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大村 凌さん
インタビュー公開日:2024.05.09

会長からの問いかけへの答えが、
新たなプロジェクトのきっかけに
「新入社員の大村さんから見て、当社(FUJI)に足りないと思うものは?」 ”北海道の「おいしい」をつなぐ”をテーマに、道内各地に物産の卸やギフト商品の企画を手掛けるFUJI。その代表取締役会長から、入社から間もない大村凌さんは、面と向かって意見を求められました。
「とっさに答えたのが、SDGsへの取り組みと広報部門。昨今、注目されているSDGsに関する活動が行われていなかったことと、会社のブランドをアピールする広報の部署もないことを、自分なりにお伝えしました」
”何か答えなければ……”と、とっさに口にしたというのが本音だったと明かしますが、思いつきにも近いようなこの発言が、現在の部署へと大村さんを導くきっかけとなりました。
「『それなら、やってみなさい』と会長に言われてちょっと焦って(笑)、当時の上司に相談したら、社会活動などに詳しい現在の上司を紹介され、相談したことが始まりです」
このことをきっかけに、一つのプロジェクトが立ち上がり、その後、新たに立ち上がった事業推進HRグループという部署に大村さんは所属します。部署名どおり、新たな事業を推進してくことがその目的です
企業の好意で寄付された大量の食品を
フードバンク等に代わって保管・配送
事業推進HRグループとしてまず取り組み始めたのが、大村さんも指摘したSDGs(*1)に関する活動。まず、自社でできることは何か、ということから考えはじめたそうです。
「SDGsについて情報収集し、学ぶなかでわかったのは、社会課題を解決するための市場をつくるのが理想であるということ。当社は北海道物産・ギフト商品の卸売・開発などを主力とする食に関する企業であり、専門である食の分野で活動ができないかと考えました」
食の課題を調べるなかでフードロスという社会問題を知り、フードバンク(*2)や子ども食堂の活動が見えてきました。そのなかで自分たちにできることはないか、関係者に話を聞いて回ったという大村さん。とにかく活動的です。
「フードバンク、子ども食堂が増えるにつれ、食品の寄付により社会貢献を図りたいという企業も増えています。一方、メーカーなどから大量に届く食品の受取り、仕分けなどには労力がかかります。食品の扱いは卸業の当社では日常業務。そこで、食品の受け入れから配送までを当社が担うという流れを考えました」
大村さんは、食品の受け入れ・確認から発送手配までを担っています。入社から2年間、商品管理に携わった経験が役立っているそうです。
*1 持続可能な開発目標/貧困、格差、気候変動による影響などの問題を解決し、より良い世界をつくることを目指し、2015年に国連サミットで採択された目標。
*2 規格外や過剰生産された食品を引き取り、福祉施設等へ無料で提供する活動・団体。
なんとなく進学し、就職活動もそこそこ。
こだわりがないから、柔軟に発想できる。
自分の活動や考えを明確に、前向きに語る大村さんですが、FUJIに入社したのは”なんとなく”だったと打ち明けます。
「高校、大学への進学も、特にやりたいこともなく、なんとなくといった感じ。バスケットボールはずっと続けていましたが、学生時代はパッとしない感じでしたね(笑)」
大学は経営学部ですが、授業にはあまり顔を出さず、アルバイトに明け暮れる日々。飲食店、アパレルショップなど接客業のほか、引っ越し、塗装工等々、多様な仕事を経験します。
「一番長く働き、おもしろいと感じたのが飲食の仕事。就職活動もあまり熱心ではありませんでしたが、食に関する仕事に就きたいという考えはあって。食品メーカーなども検討しましたが、父から勧められ、アルバイトで接する機会のあった食品卸の仕事に興味を抱いたことがきっかけで、当社と出会いました」
とはいえ、合同企業説明会にも参加せず、スマホで求人サイトを検索して面接先を決めていたという大村さん。FUJIへの入社も積極的なものではなかったと、苦笑いしつつ振り返りますが、むしろ「これ!」というこだわりがなかったからこそ、新しい部署で柔軟な発想で動けているのかもしれません。
若い世代に知られていない食品卸の世界。
キャリア教育などを通して魅力を伝える。
「フードバンクも子ども食堂も、経済的に困難を抱える人や、子どもたちの支援のプロ。一方、当社は物流のプロ。「得意なところが、得意なことをする」というスタイルで、SDGsに貢献するという自負を抱いて活動しています」
この活動を知った、本業で取引のある食品メーカーから寄付の申し出を受けるケースも出てきたそうです。フードバンクなどにとっては、新たなメーカーとのつながりができると同時に、既存の顧客との関係強化につながるといった効果も現れ、波及効果も生まれています。ただ、こうした取り組み、さらに食品卸という業態が若い世代に知られていないという新たな課題にも気づきました。
「それが採用活動におけるネックにもなっていました。そこで、私たちの仕事を学生さんに知ってもらうため、キャリア教育の授業で話す機会をいただいたり、学生団体などが近年、盛んに取り組んでいる商品開発を一緒に担うという活動も展開しています」
FUJIでは、取引のある多くのメーカーへの製造委託による自社商品の開発も行っています。オリジナル商品の開発ノウハウを活かして学生の支援を行うことにより企業としての知名度アップにもつなげるという取り組みです。
現在の仕事をとおして、やらなければ、
やりたいことがわからないことを知る。
事業推進HRグループでの2年ほどの間に、大村さんは、SDGsやフードロスに関するイベント企画、道外の物産展での自社商品の販売、海外との販売チャンネルづくりなど、さまざまな活動に携わってきました。
「思うようにはいきませんでしたが、北海道物産を販売する自動販売機を東京に置くという取り組みもありましたね」
未経験ながらイベント企画は楽しかった。海外との取引は苦手に感じた--。いろいろなことにチャレンジできる環境のなか、やりたいこと、得意なこと、やりたくないことというのは、やってみて初めてわかるものだと気づいたと話す大村さん。キャリア授業のなかで今、そんなことも伝えています。
「いろいろなことに取り組んでみて初めて、学ばなければならないこともわかってきます。好きか嫌いか、だけでなく、まずは飛び込んでみることが大事ですね」
プライベートでは、さまざまな場所やイベントに積極的に飛び込み、人と会うことを大切にしているという大村さん。多くの人と話をしていると、それが自然と繋がって新しいことが生まれるのだと言います。常に前向きな大村さんのエネルギーこそがきっと、人を引き寄せているのでしょう。
シゴトのフカボリ
事業開発・販売促進の一日
9:00
出社、メール確認、各種資料作成
10:00
倉庫作業。入庫した商品の確認、写真撮影
10:30
食品卸売会社と商品開発の打ち合わせ
12:00
昼食・休憩
13:00
営業車のなかで資料作成
14:00
学生と商品開発の打ち合わせ
15:00
大学でボランティアサークルとの打ち合わせ
17:00
帰宅、リモート会議
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

やりたいことがあるというのは理想かもしれませんが、何かに取り組んだからこそ、見えてくることもあります。あまりこだわりを持たず、与えられた役割などに向かうなかで、意外とやりたいことが見えてきたりします。

株式会社FUJI

1972年の創業以来、北海道物産の企画・販売・ギフト商品の卸売などを手がけています。生産者、販売店双方の思いを大切にした事業を行っています。

住所
北海道札幌市清田区真栄408番地2
TEL
011-884-2000
URL
https://www.fuji-h.co.jp/index.html

お仕事データ

販促企画や企業広報を!
プロモーション担当
プロモーション担当とは
企業の販売活動やセールス、
広報などに携わる仕事。

プロモーションとは広い意味で企業や商品、サービスを広く認知させ、購買を促進させる活動のことです。販促活動に携わる担当者は販売活動や営業活動を支援するプランを企画・立案・実施したり、新商品のリリースに伴うキャンペーンやイベントを企画したり、店頭PRで直接お客様にデモンストレーションするなど、セールスプロモーションの仕掛けを考えます。さらに、こうした取り組みをプレスリリースする他、各種メディアに情報発信する広報の担当者を置く場合も。企業によっては販売促進と広報をどちらも担うことがあります。

プロモーション担当に向いてる人って?
データ分析や自由な発想が好きで、
対外的なコミュニケーション能力も必要。

プロモーション担当はお客様の購入履歴や市場の動向を調査して企画・立案することも多いため、データ分析などが得意な人に向いているでしょう。他社のキャンペーンも見比べ、「なぜ売れているのか」掘り下げて考える鋭い観察眼も必要です。イベントのプランニングにおいて、ノベルティをプレゼントするなど、自由な発想を試すのが好きな人にもぴったりの仕事です。また、広報を担う場合は自社の営業や宣伝といった他部署との連携も多いだけでなく、メディアへの情報発信も欠かせないため、対外的なコミュニケーション能力も求められます。

プロモーション担当になるためには

プロモーション担当は、企業の一部署として機能していることがほとんどです。特別に必要とする資格はなく、まずは飲料品メーカーや化粧品メーカー、住宅メーカー、百貨店など、プロモーションの部署を置く会社に就職するのが一般的です。大手企業などでは「四年制の大学を卒業」「TOEICで一定の点数を取得」が条件になる場合もあるので、求める人物像や募集要件を調べておきましょう。

ワンポイントアドバイス
プロモーションの重要性は、
高まっている傾向。

最近はインターネットやSNSなど、商品やサービスをPRするための手法が増え、さまざまなキャンペーンを展開することができます。プロモーション担当は、売上を左右するキーパーソンとして、以前よりも仕事の重要性が高まっている仕事です。また、地方の小さな企業であっても全国に名が知られるPRを打つことができる可能性も秘めています。今後は、新しい企画を考え出す面白味とやりがいがますます広がっていくでしょう。