アニメを制作する中で、作画や音声といった各種素材を合成し、特殊加工などを施した後に作品を仕上げるのがアニメ撮影。「撮影」という名がつくもののカメラを使うわけではなく、映像制作ソフトを使用してアニメーションを作ります。仕事内容は大きく分けて「線撮」と「本撮」。「線撮」は色のついていないアニメ原画をはじめ、ダミー素材と呼ばれるものを使って、仮の素材でアニメ撮影を行うことです。「本撮」は実際の素材でテレビや劇場で放映される作品を完成させること。さまざまな部門のスタッフが作成した素材をアニメの形に仕上げるため、クオリティを左右する重要な役割を担っています。
アニメをはじめとする映像制作に対して興味を持っていることは大前提。アニメーターの作画をより良く見せるために加工することも多いため、絵や漫画が好きな人にも素養があるでしょう。また、スケジュール通りに各種素材を集めなければならず、監督やアニメーターなどと作品を仕上げていくことから、コミュニケーション能力も必要です。時間やスケジュールを管理する力も求められます。
アニメ撮影の仕事に必要な資格や学歴は特にありません。ただし、専門のソフトウェアやツールを使いこなすスキルが求められるため、一般的にはアニメ系の専門学校や美術系の大学でデジタル撮影の技術を学び、アニメ制作会社に就職する人が多いようです。未経験からアニメ撮影の仕事を募集している企業もあるため、まずは下積みとして経験を積んだ後にスキルアップする道のりもあります。
アニメ業界は放映や配信に加え、制作、グッズ販売なども含めると2兆円を超えるともいわれる巨大マーケット。近年では動画配信サービスのニーズも拡大傾向で、オリジナルアニメの制作も増えています。さらに、実写ではなくアニメを活用した「アニメ広告」も注目を集め、海外マーケットも広がりつつある分野です。つまり、アニメ撮影の仕事も、堅調なニーズが見込まれるでしょう。