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清野 鈴菜さん
インタビュー公開日:2022.12.05

じっくりと子どもと接する場を求め、
6年間の経験をもとに新たな環境へ。
子どもたちは、静かにお昼寝中。少しホッとした空気のなか、隣の教室でその寝顔を見ながらほかの先生たちと情報交換をする清野鈴菜さんが「山の手あすみ保育園」に転職してきたのは2021年のこと。
「それまでは6年間、たくさんの子どもたちが通う園で保育士をしていましたが、少人数の環境で、もっとじっくり子どもたちと接する経験もしてみたいと思うようになったんです。今は担任として14名の年長さん(5歳児)を受け持っています」
以前、勤めていたのは、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園。もともとは保育園で、清野さんが入職5年目の時に認定こども園となり、保育士でもあり、バスでの送迎も行うこともある幼稚園教諭のような立場で、日々、さまざまな子どもたちと過ごしていたそうです。
「保護者の方々ともより密に関わり、就学前の不安にも寄り添うなど、手厚い対応をしたいという願いもありました」
そう話しながら、さりげなく子どもたちの様子をのぞきこむ清野さんです。
子どもたちと触れ合う楽しさを知り、
商業科から保育の分野へ方向転換。
高校の商業科で学び、一般企業への就職を考えていた清野さんですが、やがて、子どもと関われる仕事への興味が湧いていきます。
「4歳下の妹の面倒をみることが楽しかったという記憶が残るなか、高校の選択授業で保育園を訪ねたり、図書館での読み聞かせのボランティアを通して、子どもたちと触れ合う楽しさを感じたんです」
保育の分野を学んでみたい。そう考えて専門学校に進み、保育士と幼稚園教諭の資格を取得します。学校から紹介され、最初に勤めたのが前職の認定こども園。乳児・幼児を合わせた園児は260名以上という大きな施設で、毎日、とても賑やかだったそうです。
「その環境も、とても楽しいと感じていました。たくさんの子どもたちと触れ合い、さまざまな課題も乗り越えながらの6年間。スキルもある程度、身に付けることができ、自信も持てるようになってきたなか、新しい環境で挑戦してみたいと思ったことも、転職を決めた理由でした」
自分自身の将来も、考えるきっかけにしたかったと話します。
行事や体力づくりを大切にする園。
やりたいことを、させてあげたい!
今の園での研修期間。清野さんは、ちょうど行われていたお誕生会に感動したそうです。
「とにかく、すごく楽しかったんです。先生が変身して出てくるなど驚きがあって、演出のクオリティが高くて。子どもたちの思い出、学びになる行事を大切にしていることがわかり、うれしくて私も踊りました(笑)」
日々の活動では、運動遊びに力を入れているという「山の手あすみ保育園」。少し離れた公園まで散歩に出かけたり、近くにある三角山や円山で登山をしたり、お泊まり会でキャンプをしたり。子どもたちは元気いっぱいです。
「『健やかな心と体を持つ子』という保育目標に基づいて、体力面の強化に力を入れている園です。準備が必要ですし、子どもたちにケガなどがないよう気を使う部分もありますが、キャンプやアウトドアが好きなので、私が一番、楽しんでいるかもしれません」
入職からまだ2年目ですが、子どもたちと落ち着いて向き合うことができていると話す清野さん。子どもたちがやりたいと思うことを、できるだけさせてあげたいと笑顔を見せます。
子どもの情報を共有するとともに
保護者の方々とも正面から向き合う。
子どもたちは一人ひとり個性を持っています。そのため、各人に合わせて対応の仕方や距離感をアレンジする必要があります。そこが保育の仕事の難しさなのだと清野さん。
「なかには、手厚く見守る必要のある子がいます。そうした情報はほかの先生たちとも共有し、どこまで見守るか、どこから声をかけるかといった見極めのラインを共有し、園全体で対応できるよう、心がけています」
同園では、異なるクラスが一緒に散歩に行くなどして受け持ち以外の子どもたちを知る機会を設けているほか、2歳から5歳までがワンフロアで過ごす教室もあり、異年齢での交流も行われているそうです。
「保護者の方との情報共有も大切です。良い関係を築き、『預けてよかった』と思っていただけるよう、何か問題が起きてもしっかりと正面から向き合い、意見交換を常に行っています」
目の前の子どもたちだけでなく、各家庭の思いや、生活の様子にも心を向ける。清野さんが大切にしている姿勢です。
子どもの成長を間近で見られる喜び。
一人ひとりを理解することを大切に。
就学前の子どもたちは、ぐんぐん成長します。あっという間に背が伸び、少し前はできなかったことが、できるようになっていきます。
「その変化を目の当たりにし、無事に卒園の日を迎えた姿が見られることに、何よりの喜びと、やりがいを感じます」
つい最近も、成長を実感させてくれる出来事がありました。発表会の練習に集中できず、ふざけてばかりいたある子が、一転して真剣に練習に取り組むようになったのだそうです。
「何度も声がけや、お話をしたのですが、切替えができず……。そんな子がある日、『先生、ごめんね。次は頑張るから』って。変わってくれたんだ!と、うれしくなりました」
保護者の方にも状況をしっかりと伝え、家庭でもフォローしてもらえたことで変わることができたのだと清野さん。
「年長だからできるでしょと、私は言いたくないんです。それぞれ、できないことだってあります。一人ひとりのことを理解して、成長を支えていけるようになりたいです」
そう話ながら、そろそろ起き始めた子どもたちに、やさしく声をかけています。
シゴトのフカボリ
保育士の一日
7:00
出勤、早朝預かりの受け入れ準備、おもちゃの用意など
9:30
クラスでご挨拶、朝の会
10:00
戸外遊び、室内遊び
11:30
昼食
13:00
子どもたちがお昼寝中、職員の打ち合わせなど
15:00
おやつの時間
16:00
自由遊び、お迎えの受け入れ

*7:00出勤のシフトでは、保育士さんは13:30までの勤務となっています。出勤の遅いシフトも何パターンかあります。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

子どもたちの成長にとって、大切な保育園の時間。一人ひとりと真剣に向き合い、一生懸命関わることで、記憶のどこかに、いい思い出として刻まれるような存在になれればうれしいですね。

社会福祉法人 緑伸会

2018年に設立し、山の手あすみ保育園・平和あすみ保育園のほか、障がい福祉事業所、児童自立援助ホームなどを運営している法人です。

住所
北海道札幌市中央区大通西10丁目4番地 ダンロップSKビル3F
TEL
011-261-1313
URL
https://ryoku-sin.or.jp/index.html

お仕事データ

「愛おしさ」を仕事に!
保育士
保育士とは
子どものお世話をしながら、
社会生活に必要なことを教えます。

保護者に代わって子どもたちのお世話をするのが保育士。主な職場は保育所ですが、乳児院や児童養護施設、知的障がい者施設などで働く人もいます。単に子どもを預かるだけではなく、ご飯の食べ方やトイレの仕方など基本的な生活習慣を身につけさせたり、集団生活の大切さを伝えたり、社会で暮らしていくために必要なことを教えるのも役割です。預かっている子どもの保護者から、子どものしつけ方や育児の相談にのることもあります。

保育士に向いてる人って?
子どもとコミュニケーションが好きな人。

「子どもが好き!」という気持ちを抱いていることは大前提。ただし、それだけではなく子どもの年齢によって時には厳しく自立を促したり、保護者と円滑な連携をとって愛情の深い親子関係を生み出したり、ケースに応じたコミュニケーション能力も必要です。また、力仕事も少なくないため、体力に自信があることは強みになります。

保育士になるためには

厚生労働大臣指定の保育士を養成する大学や短大、専門学校などで一定の科目を履修して卒業するのが一般的。養成施設に通う他には、保育士試験を受験して合格するという道のりもあります。いずれも保育士の資格取得後には保育士登録の手続きが必要です。

必要な資格
 ・保育士(国家資格)

資格取得の方法
 ・保育士養成の大学や短大、専門学校などを卒業

保育士試験を受ける場合の受験資格
 ・一般の大学や短大などを卒業
 ・高校卒業後、児童福祉施設で2年以上の実務を経験
 ・中学卒業後、児童福祉施設で5年以上の実務を経験

※この他にも保育士試験の受験資格を得る方法があります。詳しくは全国保育士養成協議会のホームページ(http://www.hoyokyo.or.jp/)などをご確認ください。

ワンポイントアドバイス
保育士と幼稚園の先生の違い。

保育士と幼稚園の先生は子どもに関わるシゴトの代表各。一見すると似ているように思えますが、保育所は厚生労働省が管轄する「児童福祉施設」に対して、幼稚園は文部科学省の「学校施設」なのです。保育士は保護者の代わりに子どもを保育するのがメインで、幼稚園の先生は幼稚園教諭の資格が必要な教育者。とはいえ、最近は「幼保一元化」として保育所と幼稚園が連携する他、二つの資格を取れる学校も増えてきているようです。