病院やクリニックといった医療機関で、医師の指示に従って患者の命や健康に関わる生命維持装置の操作を行うのが臨床工学技士の主な仕事。CE(クリニカル・エンジニア)やME(メディカル・エンジニア)とも呼ばれています。具体的には呼吸が十分にできない方に人工呼吸器を装着したり、腎臓の機能が低下している方の人工透析を行ったり、高度な医療機器を扱うスペシャリストです。ほかにも、手術室や集中治療(ICU)の業務、機器が安全に動かせるよう保守・点検するなど、「チーム医療」に欠かせない重要な役割を担っています。
臨床工学技士は、医療機械を操作するほか、時には自ら修理することもあります。そのため、機械に興味があることは重要な素養の一つです。また、最近の医療現場では「チーム医療」がますます大切になっていることから、医師や看護師とスムーズに連携できるチームワークも大切。もちろん、「人を助けたい」という気持ちを強く抱いている人もこの仕事に向いているでしょう。
臨床工学技士になるには、臨床工学技士国家試験に合格する必要があります。受験資格を得るには、高校卒業後、臨床工学技士養成課程がある大学、短大、専門学校で3年以上学び、指定科目を修了しなければなりません。そのほか、臨床検査技師や看護師の養成校を卒業していれば、臨床工学科などの専攻科に1年以上通うことで受験資格が得られます。
臨床工学技士は医療専門職の中でも比較的新しい職業。かつて、医療機器は製造メーカーのスタッフがメンテナンスするケースがほとんどでしたが、臨床工学技士の登場によって、院内でスピーディに対応することができるようになりました。臨床と機械の両方の知識を持つ臨床工学技士は、ますますニーズが高まっていく見通しです。今後、大手総合病院やクリニックはもちろん、中小の個人病院でも採用の枠を増やしていくことが期待されています。