佐々木 司さん
インタビュー公開日:2021.03.16

イレギュラーな動きにも対応する
4トン車の配送ドライバーとして。
「トラック、どこに止めれば良いですか?」、「荷物を下ろす場所はどちらでしょう?」。初めて訪問する物流センターや倉庫では、とにかく誰かに声をかけて聞く。それが、配送ドライバーである佐々木司さんのスタイルなのだそうです。
「わからなくて……と素直に話せば、丁寧に教えてもらえます。知ったかぶりをして迷ってしまい、ウロウロするくらいなら、初めから聞く。自分はそうしています」
4トン車のハンドルを握り、さまざまな物を運んでいる佐々木さん。荷物を無事に届けることがミッションですが、人と人とのつながりが大切な仕事でもあるのだと話します。
同社の配送には、決まったお客様の荷物を運ぶ「チャーター」と、固定した顧客を持たずに動く「フリー」というスタイルがあるそうです。佐々木さんは現在、フリーとして業務をしており、まだ担当者が決まっていない新規のお客様の荷物や、イレギュラーな配送、また、他のドライバーのヘルプで走ることもあります。
「実は昨日も、体調不良のドライバーに代わって深夜から朝まで荷物を運び、少し前に戻ってきたところです」
少し眠そうですが、どこか充実した表情も垣間見える佐々木さんです。
車体は大きいけれど視界は良好。
意外にも扱いやすいトラック。
郵便配達の契約社員、カラオケ店・焼肉店の店舗運営、ウェイター……。高校卒業後、佐々木さんはさまざまな職業を経験してきました。
「郵便配達は10年ほど続けましたし、その後の接客系の仕事も、どれもおもしろさを感じるものでした。ただ、将来的なことを考えようになり、自分にとって、落ち着いて長く続けられる仕事は何かと検討するなかで浮かんだのが運送関連の仕事だったんです」
郵便局時代、軽バンに乗って小包などを配送する仕事が楽しかったこと。その延長線上で、トラックの運転に憧れを抱いていたことが、この分野に目が向いた直接のきっかけだったそうです。もっとも、トラックの運転は未経験。先輩への同乗、先輩に助手席に乗ってもらっての指導を経て独り立ちしましたが、最初は怖さもありました。
「4トン車は決して大きい方ではありませんが、乗用車よりは幅も長さもあるので、感覚がつかめなかったんですね」
それでも乗ってみれば、高さがあるので視界が良く、バックミラーの遠近感さえつかめれば、意外に扱いやすいことがわかったと佐々木さん。不安な場合は一旦下車して障害物などからの距離を目視で確認しながら車両を動かしているそうです。何ごとも慎重に。それも、佐々木さんのモットーです。
最初に担当したのは農産物の運搬。
傷まないよう、積み方にもコツが。
ドライバーとして独り立ちし、佐々木さんが最初に担当した仕事は、札幌と道北の当麻町を往復するチャーター便。積荷は農産物でした。
「特産の『でんすけすいか』をはじめ、地域の農産物を積み込み、札幌市中央卸売市場へと届ける仕事でした。昼ごろに札幌を出発して集荷場へと向かい、積み込み。夜中に走って戻り朝、市場に下ろします」
最盛期には300個ものすいかを、手積みでトラックに載せ、下ろす作業に大変さを感じたそうですが、それもコツをつかむまでだったと佐々木さん。
「瞬間的には大変でも、コツコツとこなせばやがて終わります。それを実感できるようになると、淡々と仕事に向かえるようになりました。もっとも、積み方には細心の注意が必要ですが」
傷まないよう葉物は根菜の上に載せる、荷崩れが起きないようにしっかり並べるなど、積み込みにはコツが必要。また、急ブレーキ・急ハンドルを避け、路面が凸凹ならバウンドさせないよう、運転が求められるのだといいます。そんな苦労の一方で、規格外のレタスやメロンなどを「食べて!」と渡されることも。
「うれしかったですね。でも、私はメロンが苦手で……」
いたずらっぽく笑う佐々木さんです。
どこに行っても待っている人がいる。
そこでの触れ合いがこの仕事の魅力。
フリーになると、夕方になるまで、翌日はどこへ行くのかわかならいのだといいます。それは、臨機応変に対応できる実力が身に付いてきたという証とも言えそうです。
「たとえどこに行っても、そこには人がいて、会話が生まれる。顔見知りが増え、仲良くなれたりもする。そんな人との触れ合いが配送の仕事の魅力だと感じますし、楽しいと思えるところなんです」
家電量販店やドラッグストアのチャーターを担当し、倉庫や配送センターから店舗へ商品を運んだり、店頭から商品を下げたりという業務も行ってきた佐々木さん。その時に顔なじみになった担当が、フリーとしてたまたま立ち寄った際、声を掛けてくれることもあるそうで、そうやって覚えていてくれることが、うれしい瞬間なのだと話してくれました。
「ドラッグストアに花を届けたら、売れ行きがよくてちょうど欠品していたところで、とても喜んでもらえて。下ろした途端に、さっそく一苗、売れたんです。待っていてくれる人がいる、というのはいいものですね」
と感慨深げな佐々木さんからは配送の現場の温かなようすが伝わってきます。
ハンドルを握るのは1日3、4時間。
無理なスケジュールは一切なし!
フリーの業務は不規則で、真夜中や早朝からの配送業務もあります。一方で、早朝に出勤して昼には終了というパターンも珍しくなく、無理なスケジュールが組まれることはないと、佐々木さんは話します。
「ハンドルを握っている時間も、1日3、4時間あれば多い方。走行距離もおおむね100キロ未満です。それ以外は、荷物の積み下ろしや、待機をしているケースが大半ですね」
もっとも、冬のシーズンになると、メーカーの倉庫から全国の販売店にスタッドレスタイヤを運ぶ、といった長距離の業務もあります。
「地方に行く楽しみもあるんです。例えば、函館なら、高速のインターチェンジの近くにあるご当地ハンバーガーショップは私の御用達(笑)。帰りにはハンバーガーを買い、食べながら札幌に向かうんです。至福の時ですね」
運転も好きという佐々木さんですが、長距離だと眠気を感じることも。そんな時は、音楽が支え。最初は無音、次にラジオをつけて、さらに眠気があれば好きな楽曲をかけます。それでも眠い時には大音響のユーロビート。佐々木さんの眠気覚ましルーチンです。
入社からもうすぐ2年。当面の目標は運転技術をさらに磨くことという佐々木さん。多様な職を経て、自分にふさわしい仕事に巡り会えた充実感のようなものが伺えました。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

荷物の量が多いとやっぱり疲れますが、届ける先の人たちとの触れ合いが楽しいから、苦になりません。同じように、どんなことでも良いので、仕事を楽しむという気持ちがあれば、きっと前向きになれますよ!

シゴトのフカボリ
配送ドライバーの一日
5:00
出勤、トラックで出発
5:30
メーカーの配送センター着、積み込み
6:30
積み込み完了、出発
7:30
店舗に到着、荷下ろし
8:30
別の配送センターへ出発
9:00
別の店舗で荷下ろし
10:00
帰社
12:00
翌日の積み込みを終え、退勤
(家電配送チャーターの一例)

株式会社グッドマン

2010年設立。「人と人、地域と地域を結ぶ」をキャッチフレーズに運送・物流事業、引越し事業のほか、リユース事業を手がけています。

住所
北海道札幌市豊平区平岸3条16丁目1番45号
TEL
011-826-4077
URL
https://goodman-group.jp

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お仕事データ

女性もどんどん活躍中!
トラックドライバー
トラックドライバーとは
荷物を積み込み日本各地へ。
我が国の物流を支える原動力。

荷揚げ場所から荷物を積み込み、個人宅、会社、店舗などへ運搬、配送する仕事。一口にトラックドライバーといっても「軽トラ」と言われる小型トラックもあれば、「タンクローリー」や「ミキサー車」などの大型トラックまで車種はさまざま。必要な免許も普通自動車免許や中型自動車免許、大型自動車免許、けん引免許など乗り込むクルマによって変わります。大型は高速道路も含めて長距離を走ることが多く、小型は集配所から集配所へのルート配送といった近距離の運転をすることが多いようです。

トラックドライバーに向いてる人って?
安全に、時間通りに荷物を届ける集中力。

長時間運転することが好きで、何より安全に時間通りに荷物を目的地へと届けるために集中できることが大切。荷物の重さはさまざまですが、積み込みや荷下ろしなど体を動かすケースも多いので、体力に自信があると有利です。運転中はほとんどの場合一人ですが、集配所などではお客様や同業者への最低限のあいさつは必要。

トラックドライバーになるためには

トラックドライバーは基本的に学歴はさほど重視されません。物流会社や運送会社の採用試験に応募するのが近道です。とはいえ、中型トラックであれば「中型免許」、大型トラックであれば「大型免許」、さらにトレーラーなどを扱う場合には「けん引免許」が求められます。運ぶものによっては「危険物取扱者免許」や「毒物劇物取扱責任者免許」などの取得も必要。最近ではこのような資格は入社後に会社負担で取得させてくれる企業が多いようです。

※各種免許取得の条件については全日本トラック協会のホームページなどをご確認ください。http://www.jta.or.jp/index.html

ワンポイントアドバイス
国交省も応援する「トラガール」!?

トラック運送業界は男性のイメージが強く、他業種に比べて女性の進出が遅れていたと言われています。ところが、近年は、細やかな気配りやコミュニケーション能力、丁寧な運転など、女性ドライバーならではのスキルが大注目。国土交通省では、女性の活躍を促進するため、女性トラックドライバーを「トラガール」と名付け、さまざまな取り組みを進めています。