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吉村 美悠さん
インタビュー公開日:2024.08.07

美しい坂の風景を目の前にする職場。
国際交流をはじめとする活動を展開。
かつて、函館八幡宮があったことから、その名前がついたという八幡坂。函館の観光エリア・西部地区の一角を占める元町にあり、一直線に海を見下ろす美しい景観に、思わず見とれてしまいます。
「函館のなかでも、一番賑やかなスポットですね。国内外からの旅行者の方々が、散策を楽しんでいます。ほら、目の前に見えるのが函館ハリストス正教会です」
すてきな眺めでしょうと、笑みを浮かべて話してくれたのは吉村美悠さん。この坂に面した一般財団法人北海道国際交流センターが勤務先です。毎日この風景のなかにいられるのは、うらやましい気がします。
「現在、私は、総務系の仕事を中心とした事務業務と、年間を通して実施しているイベントの企画・運営を担当しています。職員のフォローと財団の活動のサポートを行うバックヤードといってもいいかもしれません」
同財団は、留学生を一般家庭にホームステイさせ、本当の日本の姿を知ってもらうという活動をきっかけに、ボランティア団体として立ち上がった組織です。「国際交流のつどい」というホームステイプログラムのほか、生活就労サポート、生活困窮者学習支援、子ども食堂等々、幅広い社会活動を行っています。
ホームステイでリアルな日本を知る、
留学生向けプログラムを担当。
「日本の大学・専門学校、日本語学校に在籍して学んでいる留学生は、学校と宿舎を往復し、時折旅行をする程度で帰国してしまいます。国際交流のつどいの目的は、そんな留学生に日本の家庭に入ってもらい、日本の暮らしに触れて、リアルな日本を伝えることです」
そう話す吉村さんも、2015年に入職して7年間ほど、同財団の活動を代表する、このプログラムを担当していました。
「2泊3日程度から、長いものだと2カ月に及ぶプログラムもあります。当時、私が担当していたのは、10日間前後のホームステイ。留学生受け入れの準備から、ホームステイ先を募ってくれる行政機関との調整、プログラムの内容の策定までを担いました。アジア圏からの留学生が多かったですね」
2022年に出産し、産休・育休後は、無理のない業務からという配慮もあり、事務業務をメインとしていますが、それまでは夏・冬に実施する国際交流のつどいの準備で走り回りつつ、週末には財団が主催するSDGs関連のイベントや、子ども食堂の運営などにも加わっていたという吉村さん。きゃしゃな雰囲気ですが、とってもタフで行動的です。
英語を活かせる車内販売の接客で、
コミュニケーションの楽しさを知る。
函館生まれ、函館育ちの吉村さん。得意な英語を活かしたいと考え、高校は英語科で学び、道外の短大の英文学科に進みます。具体的ではなかったそうですが、英語を使う機会のある仕事を目指すなか、吉村さんが選んだのは鉄道の車内販売業務でした。
「JR東日本の関連会社で、東京と成田空港を結ぶ特急列車の車内販売でした。実際に、外国人のお客様も多く、英語が役立つ場面も少なくありませんでした。子どものころは、どちらかといえば恥ずかしがり屋でしたが、その仕事を通して人とコミュニケーションを取ることが楽しくなりましたね」
一方、仕事は充実していたものの、乗り物酔いを克服できず、やむなく退職。その後、アルバイトで働いたのが、友人が職員として勤務していた中央官庁。事務系の業務を経験します。
「車内販売での接客経験しかなかったので、事務業務もできるようになりたい、と思ったこともアルバイトをした理由でした。補助的な業務が中心でしたが、総務系の仕事にも触れることができ、今となってはその経験も役立っています」
そう振り返る吉村さんですが、東京での暮らしを通して「自分には北海道の空気が合っている」と肌で感じて函館に戻ってきました。
国際交流に関する活動だけでなく、
幅広い業務に携われるという魅力。
「函館に戻ってからは4年間ほど、同じ西部地区にあるカフェで働いた後、当財団と出会い、入職を決めました。設立から40年以上になる組織ですが、地元にいた時もその存在を知らず、お話をうかがい、国際交流を柱とする活動を行っているということに興味を覚えたんです」
業務のなかで英語を活かせる場面が多くあることも、もちろん、大きな理由だったと吉村さん。とはいえ、英語のレベルには逆に不安があったそうですが、人材育成や環境保護活動の情報発信など、幅広い業務があることの魅力が勝ったのだと話します。
「国際交流のつどいでは、英語を使う場面も少なくありませんが、それ以外にも様々な活動があり、関わっていくと新たな興味や好奇心が湧いてきて。それがとても楽しいですね」
今は総務の役割のひとつである、職員の健康や働きやすい職場環境づくりを支える吉村さんですが、必要に応じて予定していた仕事の順序を入れ替えるなど臨機応変に業務スケジュールを組み直し、状況に応じて活動のヘルプに入ることもあるそうです。「忙しいけれど、いろいろなことができるので飽きないんです」と、いたずらっぽく笑います。
別れを惜しむ姿に思わずもらい泣き。
総務系の仕事も突き詰めていきたい。
国際交流のつどいでは、最初は緊張ぎみだった留学生も、ホストファミリーで楽しい時間を過ごし、帰っていく時には空港で別れを惜しんで涙を流す。そんな場面を目にすると、大きなやりがいを感じたと吉村さん。
「サポート役の私も、思わずもらい泣きするほど感動があります。協力してくれるホストファミリーの方々も情が移って涙を見せるんです。留学生にはこの経験を通して函館を、そして日本を好きになってほしいと願っています」
今はそうした活動を担う職員一人ひとりのことを理解し、それぞれに合わせた情報の伝え方を工夫するなどして、間違いのない伝達と気持ちよく働ける職場づくりに貢献していくとともに、子育てが落ち着いたら、またプログラムも担当してみたいと話します。ご両親の協力も得ながら、土曜日のイベントなども時々、手伝うようになっているそうです。
「もっといろいろなことをやってみたいのですが、同時に、せっかく担当した総務系の仕事を突き詰め、『私が総務です』と自信を持って言えるようになりたいですね」留学生に好きになってほしい、地元・函館。その魅力を自らも再認識している吉村さんです。それにしてもこの辺り、美しいロケーションです。
シゴトのフカボリ
総務系事務職の一日
9:00
出勤・朝礼
9:15
メールチェック、事務所内備品チェック
10:00
電話・来客対応、事務作業、打ち合わせ
12:00
昼休憩
13:00
郵便物チェック
13:15
電話・来客対応、事務作業、打ち合わせ
16:00
事務所内整理など
17:30
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
スマートウォッチ
携帯電話を持ち歩かなくてよく、物を減らせるところにメリットを感じています(いろいろと、持ち物が多いので)。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

働いていると、大変なこともありますが、そんななかでも、楽しんで働くことができれば最高だと思っています。みなさんも社会に出たら、仕事のなかに楽しさを見つけて、元気に頑張りましょう!

一般財団法人 北海道国際交流センター

1979年に、16名の留学生を七飯町にホームステイさせたことをきっかけに立ち上がった団体。国際交流事業を柱に、多岐にわたる事業を行っています。

住所
北海道函館市元町14-1
TEL
0138-22-0770
URL
https://www.hif.or.jp

お仕事データ

営利を第一にしないシゴト。
団体職員
団体職員とは
公益性の高い事業に携わり、
広く社会に貢献する職業。

団体職員という名称は法律で定められた定義はなく、「営利を第一に追求せず」に公共のための事業や公益性の高い仕事に従事する人を指す通称。一般には企業や公務員以外の非営利団体で働く人をいいます。活躍の場は芸術施設を運営する財団法人や環境整備を担う団体、防災コミュニティネットワークなどのNPO法人、JAや生活協同組合など、幅広い組織。総務や広報、施設運営など所属団体によって仕事内容はさまざまですが、いずれも広く社会に貢献するという手応えを得られます。

団体職員に向いてる人って?
社会のために働く意欲があり、
細かな確認作業や接客が得意な人。

団体職員の多くが公益事業に関わる仕事をすることになるため、人や社会のために働きたいという意欲がある人に向いています。また、団体職員が担う仕事には、事務作業も少なくないため、PCの操作や確認作業が得意な人は馴染みやすいでしょう。所属によっては接客をすることもあり、コミュニケーション能力のある親しみやすい人柄が求められることもあります。

団体職員になるためには

団体職員になるためには、一般企業と同じように、高校や専門学校、短大、大学などを卒業後、求人情報を出している団体に応募するのが一般的です。団体の中には、学歴や年齢制限、特別なスキルや資格、ある程度の職務経歴を求められるケースもあるので、まずは就職を希望する団体の募集状況をチェックしてみましょう。

ワンポイントアドバイス
景気に左右されにくい、
安定性がある仕事!

団体職員は「準公務員」ともいわれ、事業の公共性が高いという点は公務員と共通しています。そのため、景気の悪化などの影響を受けにくく、安定して働くことができるところもメリットです。非営利組織や団体は日本全国にあるので、仕事に安定性を求める場合は選択肢の一つとしてオススメできます。