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荒関 麻美さん
インタビュー公開日:2018.04.16

大学時代のボランティアで知った
病棟保育という仕事。
中学生の頃から漠然と「保育」の道に進みたいと考えていたという荒関さん。
「高校卒業時に短大に進むか四年制の大学に進むか迷いましたが、幼児教育や保育に関する知識を深めたいという思いが勝り、藤女子大学の人間生活部保育部に進学しました」
大学2年のときボランティアでさまざまな保育園などを訪ねる中、たまたま足を運んだのがとある病院のプレイルーム。
「病気や障がいを抱えながらも懸命に生きている姿や、私が来るのを待ち望んでいる様を見ているうちに、子どもたちにより深く接することができる病棟保育士という仕事に魅力を感じるようになったんです」
医師や看護師と連携し介助や
看護の補佐にも取り組みます。
一般的な保育士は小学校に入学する前の子どもの保育を担当しますが、病棟保育士が向き合うのは、入院している0〜15歳(病院によっては18歳)くらいの子どもたち。
「プレイルームなどで遊びや会話の機会を提供したり、病状や発達に合わせた読み聞かせ・軽い運動など、子どもたちの心身のケアを行うのが主な仕事です」
時にはお医者さんや看護師さんと連携し、子どもたちの食事や排泄の介助や看護の補佐的な役割をすることも。
「私たちが治療や看護行為をすることはありませんが、それらがスムーズに運ぶよう細かな気遣いは必要になります」
また入院が長期にわたる子どももいるため、ご家族の不安や相談に応えたり、積極的なケアに取り組むのも病棟保育士の大切な仕事です。
医療や看護に対する知識は
働きながら学んでいきます。
あまり耳慣れない病棟保育士という仕事。何か特別な資格が必要な気もしますが、荒関さんは首を横に振ります。
「必要なのは保育士の資格だけ。病棟勤務だからといって特別な資格は必要ありません」
ただし、担当する子どもの病気に対する理解や適度な知識は不可欠。
「なので仕事を始めてから学ぶことが多いのは事実。医師や看護師の皆さんに医療や看護について教えていただいたり、医療保育士の研修会に参加するなど、自身のスキルを高めていくよう努力しています」
退院するときに見せてくれる
子どもの笑顔がやりがいです。
大学を卒業してから十数年、荒関さんは病棟保育士の仕事一筋です。
「私が担当している病棟は、急性期(症状が急激に現れる時期のこと。病気になり始めの時期)の子どもが多いんです。ぐったりした状態で運ばれてきたり、具合の悪そうな子どもたちを目にすると、気持ちが塞いでしまうこともあります。けれど私のささやかな取り組みで、その子が笑顔を見せてくれたり、元気を取り戻してくれると心底うれしいもの。愛おしさで胸が一杯になります」
中でも一番感激するのは、病院で一緒に時を過ごした子どもが退院するとき。
「いろんな思いが去来し、感極まって泣いてしまうことも。この仕事に就いてよかったと感じる瞬間ですね」
病院や子どもたちの症状で
変わる病棟保育の仕事。
病棟保育士の仕事は、各々の病院の受け入れ体制や入院している子どもの病状によってさまざまだそう。
「私の職場のように急性期の子どもが中心の病棟もあれば、長期入院の子どもや難病を抱えている子どもと向き合う病棟保育士もいます」
このためこの職業を目指す方は、自分がどんな病棟で働きたいか、どんな子どもの保育を担当したいかを考えることも大切なのだそう。
「そのためには学生時代に私のようにボランティアや病院見学などで、実際の職場の様子をぜひご覧になってほしいと思いますね」
シゴトのフカボリ
病棟保育士の一日
8:00
出勤
9:00
子どもたちの病室訪問
11:00
プレイルーム遊び
12:00
食事介助 自分もランチ
13:00
プレイルーム遊び
15:00
看護師さんとのミーティング
16:00
入浴介助、病室訪問
18:00
退勤

医療法人 徳洲会 札幌徳洲会病院

「生命を安心して預けられる病院」「健康と生活を守る病院」を理念に質の高い医療を提供している。入院中の子どもたちを対象とした医療保育にも積極的。

住所
北海道札幌市厚別区大谷地東1丁目1-1
TEL
011-890-1110
URL
http://www2.satutoku.jp/

お仕事データ

「愛おしさ」を仕事に!
保育士
保育士とは
子どものお世話をしながら、
社会生活に必要なことを教えます。

保護者に代わって子どもたちのお世話をするのが保育士。主な職場は保育所ですが、乳児院や児童養護施設、知的障がい者施設などで働く人もいます。単に子どもを預かるだけではなく、ご飯の食べ方やトイレの仕方など基本的な生活習慣を身につけさせたり、集団生活の大切さを伝えたり、社会で暮らしていくために必要なことを教えるのも役割です。預かっている子どもの保護者から、子どものしつけ方や育児の相談にのることもあります。

保育士に向いてる人って?
子どもとコミュニケーションが好きな人。

「子どもが好き!」という気持ちを抱いていることは大前提。ただし、それだけではなく子どもの年齢によって時には厳しく自立を促したり、保護者と円滑な連携をとって愛情の深い親子関係を生み出したり、ケースに応じたコミュニケーション能力も必要です。また、力仕事も少なくないため、体力に自信があることは強みになります。

保育士になるためには

厚生労働大臣指定の保育士を養成する大学や短大、専門学校などで一定の科目を履修して卒業するのが一般的。養成施設に通う他には、保育士試験を受験して合格するという道のりもあります。いずれも保育士の資格取得後には保育士登録の手続きが必要です。

必要な資格
 ・保育士(国家資格)

資格取得の方法
 ・保育士養成の大学や短大、専門学校などを卒業

保育士試験を受ける場合の受験資格
 ・一般の大学や短大などを卒業
 ・高校卒業後、児童福祉施設で2年以上の実務を経験
 ・中学卒業後、児童福祉施設で5年以上の実務を経験

※この他にも保育士試験の受験資格を得る方法があります。詳しくは全国保育士養成協議会のホームページ(http://www.hoyokyo.or.jp/)などをご確認ください。

ワンポイントアドバイス
保育士と幼稚園の先生の違い。

保育士と幼稚園の先生は子どもに関わるシゴトの代表各。一見すると似ているように思えますが、保育所は厚生労働省が管轄する「児童福祉施設」に対して、幼稚園は文部科学省の「学校施設」なのです。保育士は保護者の代わりに子どもを保育するのがメインで、幼稚園の先生は幼稚園教諭の資格が必要な教育者。とはいえ、最近は「幼保一元化」として保育所と幼稚園が連携する他、二つの資格を取れる学校も増えてきているようです。

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