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清水 和敏さん
インタビュー公開日:2020.11.30

メインの作業現場は、専用の船の上
防波堤の基礎、「ケーソン」の製作
幅14.7m、高さ13.5m、奥行きは23mもある巨大なサイコロのような立方体が、海の上に浮かんでいます。岸壁に立って正面から眺めると、目の前に壁がそそり立っているような迫力です。
「これは、建設用語で“ケーソン”と呼ばれる鉄筋コンクリートの構造物で、新たに岸壁・防波堤などをつくる際の土台になる部分です。完成すると、防波工事が行われる場所まで運ばれ、海の底に沈められます」
そう教えてくれた清水和敏さんは、弘徳建設で11年ほど、このケーソンの製作に携わってきたベテラン技術者です。今回は、苫小牧で行われる岸壁の整備工事用のケーソンの製作。同じ大きさのものを6つ(6函)つくるのだそうです。
「“海の上に浮かんでいる”というのは、ちょっと違って、実際には専用の船の上に乗っているんです。この船が、ケーソン製作のメインの現場となります」
確かによく目を凝らすと、この大きなコンクリートの箱は微かに揺れているようです。それにしても、すごい迫力です。
ケーソン製作の全工程を管理する
船上ならではの工事のノウハウも
ケーソンを製作するための船は、フローティングドックと呼ばれる専用の作業船で、タンクに水を出し入れすることで海に沈んだり、浮かんだりすることができるのだそうです。
「このフローティングドック上に、製作するケーソンをどのように配置するかという計画から作業がスタートします。今回は、同じ大きさのケーソンを3つ、船上に並べています」
ケーソンの配置が決まると、作業を行うための足場をつくります。その後、鉄筋を組み立て、型枠を設置してコンクリートを打設し、養生を施して完成となります。清水さんの仕事は、その全体をコントロールする施工管理。国や北海道など発注者が作成した完成図を元請会社の指示のもと、工事を行うために施工図を書き、作業の計画を立てて資材・作業スタッフを手配することに始まり、工事工程の管理、現場の安全・品質管理までを取り仕切ります。
「わずかですが船は絶えず揺れているので、地上のように水平機を使って垂直・水平が出せません。そこで、長辺・短辺の長さとともに対角線も計測して確認するなど、ケーソンならではのノウハウもあるんです」
道東・オホーツクを始め道内各地でケーソン製作に携わってきた清水さん。経験しながら覚えてきたことも多いのだそうです。
ものづくりへの興味から土木業界へ
現場の安全を確保しつつ作業も行う
数々の現場に携わり、技術・知識を高めてケーソン製作という特殊な分野の工事を取り仕切る立場となった清水さん。弘徳建設への入社以前にも、土木工事に携わってきました。
「祖父が土木の仕事をしていた影響もあるかもしれませんが、同じようなものづくりの世界でやってみたいと思い、高校卒業後、地元の建設会社に入社しました」
その会社で一般土木工事に携わった後、ダム工事を主業とする建設会社へ移って経験を積み、類似した技術を扱ってケーソン製作を行っている同社へと転職してきました。それまでの知識を生かせることが、決め手になったのだそうです。
「現場の責任者として、危険をともなう作業には必ず立ち会って指示・チェックを行うほか、進行状況によっては一緒に現場に入り、作業を行うこともあります。型枠の設置作業を軽減させる工法など、特許取得の独自技術を持っており、一般の工法より作業をスピーディーに行えることが当社の強みですね」
工事の元請会社との打ち合わせや、官公庁に提出する書類の作成といった事務作業もこなしつつ、高品質のケーソン製作をまとめています。
製作業務からケーソンの進水まで
一連の作業を終えた達成感が魅力
ケーソンが完成すると、足場をすべて撤去し、そのまま指定された仮置き場まで船で引いて移動します。そしてフローティングドックに海水を入れて海中まで下げ、ケーソンを浮かびあげます。(これを進水といいます。)海上に浮上したケーソンは所定の場所で海水を注入して沈め、作業が終了します。巨大なコンクリートの箱が水に浮くとはちょっと驚きですが、ここまでの段取りを行うことが清水さんの業務です。
「当社ではケーソンの製作にあたって、型枠づくりからコンクリートの打設など、一連の作業のほとんどを、協力会社さんの力を借りながら自社で行っています。そのうえで仮置き場への設置までトータルに携わり、作業が終了した時の達成感が、一番のやりがいです」
規模の大きな工事もあります。2012年から携わった羅臼漁港の現場は、足掛け5年に及びました。そこでは、地域の風景も一新していく仕事であることを実感したと清水さんは話します。
「耐震工事のため、漁港の全防波堤に必要となるケーソンを製作しました。次々にケーソンをつくり、それにともなって堤防が伸びていくようすを見ながらまた製作し、やがて完成。生まれ変わった漁港の姿を目にした時、その一翼を担ったという感慨が湧いてきました。
事故を起こさないことを第一に
ケーソン製作の魅力も伝えたい
「工事の品質を高めることが、現場管理者としての私の使命ですが、それ以上に重要なのは作業の安全を確保すること。事故を起こさずに現場を終えることを、毎回、目標に掲げて取り組んでいます」
毎朝、その日の工程で危険な作業・箇所はないかを入念にチェック。実際の作業も必ず現場で確認しているという清水さん。ベテランの方が、むしろ注意が必要なのだそうです。
「“慣れている”ということが、一番危険です。大丈夫だろうと慢心が起こりやすく、事故にもつながりやすいんです」
一人ひとりに、いかにリアルに意識してもらえるか。一方的に指導するのでなく、ともに事故防止について考える機運を高めたいと話す清水さん。表情が引き締まります。
「最初はケーソンのスケールに驚くかもしれませんが、作業自体が特殊なわけではなく、経験がなくても覚えていけます。ものづくりに興味がある方なら、きっとおもしろさが感じられる仕事だと思いますよ」
最近は、週休2日制を前提として発注される現場も増え、休日もしっかり確保できるそうです。この仕事の魅力をぜひ、知ってほしい。そう話す清水さんの目には、仕事への誇りが見て取れました。
シゴトのフカボリ
土木施工管理の一日
8:00
朝礼
8:10
現場での管理業務および作業補助
11:00
現場事務所で翌日の作業確認
12:00
昼食・休憩
13:00
元請会社の担当者と、工事の進捗・翌日の作業の調整
13:30
現場での管理業務および作業補助
15:00
現場事務所で報告書等の作成
17:00
作業終了
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
工具
自社開発の型枠に使う金物と、作業を行うための道具。既存の道具を加工してつ作った工具も多い。手に馴染む仕事の相棒だ。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

技術の仕事は特にそうですが、実際にやってみなければわからないもの。失敗することを恐れずに、前向きに挑戦してこそ、覚えられることがあります。

弘徳建設株式会社

1961年の創業以来、北海道内を中心に土木工事に携わり、ケーソン製作を得意とする。安全と省力化を考えた工法・工程などの技術開発にも積極的。

住所
北海道旭川市6条通2丁目2471番5
TEL
0166-22-9271
URL
http://www.kohtoku.net

お仕事データ

工事現場の司令塔
施工管理
施工管理とは
工事を円滑に進めるためには
欠かせない仕事。

建設工事や土木工事の現場で発注者と実際に工事を行う職人さんとの間に入り、人や資材の手配、スケジュール調整、予算管理など、工事を安全かつ円滑に進め、目的を実現するためのさまざまな業務を行います。大きな施設を建てるほど、工程も複雑になるため施工管理の重要性は大きくなります。

施工管理に向いている人って?
思い通りにならなくても慌てない。

現場での橋渡し役を担うことが多いため、コミュニケーション能力は欠かせません。スケジュールやお金の管理も行うので、計画的に物事を進められる人に向いている仕事です。工事には不測のトラブルもつきものなので、状況に合わせて対応できる柔軟性がある人も向いているでしょう。

施工管理になるためには

小さなリフォーム工事から大規模な土木工事まで施工管理の領域は広く、一般的には工事会社などに入社して、現場での仕事を覚えることになります。施工管理には「施工管理技士」という国家資格があり、工事の内容によって建築施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士など6種類に分かれています。大規模な現場の管理をするためにはこうした資格も必要となります。

ワンポイントアドバイス
分野が異なる工事でも活躍可能。

施工管理の仕事は一般的には馴染みが少ないのですが、工事現場には欠かせない仕事です。建設業界で働く上で「施工管理技士」の資格が役立つ場面は多く、取得しておくと出世や転職にも有利と言われています。