除雪車の契約管理でいうと、大まかなサイクルとしては11月〜4月が除雪期間、5月が不具合箇所の特定、6月が契約内容の精査、7月〜10月が定期整備なのだそうです。
「本社で7空港分の除雪車に異常や故障がないか随時状況を確認しながら、時には稚内で整備業者と打ち合わせしたり、女満別で不具合を実際に確かめたり、地方の現場に赴くこともあります」
空港の滑走路はかつて国や自治体が管理していたこともあり、契約に伴う仕様書の内容も事細かく決め事が記載されているのだとか。例えば「オイル交換はいつ行う」「法定点検以外の自主点検は年に何回」など、目を通すだけでも一苦労だといいます。
「ただ、雪の多い北海道の空港は、それだけ安全に気を配らなければならないことの裏返しでもあります。広大な滑走路を除雪するにも、20分かけてくまなく雪をかき融雪剤を撒いたところで、10分で摩擦係数を測定します。飛行機を安全に離着陸させるためのコンディションを保つことが絶対条件ですから、自ずと基準も厳しいんです」 
空港で出会う笑顔の数々が
仕事と向き合う原動力!
入社から1年が過ぎ、佐々木さんは念願の空港で働くことに充実感を覚えています。一方、まだまだ覚えることも、苦労することも多いのだとか。
「そんな時、気分転換のためにも空港内を歩いてみるんです。ターミナルを行き交う人々は、お孫さんに会えたことで顔をほころばせていたり、修学旅行で友人と大はしゃぎしていたり、誰もが笑顔を見せています。こうした様子を目の当たりにすると、やりがいが湧き上がってくるんですよね」
最後に佐々木さんは除雪車の点検にあたる受入業者の作業を見ながら、ポツリとこうつぶやきました。
「僕らは実際に手を動かすことは少なく、あくまで司令塔のような役割です。車両点検や土木工事、電気工事を担ってくれる皆さんには感謝してもし切れません。ただ、自分の仕事は巨大なチームの中の一部に過ぎないものの、すべてのパーツが噛み合って初めて『空港が動く』と考えると、スケールはデッカイと思います!」
シゴトのフカボリ
空港の運用・保守スタッフの一日
8:40
出勤/1日の準備
9:00
メールチェック/案件の報告・相談
11:00
現地の事業所の担当者とリモート打ち合わせ
12:00
昼休み
13:00
除雪車両の整備状況の中間検査
15:00
資料作成
18:00
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
車両点検の必需品!
僕が担当する除雪車は油圧で動く機械です。仮にホースが爆発して破れてしまうと、滑走路に油が漏れれて封鎖するという最悪の事態に陥ってしまいます。細かな部分までチェックするためにも、ライトは必需品です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

僕らはパイロットやCAのような航空業界の花形ではなく、グランドハンドリングのように飛行機のすぐそばで働く仕事でもありません。けれど、縁の下の力持ちとして安全・安心の空港運営を行う先には、必ずお客様の輝く笑顔があると信じています。

北海道エアポート株式会社

7空港を一体的に運営するという国内初のプロジェクトを事業の柱に、「可能性とつながる空港へ」というビジョンを体現。「安全・安心の空港運営」の使命のもと、世界の観光客を魅了し、北海道全域へ送客する「マルチ・ツーリズムゲートウェイ」へ。

住所
北海道千歳市美々987番地22 ターミナルアネックスビル 5F
TEL
0123-46-2990
URL
https://www.hokkaido-airports.co.jp/

お仕事データ

施設や店舗をより快適に!
施設管理運用者
施設管理運用者とは
利用者の満足度を高めるために、
施設の清掃や保全、運用企画を。

病院や官公庁、空港、店舗、オフィスなど、さまざまな施設を快適な環境に保つのが施設管理運用者の仕事。日常の清掃・保全・修繕などに携わったり、それだけではカバーできない経年劣化の有無や設備・什器の定期点検を行ったり、利用者の満足度を高めることを目標に業務に取り組みます。また、企業によっては実際の作業にあたるのではなく、収益性アップのための設備更新や現場を管理する業者の選定といった運用企画の役割を担うことも。施設や店舗の先行きも左右するやりがいのある仕事です。

施設管理運用者に向いてる人って?
分野を問わず幅広いことに興味があり、
自ら勉強していけるタイプ。

施設管理運用者の守備範囲は幅広く、清掃や維持管理、電気設備、通信設備、環境衛生などバラエティに富んでいます。そのため、分野を問わずさまざまなことに興味があり、新しいことを学びたいと考えている人に向いているでしょう。企業によっては業務に必要な資格を取得しなければならないため、勉強が苦にならないことも必要。また、この仕事は多くの人がチームになって進めることから、コミュニケーション能力も求められます。

施設管理運用者になるためには

施設管理運用者になるために必要とされる資格や学歴はありません。高校や専門学校、短大、大学を卒業後、施設運営部門や設備管理部門などのある企業に就職して実務経験を積むのが一般的。現場ではさまざまな専門知識が求められるため、上司や先輩の指導を受けながら、長い時間をかけて一人前に育てていく企業が多いようです。

ワンポイントアドバイス
最近注目度が高まっている
ファシリティマネージャーとは。

ファシリティマネジメントとは、アメリカ由来の新たな経営管理方式。施設運用管理者の延長線上に存在し、施設を資産として経営に生かす考え方です。ここ最近は、全国に眠っている不動産や施設を効率的に活用することで、日本経済の活性化が期待できることから「ファシリティマネージャー」という職種の注目度が高まっています。不動産などの施設設備を管理するだけではなく、企業経営の視点から見てより良い状態に保つため、目標に向かって計画立案から実行、評価を行う仕事です。施設管理運用者とかなり近いため、興味のある人はチェックしてみてください。

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