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小野 渉さん
インタビュー公開日:2024.08.09

利便性の高い立地と早朝からの診療。
「患者さんファースト」を実践する。
「日本人は、血糖値を一定に保つインスリンというホルモンの分泌が少ない人が多く、そのため糖尿病になる割合が、比較的高いんですよ」
柔らかな物腰、そして語り口でそう説明してくれるのは、「小野百合内科クリニック」の院長小野渉先生。このクリニックでは内科を専門とし、特に糖尿病、生活習慣病、甲状腺疾患などを主に診療しています。JR・地下鉄駅から近いビルの7階にあり、アクセスの良さも特徴です。​​
「朝8時から診察を開始し、土曜日も午前中は患者さんを診ています。受付・採血は7時45分から実施し、8時には血糖管理の指標となるHbA1cという値の結果を示し、診察に入ることができます」
オフィスビルや官庁の施設が多い場所にあるため、出勤前に診察を受けられるように工夫されています。また、予約による診察では、事前に必要な採血の項目を把握して診察の効率化を図り、15分程度で迅速に検査結果を表示できる機器を導入するなど、まさに「患者さんファースト」の診察と処置を実践しています。
お母さまの跡を継いで、院長に。
残したクリニック名に込めた思い。
実はここ、小野院長のお母さまが20年にわたって診療を行ってきたクリニックなのです。
内科の勤務医として働き、その後クリニックを開業した母親の姿を幼い頃から見るうちに、ごく自然に医師を目指すようになったという小野先生。事業を継承するかどうかは考えていなかったそうですが、2年前にお母さまが急逝してしまいます。
「母が亡くなって3日目には、院長に就き、診察を始めていました。代診で週1回程度、診察にきていたこともあり、クリニックの運営の流れがわかっていたのもすぐに始められた理由です。そして、母が取り組んできたことを引き継ぎたいという思いとともに、長年、来院されていた患者さんの信頼に、今度は私が応えたいと考え、母の名前を冠したクリニックの名を残しました」
急性期の医師を目指し、救急の現場を経験するうちに、患者さんには糖尿病や生活習慣病のある人が多いことに気づいたという小野先生。それが、お母さまと同じ糖尿病を専門にしようと決めた理由だったのだそうです。
診察はおおむね1時間以内に終了。
ビジネス街のニーズに応える体制。
新たに院長としてスタートを切るなかで考えたことが、札幌の中心部にあるという立地のメリットをさらに活かせるよう、以前にも増してビジネスの最前線にいる人たちにとっての利便性を高めることだったと小野先生。
「おおむね1時間以内に診察を終らせるようにする、というのがその一つ。待ち時間に2、3時間もかかってしまうと、オフィス街ではそもそも受診することができませんからね」
インスリンを出す力が弱かったり、出なくなってしまう1型糖尿病の患者さんの血糖を24時間測れるデバイスをいち早く取り入れてより効果的な治療に結びつけるなど、常に最新の医療に取り組んでいることも特徴です。
「1型糖尿病の血糖を測れるデバイスは、まだ新しい機器で、他のクリニックにはあまり導入されてません。もっとも、それは新しいから、というだけでなく、いかに患者さんの役に立てるかを考えた結果です。今後も世界の医療の動向に注目していくつもりです」
糖尿病は、多くが一生の付き合いになる病気です。それだけに、患者さんのQOL(生活の質)を、いかに医療のなかで高められるかが重要なのだと語ります。そのためには、一人ひとりの生活にある程度深く関わっていく必要があるのだそうです。
病気を診て治療を行うだけでなく、
患者さんの生活に踏み込んでいく。
「糖尿病をはじめ、内科系の病気は生活パターンの変化によっても影響されることがあります。そのため、進学や就職、結婚・出産など生活環境が変わるタイミングで、治療の方針を見直さなければならないこともあります。そうした時には、その人の生活にもっと深く関わることが必要になるんです」
その患者さんは、どんな生活をしているのか。どのような思いを抱えているか。そうしたことが治療に関わる場合もあることから、一歩その人の生活に踏み込んで、理解していく必要があるのだといいます。
「患者さんとの信頼関係がなければ、それはできません。まずは、患者さん自身に興味を持ってしっかり話を聞き、それを受け止めて理解する。検査の結果をもとに病気を診るだけでなく、その患者さんの背景を見るといってもいいかもしれません」
そうしたアプローチは、医師自身が多様な経験をして視野を広げなければ難しいとも話す小野院長。医師以外の友人を作ることを心がけ、スポーツや地域のお祭りなどにも積極的に出かけています。的確な治療のためにデバイスを導入したという1型糖尿病は生まれつきというケースも多く、そうした子どもたちが糖尿病の知識、自己管理の技術などを学ぶ「小児糖尿病サマーキャンプ」などの活動にも参加しているそうです。
ブログで医療情報などを積極発信。
新しいことに率先して取り組みたい。
「クリニックには、急性期の治療が終わり、総合病院などを退院した患者さんを診るという重要な役割があります。同時に、眼科や整形外科、呼吸器科、心療内科などの提携病院と連携し、疾患に応じて紹介し合うことで、総合病院のような役割も果たせると考えています​​。大切なのは横の連携です」
ストレスの多い現代。3人に1人は、うつ症状を抱えているとも言われています。一方で精神科は受診のハードルは高いと感じる人も多いです。そこで、「誰でもなり得る病気ですよ」と説明し、安心してもらい、心療内科などへの紹介を行って、受診しやすくする役割も果たしたいと考えています。
「ブログでの情報発信にも力を入れています。医療の話をわかりやすく解説したり、趣味の料理を活かし、夏のスタミナメニューなどレシピ紹介もしています。実際につくったという患者さんから『おいしかったよ』と言っていただいた時はうれしかったですね」
糖尿病には「だらしない食生活を送っているからなる」というイメージがありますが、実は遺伝的な要素が大きい病気です。​​SNSも積極的に使って、そうしたイメージの払拭にもひと役買いたいと話す小野先生。「開業医としては若手なので、新しいことに率先して取り組みたい」。優しい笑顔に、情熱が見え隠れします。
シゴトのフカボリ
内科医師の一日
7:30
出勤、その日の予約などの予習
8:00
診察開始
12:30
昼休憩
14:00
午後の診察
16:00
診察終了、翌日の予習
17:00
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
聴診器
内科医は、「聴診に始まり、聴診に終わる」とよく言われます。医療技術が進んでも、直接、患者さんの「身体の声」を聴く聴診は欠かせません。クリアに聞こえる、最上級クラスの聴診器を大切に使っています。まさにこれが、私の生命線です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

医師の仕事は病気を診て治療を行うことですが、目の前にいるのは一人の人間です。患者さん一人ひとりと真剣に向き合い、不安や苦痛を少しでも和らげるよう、常に真心をもって診察に臨んでいます。

小野百合内科クリニック

2022年、母親である前院長から引き継ぎ、新たに開業。患者さんの利便性を第一に、最新機器を駆使し、迅速な診察を実践しています。

住所
北海道札幌市北1条西3丁目 札幌北1条駅前通りビル7F
TEL
011-223-5152
URL
https://onoyuri-clinic.jp

お仕事データ

医療で人を支え、医療の未来を開く!
医師
医師とは
患者さんと向き合う臨床医と、
未来の医療に役立つ研究医。

医師は大きく「臨床医」と「研究医」に分かれます。臨床医はふだん私たちが病院やクリニックで接する「お医者さん」。患者さんから症状をヒアリングした上で、心音や体温、皮膚の状態などから不調の原因を探ります。症状に合わせて注射や点滴の指示をしたり、薬の処方をしたりするなど治療や回復を促すのが主な仕事です。精密検査や手術は設備の整った病院でしかできないことが多いので、大学病院などに紹介状を書くことも。大きな病院では「内科」「外科」「耳鼻科」「眼科」「産婦人科」「小児科」などの各科で専門の医師が治療を行います。研究医は、原因や治療法が確立されていない病気を解明するために、大学や病院で研究を専門にしている医師です。

医師に向いてる人って?
病気やケガを治したいという使命感と、
安心を届けられる思いやりが大切。

人の命を預かり、病気やケガを治したいという大きな使命感を抱いていることが大前提。医療の世界は新薬や手術方法などが日々進化しているため、向上心を持って勉強できる人も向いているでしょう。質の高い医療を届けるためには、看護師や診療をサポートする専門スタッフとの協力が不可欠。コミュニケーションとチームワークも大切です。また、患者さんやご家族に安心してもらえる思いやりも求められます。

医師になるためには

医師として働くには国家資格の医師免許が不可欠。医科大学や大学の医学部に進学し、「病理学」や「生理学」「分子生物学」などの授業や解剖実習など6年間の教育を受けた上で、卒業後に国家試験の受験資格が得られます。この国家試験に合格し、2年間以上の臨床研修(研修医)を積んだ後に、一人前の医師として働くことができます。

※医師免許の国家試験については、詳しくは厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)をご確認ください。

ワンポイントアドバイス
医療と福祉の一体化が、
今後のカギに。

現在、医療業界では産婦人科や小児科などの医師が不足している他、地域によってドクターや病院の数に偏りがあることが大きな課題。また、高齢社会の本格化でお年寄りの患者数が増え続け、多くの医師の手が求められています。今後は高齢者専門医のニーズが高まるなど、医療と福祉の一体化がさらに進むと予想されます。子どもや妊婦、お年寄りを診察する科の勤務はハードですが、世間から活躍が期待されるフィールドであり、人の命を救えた時のやりがいも大きいのです。