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大友加奈さん
インタビュー公開日:2018.03.23

「食べることが好き!」が原点。
栄養士を経て、料理のプロを目指す。
クッキングアシスタントとして働く大友加奈さん。この道に進んだきっかけは、幼少期にありました。
「毎日、母が楽しそうに料理をしているのを目にしていたからでしょう。そのうちに自分も母のマネしたらおいしく作れるようになるのかな?と考えるようになりました」
次第に食材や栄養にも興味が沸き、栄養士の道へと進みます。
「当初は病院で働いていましたが、料理そのものの技術をもっと磨きたいと考えるようになりました」
そんな彼女が次の目標としたのがプロの料理家のアシスタント。新しい職場を探す最中、『星澤クッキングスタジオ』でのアシスタントの求人を目にし即座に応募します。
先生の気持ちを読み取れず、
悔しくて涙したことも…。
『星澤クッキングスタジオ』を運営するのは、料理研究家の星澤幸子先生。手軽でおいしい一品を手際よく作る姿は、北海道の主婦にもおなじみです。
「効率のよい調理法、道産食材へのこだわりなど、以前から星澤先生を尊敬していました。この先生のもとでアシスタントができるなんて夢のよう… そう思いました」
クッキングアシスタントの役割は、食材の調達、下準備や盛り付け、食器洗浄など、調理を取り囲むさまざまな作業。どれも重要な仕事ですが一番肝心なのは、先生の気持ちを読み取ることだといいます。
「次はゴマが必要になるから手元に用意しておこうとか、逆にもう使わない調味料は速やかに片付けておこうとか、手順を先読みして、先生がスムーズに調理を進められるようにサポートすることが大切なんです」
はじめは先生の気持ちを読み取れず、察して動けない自分が悔しくて涙したこともあったそうです。
ステージ上でのアシスタント作業は、
臨機応変な対応が求められます。
野菜の収穫時期である8月から11月ころにかけて、道内のあちこちで収穫祭イベントが開催されます。そこで行われる星澤先生のクッキングショーに、大友さんも入社後3カ月くらいから同行しているそう。
「ステージ上でのアシスタント作業は、やっぱり緊張しますね。立ち振る舞いや表情の変化など、常にお客様に見られていますから。はじめは『後ろで手を組まないこと』など先生からの指導も多かったんです」
クッキングショーやテレビ番組など、料理を披露する場面は様々。机の配置や調理場のスムーズな活用など、その場での臨機応変な対応も必要です。
「コンロが二口あると思っていたら一口しかなくて、本番直前に手順を変更したこともありました。そういった経験の積み重ねで、設備や調理道具にとらわれず、最後まで作り遂げる力も身につきました」
「まかない」づくりで技術を磨く!
離乳食のレシピ考案も担当
現在はクッキングスタジオで働くメンバー4名分のまかないも任されています。
「まかないは、30分で作るのがルール。なので先に煮物を火にかけ予熱で仕上げるなど 、手早く効率的に料理をする習慣が身に付きました。先生が口にすることも多く、そんなときは、味の整え方とかおいしさを増す一手間などを教えていただきます。本当に勉強になります」
先生のレシピをパソコンに打ち込みむのも彼女の重要な役割。わかりやすいレシピづくりのために、一日中本屋さんでレシピ本の研究をしたこともあるのだそう。さらに最近は、離乳食のレシピの作成を大友さんが担当しています。
「育児本を読んだり、赤ちゃんイベントに参加してみたりしながら、試行錯誤しています。メインの食材は指定されるので、たとえばニンジンがメイン食材なら、緑のものを加えようなど、色味も意識しますね」
先生に提案できるようになったのは
少し成長した証かな・・?
新しいことをどんどん学べるのがアシスタントの仕事の楽しさです、と大友さん。自分の成長を実感する瞬間は?
「自然な笑顔で先生と話しているときですね。はじめは余裕がなくて笑顔どころじゃなかったですから(笑)。あと自分で提案した料理やレシピを『いいわね!採用!』っていってもらえたときも、成長を感じます」
取材の日も、付け合わせの一品を提案したり、緑物として小松菜を勧めるなど、大友さんが星澤先生に積極的に進言する場面が見られました。
「日々こうして仕事をする中、改めて感じるのは『思いやり』の大切さ。先生はもちろん、一緒に働くアシスタント、食べてもらう人、作るのを見る人やレシピを手にする人など、いろいろな人への思いやりの気持ちを持ち続けることが、仕事や人間関係をスムーズにしていくと痛感しています」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

先生との会話の中で自分から提案することや、新しいレシピを生み出すことには、チャレンジ精神が必要不可欠。勇気を持って、「まずはやってみる」が大切です。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
電卓と赤ペン
栄養計算や、レシピを作る際のグラム計算には電卓が欠かせません!赤ペンは、レシピの中で分量や手順が変わったときなどに、レシピの上からメモするのに持ち歩いています。黒だと後から見たときに見落としてしまうので。

有限会社 星澤クッキングスタジオ

「手軽に作れておいしくいただける」をモットーとした各種料理教室のほか、星澤先生のトークを楽しめるイベント等を定期的に開催しています。

住所
北海道札幌市中央区大通西15丁目3番24号
TEL
011-615-8085
URL
https://www.facebook.com/hoshizawasachiko/

お仕事データ

料理やレシピ研究の専門家。
料理研究家
料理研究家とは
料理のレシピを考案し、
人々に広めるスペシャリスト。

料理研究家は、オリジナルレシピの開発や飲食店・企業へのメニュー提供、商品アドバイスなどを行う料理研究のスペシャリスト。調理人とは異なり、料理のレシピを自ら考案し、人々に広めることが主な仕事です。オリジナルレシピの研究ではさまざまな食材や調味料を組み合わせ、見栄えや再現しやすさも考慮した上で長い時間をかけて完成まで導きます。料理研究家の活躍の場は、テレビの料理番組や雑誌の料理コーナー、料理教室など多種多彩。食品メーカーとの商品開発や地元の食材を使った観光客向けのグルメを開発することもあります。

料理研究家に向いてる人って?
「食」への情熱があり、
試作を続けられる研究熱心なタイプ。

料理研究家に大切なのは「食べること」が好きな人。日々、料理のレシピを考え、試作しては試食を繰り返すことから「食」への情熱は欠かせません。また、レシピ作りは答えのない世界でもあるので、食材や火加減、加熱時間などを変えながら根気よく試作できる研究熱心さも必要。新たなおいしさのアイデアを生み出すためには、柔軟な発想力も求められます。

料理研究家になるためには

料理研究家になるための資格や学歴は特にありません。ただし、料理研究家として活動するには、栄養についての専門的な知識や基礎的な調理技術は身につけておきたいものです。そのためには、大学や短大、専門学校に進学して食物・栄養学や調理について学ぶのが一般的。また、飲食店に勤めて腕を磨いたり、有名な料理研究家に弟子入りしてアシスタントとして働いたり、この仕事に就くためのルートはさまざまです。

ワンポイントアドバイス
アイデアやPR方法次第で、
さまざまな可能性が広げられる職業。

最近では、一般の人がオリジナルレシピを投稿できる料理サイトや料理アプリが流行。その人気レシピを集めた料理本が出版されるほど注目を集めています。料理研究家の中には、もともとは専業主婦で子育てが落ち着いたころにデビューする人も。また、インターネットを活用することで、地方でも世界中に自分のレシピを発信できます。アイデアやPR方法次第で、さまざまな活躍の可能性が満ちている職業といえるでしょう。