武田 連さん
インタビュー公開日:2021.08.04

物心がついた時には、
福祉の世界を目指していました。
千歳市のマチナカからクルマで約20分。豊かな自然に囲まれた場所で、障がい者の穏やかな暮らしをサポートしている「障がい者支援施設いずみ」。今回、インタビューのマイクを向けたのは生活支援員の武田連さんです。聞けば、お父さんが恵庭市の福祉施設で管理者を務めていたのだとか。
「小さなころから障がい者とふれ合う機会が多く、父の背中もずっと見てきたので、物心がついた時には福祉の世界で働くことを思い描いていました」
武田さんは高校卒業後に福祉施設で働こうと思っていましたが、お父さんのすすめから大学の福祉系学部に進学。学生時代はグループホームのアルバイトも経験しました。
「グループホームに暮らす利用者さんとおしゃべりしたり、テレビを見たり、何だか友人と過ごすような感覚(笑)。自分でいうのも照れますが、かなり好かれていたので楽しみながら働けましたし、やっぱり僕には福祉の世界が合っていると確信しました」
意思疎通が難しいことも、
「新たなチャレンジ」です。
アルバイト先のグループホームでは利用者様がある程度自立し、会話も楽しめたそうです。一方、就職先として選んだ「障がい者支援施設いずみ」には、言葉を交わすことができなかったり、思いを伝えられなかったりする人も少なくないといいます。
「最初は意思疎通が難しいことに戸惑う面もありましたが、僕はとびきりポジティブな性格(笑)。自分にとって新たなチャレンジとして積極的に利用者さんと関わるようにしました。上司や先輩がやさしくフォローしてくれたことも、仕事と向き合う原動力になったと思います」
現在は武田さんも新人を指導する立場。利用者様は新しい職員が入社すると、好奇心から気分が高揚するケースが多いのだそうです。
「現場が混乱しないように利用者さんの心を汲み取りながら、新人さんをサポートできるように心がけています」
利用者さんの困りごとに寄り添い、
課題をクリアするのが魅力。
生活支援員の仕事は、その名の通り食事や入浴といった暮らしのサポートをすること。障がい者の利用者様は個性が強かったり、一つのことにこだわる向きがあったりするため、武田さんは態度や声のトーンから意思を汲み取ることが大切だと語ります。
「入社して2年目のころでしょうか。こだわりの強い利用者さんを担当することになり、最初は不適応行動(反抗や拒否など)が続いていました。けれど、顔の引きつり方や些細な言動をよく見ながら、粘り強くコミュニケーションを取ったことで、心を開いてくれたんです。不適応行動がパッタリとなくなった時はうれしかったですし、自信が持てるようになりました」
武田さんは利用者様が不適応行動を取るのは、背景に訴えたいことがあるからだと考えています。「困っていることに寄り添い、課題がクリアできた時の達成感が大きなやりがい。支援を通じて、日々変化が見られるのも魅力です」
施設全体で子育てを
応援してくれる雰囲気です。
実は武田さん、2019年に同じ施設で働く女性と結婚し、昨年には子どもを授かりました。出産にすぐに立ち会えるよう予定日が近くなると夜勤ナシのシフトに変更してもらうほか、周囲の仲間が協力して業務量も減らしてくれたと笑います。
「当法人では男性で初めて育休も取得しました。約2カ月間、妻と一緒に子育てに集中することができたのはありがたい限りです。復帰後も『子育てはどうだった?』『順調に育っている?』と声を掛けてくれるなど、やさしい仲間に囲まれています」
出産から1年後には奥様も職場復帰したのだとか。土日には夫婦のどちらかが必ず子どもと過ごせるように休みを調整してくれたり、保育園のお迎えに間に合うシフトを組んでくれたり、まるで施設全体で子育てを応援してもらっているようだと顔をほころばせます。
やってみたいことに、
積極的に挑戦させてくれます。
武田さんは子どもが生まれてから、支援の仕方が変わり始めたといいます。以前は「ダメなものはダメ」と杓子定規だった面もあったと自己分析しますが、今は「自分の子ならこう接する」と考えて、まずはアクションしてみるのだそうです。
「当法人はチャレンジしたいことを上司に伝えると、積極的に挑戦させてくれる社風。最近は職員によって伝え方が違うと利用者さんも混乱してしまうので、支援の統一したルールづくりにトライしてみたいと思っています」
インタビューを通して武田さんは常に笑顔で、イキイキと仕事について語ってくれました。
「この仕事は簡単ではありませんが、人とのコミュニケーションが好きなら絶対にオススメ。ウチの施設は残業も少ないですし、休みの希望もほぼ通る…何よりチャンスにあふれているので、イマドキの若い人も働く環境に納得した上で、輝けると思いますよ」
シゴトのフカボリ
生活支援員の一日
6:30
出勤/食事支援
8:00
朝食後のケア/歯みがき支援/部屋に誘導
9:30
余暇活動
11:30
休憩
12:30
活動準備
13:30
余暇活動/入浴支援
15:00
洗濯/雑務/記録
15:30
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
不適応行動を改善!
これは「プログラムカード」と呼ばれるツールです。例えば、歯みがきの場合は右上から始め、うがい、仕上げ、うがいの順番で行うということを視覚的に伝えられます。仕上げがしてほしい時はこのカードを僕に渡すという仕組みです。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

仕事をすると上手くいかなくて苦しい時もあります。僕はもともとクヨクヨしない性格ですが、難しい課題を抱えることになっても「別の視点から見ると挑戦のチャンスじゃないか」と捉えるようにしているんです。まあ、とにかく元気ハツラツに働くのが一番(笑)!

社会福祉法人いずみ学園

千歳市内に障がい者支援施設や児童発達支援施設、グループホーム、多機能型事業所などを展開。障がいを抱える子どもから大人、高齢者まで、一生を通して自立のお手伝いや暮らしのサポート、就労の支援といったケアにあたれるのが強み。

住所
北海道千歳市泉郷403番地9
TEL
0123-29-2023
URL
https://izumigakuen.or.jp/

お仕事データ

日常生活や生産活動をサポート。
生活支援員
生活支援員とは
障がい者や高齢者が社会で
快適に暮らせるよう支える存在。

障がい者や高齢者の暮らしに密着し、日常生活のサポートや身体機能・生活能力の向上につながる支援を行う他、障がい者支援施設などでは生産活動にも関わります。
具体的には、衣服の着脱や入浴などの生活習慣を身に付けてもらったり、農業や軽作業、陶芸、木工といった作業を指導したり、施設における人間関係や不満、将来の不安の相談にのることもあります。働く場所は障がい者支援施設や高齢者の介護施設の他、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所など多種多彩。いずれも一人ひとりの利用者様に寄り添い、快適な暮らしができるように支えることが大切です。

生活支援員に向いてる人って?
いつも笑顔で明るく、
相手に一生懸命向き合える誠実な人。

障がい者の中にはさまざまな生き辛さを抱え、不安や悩みを抱えている人もいます。そのため、いつも笑顔で周囲に明るい雰囲気を広げられる人は向いているでしょう。利用者様には繊細な心の持ち主も少なくないため、相手の立場を考えながら一緒に悩んで解決方法を探すような誠実さも大切です。また、スタッフ間での情報共有なども重要なことから、コミュニケーション能力も求められます。

生活支援員になるためには

生活支援員になるために必要な資格はありません。事業所によっては未経験から働ける職場も多いようです。ただし、福祉系の大学や短大、専門学校などで障がいや高齢者福祉について学び、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士、社会福祉主事任用資格といった資格を取得しておくと就職に有利でしょう。また、利用者様の送迎を行う施設もあるため、普通自動車免許も取得するのもおすすめです。

ワンポイントアドバイス
就労継続支援事業所の
「A型」と「B型」の違いって?

障がい者が利用する施設の中で、「就労継続支援A型事業所」「就労継続支援B型事業所」の二つを聞いたことがありますか?いずれも利用者様に生産活動の機会を提供したり、就労に必要な知識や能力を身に付けてもらったり、「働くこと」の支援を行っています。A型は利用者様と雇用契約を結んだ上で最低賃金以上を保障し、時には一般就労への移行もサポート。B型は雇用契約を結んで働くことが難しい方に生産活動ごとの工賃を提供しています。これがA型とB型の大きな違いです。

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