市場で卸売業者から魚や野菜、果物を買い付け、スーパーや百貨店をはじめとする小売店に販売するのが仲卸の役割。具体的には品物を下見し、一つひとつの質を目利きするところから仕事がスタートします。多くの場合、せり取引(多くの買い手の中から一番高額な値をつけた人に品物を販売する方式)や相対取引(売り手と買い手が話し合いによって価格を決める方式)によって水産物や青果物を購入。その後はお客様のニーズに合わせて加工したり、種類を揃えたりして、各小売店へ配送するのが一連の流れです。仲卸は専門的な立場から消費者に代わって品物を評価し、市場の適正な価格形成をすることにも重要な役割を果たしています。
市場の仕事は朝が早く、仲卸の中には午前2時に出勤する人もいるため、「朝に強い人」には向いています。魚介や野菜、果物の良し悪しを見分ける力も求められるため、「食」に興味があることもプラスに働くでしょう。また、卸売業者とはテンポの良い会話やハキハキとした態度で接する一方、お客様となる小売店には節度を持ったコミュニケーションをとらなければなりません。多方面の人間関係を築くのが好きな人も、仲卸としての素養があります。
仲卸になるために求められる特別な学歴は必要ありません。多くの場合、高校や専門学校、短大、大学を卒業後、市場内で営業行為ができる仲卸企業に就職します。仲卸では仕入れた商品を各小売店に配達することもあるため、普通自動車免許を取得しておいたほうが良いでしょう。近年では目利きや買い付けのスキルをじっくりと教え、一人前になるまでに時間をかけて指導する仲卸企業が多いようです。
かつての仲卸は商品を仕入れて販売することが大きなウエイトを占めていました。けれど、ここ最近は小売店のニーズに合わせた加工や仕分け、さらには消費者の目線に立った売場の提案や商品開発といった「企画」も求められています。仲卸は生産者と小売業の間に立っていることから、両者からの情報収集と情報提供が可能。こうしたポジションを活用し、水産物や青果物の消費を増やす戦略を立てることにチャレンジしている企業も数多くあります。