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外構工事職人_高橋 真行さん
インタビュー公開日:2025.03.18

住宅などの外部環境を整える外構工事。
歴史ある会社で工事に携わる楽しさ。
住宅を建てると、その建物の周囲、敷地内を整える必要があります。庭だったり、玄関へのアプローチだったり、塀を立てたり。そうした外部(エクステリア)の工事は、外構工事と呼ばれます。高橋真行さんが勤務する北澤建設工業は、かつて主流だったブロック塀の工事からスタートして60年以上、設計から施工までの一貫体制で外構工事を手がけているほか、新築・リフォーム工事なども行っています。
「私の担当は、外構工事の施工です。インターロッキングブロックを敷いたり、アスファルトで仕上げたり、カーポートや物置の土台をつくったり。いずれも、地面を掘って砂利を入れ、地盤をつくることから始まります」
身振り手振りを交え、外構工事の大切さ、専門的な工事内容を噛み砕いて説明してくれる高橋さんの表情からは、とにかく仕事が楽しい、といったようすがうかがえます。
「入社から2年が経ち、担当する工事はひと通り、できるようになってきました。ただ、会社では多様な工事を行っているので、身につけるべきこともたくさんあります」
ちなみに、インターロッキングブロックとは、コンクリートに顔料を混ぜたブロックをかみ合あうような形にし、レンガのように組み合わせた舗装方法です。住宅の庭のほか、公園、駐車場などデザイン性豊かに様々な場所で活用されています。
結婚を契機に新築した自宅の外構工事を
見て、考えたことが今の仕事につながる。
高橋さんが2023年に転職で北澤建設工業に入社したのは、自宅を建てたことがきっかけだったそうです。旭川にある林業を営む企業で専用機械の整備を担当していた時のことです。
「仕事は充実していましたが、結婚を機に、妻の地元である苫小牧に移住することを決め、家を建てることになりました。建築が終わって頼んだ外構工事を見て、自分ならもっとこうするのに、という思いが湧いてきたんです。それなら、できるようになろうと考え、外構工事を行う企業の求人を調べました」
大学を中退し、高橋さんが最初に入社したのは中学時代から暮らす苫小牧の企業。トレーラーや大型トラックの整備をしていました。旭川で働く前にいた、その現場に戻ることもできましたが、DIYなどものづくりが好きだったこともあり、経験のない、新しい道を選びます。
「林業の機械整備も大型車両の整備も、急ぎの仕事で夜遅くなることもありましたが、建築関係なら残業が少ないだろうということも入社の理由でした(笑)。実際、夕方には帰宅できるようになり、生活も変わりました」
ちなみに、周囲の勧めで、推薦で入れる大学に進んだという高橋さん。楽しかったものの、そのままいても将来は変わらないと感じるようになり、退学したのだと教えてくれました。
もともと、好きだった外での仕事。
前職で身につけた技術も役立つ現場。
整備の仕事もそうですが、手を動かすことは好きだったという高橋さん。とはいえ外構工事はまったくの未経験。2年前の入社時は、先輩について現場に入り、作業の補助をしながら工事の流れを知ることから始まりました。
「とにかく、最初は何もわからない状態。指示に従って動きながら、作業内容を見て、少しずつ覚えていきました。それでも丸1年、全シーズンを終える頃には、最低限の動きはできるようになっていましたね」
外構工事は、その名前どおり外仕事なので、寒い日もあれば暑い季節もあり、風が吹けば雨も降ります。それが大変さにもつながりそうですが、林業機械の整備では山のなかでの作業もあり、それが好きだったという高橋さん。ほとんど気になったことはないと話します。
「インターロッキングの端を整える際などに、電動で研磨を行うサンダーという工具を使いますが、これは前職でも日常的に使っていましたし、掘削などで使う重機なども、整備をとおして操作方法はわかっていたので、その知識を活かすことができています」
高橋さんは、組み立て式の物置でボルトを使う際にも、前職で身に付けたノウハウが役立っていると話します。「たとえばボルトがうまくハマらない、そんなときこそ整備の仕事で苦労した経験と掴んだコツが役にたっているんです」

オーダーに応じて工事内容は千差万別。
現場で話し合いながら作業方法を検討。
インターロッキングブロックやアスファルト施工のほか、人工芝を敷いたり、L字型のコンクリートブロックで土止めをして花壇をつくったり。花を移植して庭を整えるなど、ガーデニング的な仕事も手がけていると高橋さん。
「戸建住宅の場合は、お客さんのオーダー次第で、工事内容は千差万別。アスファルト工事は、下地までつくって仕上げは専門の工事会社に委託しますが、ちょっとした補修なら、自分たちで行うこともあるんです」
工事内容は決まっているものの、工事の進め方などは担当者に任されています。現場には基本的に2人体制で入り、高橋さんは歳の近い先輩と、常に話し合いながら、効率的に工事を行う方法を考えているのだそうです。
「この材料まだ到着していないから、こっちから始めようとか、手順はこうした方が早いかなとか。現場に向かう車のなかでも、一服休憩中にも話をしていますね」
その結果、予算や時間が厳しい現場で、しっかりと予定通りに進められた時には、やりがいを感じると話す高橋さん。
「テキパキと現場が進むようすを見ていたお客さんから、〝早いね〟と言いながらお菓子や飲み物などの差し入れをいただくこともあり、うれしくなりますね」
自分の手の跡を残せることが楽しい。
〝帳場〟の仕事のスキル習得が目標。
「コンクリートの塀を建てるための型枠づくりは正直、まだあまり得意ではありませんし、重機の入れない場所で、塀の土台をつくるため何十メートルも手作業で掘削する作業には、少し大変さも感じますが、インターロッキングブロックの敷設は大好き。得意分野です(笑)」。
インターロッキングブロックには、さまざまな色の製品があり、それらをどう配置して、きれいに仕上げるかは担当者の感覚に任される部分も多いのだそうです。お客さんに進捗を見せ、希望を聞きながら最終的に自分の手の跡を残していけることが楽しいし、満足できる仕上がりなら、なおさらうれしいと、説明に力が入る高橋さん。
「1日、2日で終わる工事もあれば、1カ月近くかかる大規模な外構工事もあり、それらを組み合わせると年間では、数えきれないほどの工事を行っています。さらに技術を磨き、ゆとりをもって工事にあたれるような力をつけながら、材料の拾い出しや見積、原価管理など〝帳場(ちょうば)〟と呼ばれる仕事のスキルを身につけていきたいと思っています」
日曜日は完全にオフという高橋さん。この仕事に就くきっかけとなった自宅の外構工事については「いつか、気が向いたらやります……」。まさに、紺屋の白袴(*)、外構のプロになった証拠ともいえそうです。
*こんやのしろばかま:人のため(仕事)ばかりに忙しく、自分のことに手が回らない、あるいは無頓着なこと
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

モルタル仕上げコテ
インターロッキングブロックなどを敷き込む際、下地となるモルタルを均すためのコテ。地味な道具ですが、外構工事には欠かすことのできないアイテムの一つです。
シゴトのフカボリ
外構工事職人の一日
7:15
土場で作業道具なとの積み込み
7:45
現場へ移動
8:30
現場到着、作業開始
10:00
休憩
10:30
作業再開
12:00
昼食・休憩(弁当または外食)
13:00
作業再開
15:00
休憩
15:30
作業再開
17:00
帰社、片付け、日報記入
17:30
帰宅

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

前の会社を退職し、苫小牧でUターン転職をするにあたり、経験のある仕事に戻る道もありましたが、自宅の新築を通して興味を持った「外構工事」に挑戦しました。やる気さえあれば、なんでもできると考えましたし、実際にその通りでした。

お仕事データ

住まいの「顔」を作る専門家!
外構工事職人
外構工事職人とは
庭や門、フェンスなどを手がけ、
住まいの外観を彩る仕事。

外構工事職人は、住宅の外回りを美しく機能的に仕上げる専門家です。庭づくり、門やフェンスの設置、カーポート、ウッドデッキ、アプローチ、花壇、水栓、照明設備など、住まいの外観に関わる様々な工事を担当。一般的に現場の測量と設計図の確認から始まり、基礎工事、資材やパーツの組み立て、仕上げ作業へと進めていきます。お客様の要望に合わせた提案力と、各種工具を使いこなしてニーズを形にしていく技術力が必要。住まいの第一印象を左右する重要な仕事です。

外構工事職人に向いてる人って?
ものづくりが好きで、
細部までこだわる几帳面な人。

外構工事は目に見える仕上がりが重要なため、細部までこだわれる几帳面さが求められます。また、屋外での作業が中心となるので、ある程度の体力があり、天候の変化にも対応できる人が向いているでしょう。お客様の要望を形にするために、図面を読み取る力や空間を立体的に想像できる能力も大切。さらに、チームで働くことが多いため、コミュニケーション能力も求められます。

外構工事職人になるためには

外構工事職人になるために必要な資格はありません。高校や専門学校、短大、大学を卒業後、外構工事や造園、エクステリア関連の会社に就職するのが一般的なルートです。未経験からでも始められますが、造園や建築に関する基礎知識があると有利。入社後は先輩職人について基本的な技術を学び、経験を重ねながら一人前を目指します。また、コンクリートの練り方や石積みの技術、植栽の知識など、様々な技能を習得することで仕事の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
時代に合わせた提案で、
長く愛される空間づくりを。

住宅の外構は、単なる見た目の美しさだけでなく、家族の安全性や使いやすさも重要なポイントとなります。近年は、環境に配慮した素材選びや、防災機能を高める工夫など、外構に求められる役割も多様化している傾向。技術を磨きながら、時代のニーズに合わせた提案ができると、より多くのお客様から信頼されるでしょう。完成した住まいの「顔」が長く愛され、街の景観を彩る一部になることが、この仕事の大きなやりがいです。