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成瀬 恵さん
インタビュー公開日:2018.08.16

妊娠から出産、母子の産後の
健康管理まで細やかにサポート。
助産師という職業をご存知ですか?手元の書物には「妊婦さんの出産に立ち会い、赤ちゃんを取り上げる職業」と書いてありますが…
「確かに一番の大仕事は出産のサポートですが、そればかりではないんですよ」といってやさしく笑うのは、成瀬恵さん。ご自身が経営する釧路の助産院「マタニティアイ」で、助産師として活躍しています。
「妊娠の確認から食事や運動といった妊婦さんの健康管理、さらに出産後の体調のケアや母乳・育児に関する細かなアドバイスなど、助産師はおかあさんと赤ちゃんの健康を守るためにさまざまな取り組みを行います。中でも特に大切なのがメンタルのケア。妊婦さんは出産や育児に対し不安や戸惑いを抱えてしまうもの。そんな思いをしっかり受け止め、その心に寄り添いながら最後までしっかりサポートしていくのが私たちの使命なんです」
近所の家族から慕われていた
お産婆さんに感銘を受けて。
ところで成瀬さんはどうして助産師になろうとしたのでしょう。
「子どものころ、近所でお産婆さん(かつての助産師のような仕事)のお葬式があったのですが、驚いたのは参列者の数。多分お産や産後のケアでお世話になったお母さんやその家族なのでしょう、式場の周りが中に入りきれない人であふれかえっていたんです。その時、私もこんなに大勢の人に慕われる存在になりたいと思ったのが、助産師を目指すきっかけ。後に私の母もその産婆さんに世話になったことを知り、思いはさらに強くなりました」
成瀬さんは旭川の高校を卒業後、滝川の高等看護学院に進学。そこで助産師を目指すために不可欠な看護師の資格を取得します。さらにそこから一年ほど看護師を経験し、今度は助産師になるための知識を養うために東京の大学に入学。
「そこを卒業し国家試験にパスして、念願の助産師の資格を得たんです」
生命を扱う尊い仕事、
経験と知識を存分に蓄えました。
ようやく手にした助産師の資格。ではそこからすぐに助産院を開設したの?
「とんでもない!助産師はお母さんと赤ちゃんの生命をも預かる大変な仕事。免状を持ったからといってすぐに独立開業できるほど、甘い世界ではないんです」
大学卒業後、成瀬さんは滝川の病院で3年ほど助産師として勤務し、その後より大きな舞台で多彩な経験を積もうと、帯広の総合病院へ転職します。
「来院する妊婦さん自体の数も多く、また早産や病気を患いながらの妊娠など他の医療機関から搬送されてくる方もいました。さらに医師や看護師、薬剤師などと医療チームを編成するなど、貴重な経験を積むことができました」
さらに将来的な開業も見すえ、(社)日本助産師会が開業助産師を目指す人のために開催した1年間の長期研修を受講。30歳の境目の年に、知人の紹介を通して知った釧路の助産院「マタニティ・アイ」に転職し、そこから20余年地元に密着した助産師として、多くのお産を取り扱ってきたのです。
「勤務当初は従業員でしたが、平成17年に先代院長がリタイヤしたのを機に、私が継承させていただくことになりました」
現在は看護師や調理担当など十数名のスタッフとチームを組み、妊婦さんや新生児のケアに全力で取り組んでいます。
妊婦を決して一人にさせない、
心に寄り添うのが助産師の使命。
ふと疑問が湧いてきました。共にお産を扱う開業助産師と産婦人科医、その違いは何でしょう?
「まず知ってほしいのは、妊娠や出産は病気ではないということ。基本的に医療行為ができない助産師でも、分娩(ぶんべん)を取り扱うことができるのはそのためです。逆に言えば妊婦に疾患がある場合、基本的に助産師は対処できません(緊急時や嘱託医との連携がある場合を除く)」
そのほか開業助産師は妊娠初期から産後まで健診などを行いますが、産婦人科医が対応するのは出産の前後の短時間。産婦人科医は陣痛促進剤を使ったり帝王切開など医療介入も可能ですが、助産師はあくまでも自然分娩を優先します。
「妊婦さんお体はもちろん心までしっかり支えたい、出産の辛さも母となる不安も喜びもすべて共有してあげたいというのが助産師の基本的な姿勢です。こういう同性ならではのデリケートな配慮が必要とされることもあり、助産師になれるのは女性だけ。助産師は数ある国家資格の中で唯一男性が就けない仕事でもあるのです」
女性の慈愛が支える
女性だけに許された仕事なんです。
これまで二千人を超える赤ちゃんを取り上げてきた成瀬さん。
「その一人ひとりに思い出がありますね。最近はお母さんが自分を産んでくれた助産院で私も生みたいと来院する妊婦さんもいらっしゃいます。うれしいですね」
妊娠を知った瞬間、赤ちゃんが産声をあげる瞬間、家族が赤ちゃんを初めて抱いた瞬間…そんな感動的な場面を目の当たりにできる助産師という仕事。やりがいも喜びも大きそう。
「妊娠や出産は、女性や家族の人生の中でも大きな節目になる出来事。そのドラマに携わったり心の支えになれるのは大きな喜びであり、誇りでもあります。一つの命が誕生する度に、この職業に就いた幸運を実感します」
実は助産院での出生数は日本の出産数のわずか0.1%。助産院の数も年々減少しているとか。「病院と助産院、そこに優劣はありません。ただ助産師は、女性の慈愛が支える尊い職業であるのは事実。この仕事の灯は決して消えてほしくないですね」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

新しい命と対面する度に、心の中でこの感謝の言葉を繰り返しています。赤ちゃんは家族の幸せそのもの。その場面に立ち会える助産師って、本当に素敵な仕事だと感じています。

助産院 マタニティアイ

妊娠から出産はもちろん産後まで、妊婦さんとその家族を細やかに末永くサポートする助産院。近年はヨガ教室やマタニティランチなど新しいサービスも提供している。

住所
北海道釧路郡釧路町曙1丁目1-14
TEL
0154-37-2110
URL
http://ma-i946.com/

お仕事データ

妊婦の健康と育児をサポート!
助産師
助産師とは
産前から産後、心のケアまで、
幅広く母子とその家族を支える専門家。

助産師といえば、お産に立ち会って赤ちゃんを取り上げるイメージ。ところが、実際の仕事内容はもっと幅広く、妊娠時の生活指導や食事指導、妊婦健診の補助、産後の母子の体調管理、母乳指導、新生児指導などさまざまです。産前から産後まで母子とその家族に寄り添い、きめ細かなサポートをするのが助産師といえます。出産や育児を迎える女性の不安や悩みを共有し、支えてくれる存在として重要視されている職業です。また、若年層への性教育指導、成人への家族計画指導、出産を終えた女性、更年期の心と身体に関するアドバイスなどの役割も助産師に求められています。助産師は、女性の一生にかかわる新たな役割を担う存在として、幅広い活躍を期待されているのです。

助産師に向いてる人って?
命を預かる強い責任感を持ち、
精神的にも体力的にもタフな人。

「赤ちゃんが好き」な気持ちだけでなく、母子の命を預かるという強い責任感が必要な仕事。人が誕生する瞬間は幸せな場面ばかりとは限らず、辛いことや悲しいことに直面することもあるため、精神的にタフでなければなりません。長時間の出産に立ち会ったり、夜勤で出産介助をしたりすることから、体力も求められる仕事です。妊娠中の女性の心を理解し、安心感を与えられるような包容力がある人も向いているでしょう。

助産師になるためには

助産師になるためには、「助産師国家試験」に合格する必要があります。その試験を受けるにはまず看護師資格を取得しておかなければなりません。一般的には大学や短大、専門学校の「看護師養成課程」を卒業し、看護師資格を取得した後に1年制の「助産師養成所」に通って助産師資格の取得を目指します。一部の4年制大学では看護師と助産師の資格を両方取得できる課程も用意。また、男性の産婦人科医はいますが、助産師になれるのは女性のみです。

※助産師国家試験については、詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。http://www.mhlw.go.jp/

ワンポイントアドバイス
産後ケアや育児相談、心のケアなどの
ニーズが高まっています。

助産師が働く場所として多いのは総合病院の産婦人科やクリニック。助産師は母子ともに問題のない「正常分娩」しか分娩介助を行うことができないため、帝王切開などを行う「異常分娩」の場合は産婦人科医が必要です。独立して助産院を開設することはできますが、産婦人科医師が在籍し救急対応ができる連携医療機関と嘱託契約をし、困難な出産や問題がある場合、緊急時などは医療機関へ紹介します。近年は産後ケアや育児相談、不妊治療後の心身のケアなど、新たにニーズが高まっている分野もあるため、活躍の場は以前よりも広がっているといえるでしょう。